重度知的障害の息子にどこまで頑張らせるべきか悩む
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重度知的障害を伴う自閉症の長男・太郎も、あと3年足らずで社会に出ることになります。
親亡き後を見据えて、一人でできる事を少しでも増やそうと、太郎のお尻を叩きながら頑張らせてきました。
階段を一歩一歩、後ろを振り返らずにがむしゃらに上り続けてきたけれども、ここにきてふと、立ち止まって階下を振り返る私…。
息子15歳。見えてきた限界
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重度知的障害(IQ30)のある太郎は、幼児期から多動・他害が酷く、おおよそ一般的な躾などできない、できるわけがない。最低限、人様に迷惑をかけないように。そう思って、生きていくことだけで精一杯でした。
そんな状態の太郎が、定型発達の次男よりも箸の持ち方、鉛筆の持ち方がとても綺麗なのは、ひとえに療育と、特別支援教育のおかげだったと思っています。
なんといっても太郎、幼児期は野生の狼みたいでしたからね…。
私はハナから「狼に躾なんて無理でしょ!?」と開き直っていましたよ😂
だから療育を受けて、一番良かったな、と思ったのは、親である私の意識改革だったかと思います✋
やる前から「できるわけない」と思い込んでいたことを、療育や学校の先生方はやらせてくれたんですよね。
重度知的障害の子供でも、やればできるようになることがたくさんあるんだな!とポジティブな気持ちでがんばれたのは、学校の先生のおかげです。きっと自分だけだったら、太郎がここまで成長できていなかったと思います。可能性を信じて、いろいろとやらせてくれた先生方には感謝しかありません。
半信半疑ながらも「うちの太郎には無理だよ!」と思うような事でもやらせてみて、できるようになったこともあれば、いまだに苦手なこともあり…。
気がつけば就労まであと3年。
最近思うんです。
できるようになったことは山ほどあるけど、がんばっても、どうにもならないこともあるよなぁ。限界ってあるよなぁ、と。
小さい頃は頑張ればいつかはいろんな事ができるようになると思っていたけど、15歳ともなると、なんとなく先が、想像できるようになってきたんですよね。
特別支援学校卒業後の進路について考える
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太郎がまだ小学校の頃は、将来のことは漠然と、こんなふうに思っていました。
太郎にはきっと企業就労は無理かもしれない。でも、できれば福祉作業所でもステップアップさせてもらえるタイプの事業所に入って、就労移行支援に通って、あわよくば企業就労も…?
なんて。
がんばって育てて行けば、太郎のような子でも月に7~8万円の収入も夢じゃないかも!?なんて、ちょっと夢見ていましたよね。
と。ここで、障害者雇用についてちょっと説明しておきたいと思います✋
知的障害や発達障害があっても、一般企業の一般雇用枠に就職できるケースもありますが、障害者手帳を持っているのであれば、障害に対して配慮のある職場に就職・就労する人が多いかと思います。
例えば、特別支援学校の高等部に通っている子が卒業した際の進路として、進学ではなく仕事に就く場合、以下の5つの選択肢が考えられます。
- 一般企業(一般雇用枠or障害者雇用枠)
- 就労移行支援事業所
- 就労継続支援A型
- 就労継続支援B型
- 生活介護事業所
このなかの一般企業(一般雇用枠)で働く人は、障害があることをオープンにせず、健常者として採用試験を受けて就業している人が大半だと思います。もしくは、就職した当時は障害があることに気がつかず、後に発達障害の診断を受けた人などもいるかもしれません。
今回そうしたケースは除外して、障害者手帳を持っている人が障害に対して配慮のある職場に就業するケースのみ説明していきたいと思います。
以下は私がExcelでまとめたものです。
一番上の「一般企業(障害者雇用枠)への就職ははいわゆる「一般就労」「企業就労」と言われているもので、それに対して「就労継続支援A型・B型」への就労は「福祉的就労」と呼ばれています。
「就労継続支援A型・B型」が基本的には仕事をするために日中通う場所であるとすると、一番下の「生活介護事業所」は仕事(生産活動)の割合はごく一部で、日中に過ごす場所の提供という意味合いが強いかと思います。
そして上から2番目の「就労移行支援事業所」は一般就労を目指して職業訓練を行う場所であり、賃金は支払わず、言うなれば「学校」のような存在です。
企業や事業所、担う仕事によって一律には言えませんが、基本的には「一般企業(障害者雇用枠)」「就労継続支援A型」「就労継続支援B型」「生活介護事業所」の順に支払われる給与(賃金・工賃)が高いとされるため、一般就労を目指す子供、親御さんが多いのかと思われます。
ただ、これも当たり前といえば当たり前なんですが、コミュニケーション能力が著しく低い人、行動障害のある人は、一般企業はもちろん、就労継続支援A・B型への就労も厳しい場合が多いようです。
能力的には一般企業の仕事がこなせたとしても、コミュニケーションの面でトラブルを起こしてしまうなどで、勤めて1年もたたないうちに辞めてしまう人の話も結構耳にします。
近年は法定雇用率の関係で特例子会社を作る企業も増えてきているので、知的障害が重い人でも一般就労ができるケースも増えてきてはいるようですが、企業によって障害者へのフォローの手厚さに差があり、やはり福祉的就労に比べるとハードルが高いと言わざるを得ないと思います。
定型発達の子供と違い、障害のある子供は就労してからも親のフォローが欠かせないこともあり、自分の子に合った就労先の見極めは、親にとっても大切なことだと言えます。
以下の表は厚生労働省が平成30年度に発表している資料ですが、特別支援学校卒業後の進路として圧倒的に多いのは、やはり「就労継続支援B型」なんだなぁ…と。
うちの太郎も、ゆくゆくは一般就労も視野に入れて…なんて考えていたのは中学生までの話で、行動障害などの改善が思ったほど見られないこともあり、今では福祉的就労に絞って進路を考えています。
その際、やはり工賃の面からもA型を目指したいところではあるのですが、
以前、A型もB型も何度か見学に行ったことがあったのですが、A型の事業所はテキパキと働いている方が多かったですね。
見学した当時は「いつか太郎もあんな風に…」なんて考えていましたが、高校生になってみて思うのは、
障害の重い子にそこまで頑張らせる必要はあるの?
ということ。
私は自分自身が、仕事をするからにはステップアップが基本で、どんどん勉強して修練して上を目指したいタイプ。
だから、太郎だってステップアップできる職場の方がやりがいがあり、充実した生活が送れるはず。
そんな風に思い込んでいました。
でも果たしてそうなんでしょうか?
それが太郎の幸せなんでしょうか?
太郎の場合は行動障害もあるので、もしかしたら生活介護事業所が、太郎にとって最も相応しい場所なのかもしれない。
最近そんな風に考えるようにもなりました。
親の希望や思い込みで、子供の進路を決めてしまってはいけないな、と。
一度、固定概念を取り払って、真っ新な気持ちになり、いろんな事業所を見学し、いろんな方のお話を聞いて、進路について考えていきたいと思っています。
ちなみに、いろいろ調べているうちに障害者支援サービスについてわかりやすく説明してあるパンフレットを見つけました✋
全国社会福祉協議会(全社協)が作成した「障害者総合支援法のサービス利用説明」というものですが、この中にある「利用者負担に関する軽減措置」という表を見ると、子供の将来の生活スタイルの種類や、自己負担としてかかる費用に対してどういう感じで減免措置がされるのか、なんとなくですが雰囲気が伝わりました。
引用元:障害者総合支援法のサービス利用説明パンフレット(2018年4月版)
重度障害者の場合は特に就労と生活の場(グループホーム・入所施設)は切っても切れない関係でもあるので、こうした事もあわせて考えていかなければなぁ、と思いました✋
最低限の躾と愛される努力
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まあ、頑張らせる、頑張らせない、なんて言ってはいますが、どこに行くことになったとしても最低限の躾は必要かなとは思います。
躾というとお箸や鉛筆の持ち方とかそういった事だけではなくて、
きちんと挨拶をする。「ありがとう」「ごめんなさい」が言える。自分が使ったものの片付け(食器の配膳なども)は言われなくても自分でやれる。汚したものは自分で綺麗にする。歯磨き・顔を洗って清潔感を心がける。決められたルールに従う。
こういった事がきちんとできていれば、どこに行っても可愛がられると思うんです。
特に「感謝の気持ちを相手に伝える」ということに関しては、親自身がその姿勢を見せていれば、自然と子供も身に付くことだと思います。
私たち自身が周りの人々に感謝し、「ありがとう」と声に出して伝えることをしていくことは、子供のためにもなるはずなので、意識していきたいと思っています。
この先子供がどういう進路を歩むかはまだわかりませんが、どこに行くにしても愛される子であるよう、そのためにする努力は必要なのかな、と。
障害のある子と暮らしていると、日々学ぶことが多いです😉
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仕事、悩みますよね。それなりに暮らせれば良いかな〜というのが、子どもの代では贅沢となるかもしれない。 毎日行くところがあるのも生活リズムをとるために必要ですしね。 自分も家族も普通に就職活動して職に就いてないので、子どもにも方法はひとつてはないよ、と説明してます。娘は真面目なんで追い込まれそうで怖いので。
あ、主人も私も仕事はごくごく真面目に遂行しておりますよ(笑)でないと、子どもには反面教師になっちゃいますからね。
悩みますね!うちの太郎も今現在、同世代の健常の子に比べたらはるかに質素な生活をしていると思うんですが(笑)
工賃がほとんどもらえない事業所に入るとなると、一般的には贅沢とされていないことすらできなくなってしまう( ;∀;)
子供は親の背中を見ていますよね。
私は在宅で仕事といっても大した仕事量ではないので(;’∀’)
子供たちの前では家事をテキパキやっているフリをしています(笑)
夫は仕事が忙しいので、太郎も「お父さんは仕事が忙しい人。いつも会社で仕事をしているから、ほとんど家には帰れない」という認識はあるようで、夫のことはリスペクトしているようです(‘∀`)
こんにちは。アメブロでは、ゆるりんです。うちの子どもが通所しているのはB型と生活介護の両方の施設です。うちの子は生活介護扱い。日中は作業中心です。土曜日にある時は掃除や行事。作業中心と言っても、うちの子はあまり作業に集中してなさそうです。作業を無理強いはしないみたいです。高等部の時に軽度のクラスの作業の授業を見たら、軍隊みたいに厳しそうでした。逆にうちの子のクラスは中身が無さすぎでしたが。一般就労を目指す子ども達は就職しても大変だけど、作業所は子どもの状態を見てくれるので、入ってしまえばそんなに子どもに無理はかからないと思います。高等部の時は卒業後のことを考えると憂鬱ですよね。太郎くんが楽しく通える進路が見つかるといいですね。
詳しい情報ありがとうございます!
生活介護でも作業中心なんですね。でも生活介護だからこそ作業中心でも無理強いされないんですよね。
うちも集中力がなくて、家で何か作業的な事をやらせてもエコラリアが酷いしすぐ飽きるし、先が思いやられます(゚з゚)
軽度の子たちは企業を目指しているので先生方の対応も厳しいんですよね。
私は入所施設のことも念頭において就労を考え始めています。そういう意味で手広くやっている事業所さんに入れれば…と思うんですけど、考えることは皆同じでそういう事業所は人気なんですよね。楽しく生活できる場所が見つかるといいな…。
またいろいろ教えてくださいm(__)m
こちららの記事、大変作り込まれていてわかりやすく、参考になりますね。
ありがとうございます。
我が家の次男はI Q60くらいです。
今、高校3年生で実習真っ最中。
移行支援で様子を見て就労出来たらいいな、とは思っていますが、企業に社員としての就労はちょっと難しいかもしれません。
先日、工場のお掃除の特例子会社で実習した際に。かなり荒れてしまい。
ご飯も食べられなくなってしまって。
うちの子の能力だとお掃除くらいしか就労は難しくて。
でも、お掃除辛いみたいで、ご飯も食べられないんじゃ諦めるしかないかな、と。
親のエゴで就職無理強いしてもと、反省中です。
コメントありがとうございます。
まさに今就活中なんですね!
お子さんのケース、うちが目指している感じとよく似ていて参考になります。
うちも一般就労なら特例子会社、そしてできることはお掃除くらいかな、というところなのですが、掃除が嫌いなので厳しい感じがしますね…。
荒れてご飯も食べられなくなってしまったんですね( ;∀;)
うちも高等部に入ってからちょっと荒れていて、就労が目前に迫り、先生方の対応がこれまでより厳しくなっていることに(社会に出しても大丈夫なように鍛えてくれているという意味で)ちょっと憂鬱な気持ちになっている感じがします。
その様子を見ていて、一般就労どころかA型も厳しいかな…と。
うちはまだこれからになりますが、あまり高望みしすぎないようにしようと思います。
そうはいっても収入が高くないと自由になるお金も少ないし、バランスが難しいですよね。
これまではそれなりに贅沢をさせてきていたんですが、少ないお金でも楽しめるような生活水準に切り替えていくしかないのかなぁ~と。
いろいろ悩みます!!
お返事ありがとうございます。
高校一年の時も荒れました。
やはり作業などで先生の指導が厳しいと感じていたと思います。
普通中学支援級からの支援校への進学でしたので、初めての苦手な中、半年くらいはついていけていませんでした。
作業の様子はまるで軍隊…と他の方のコメントにもありますが、まさしくそんな感じでうちの子はひるんでいたと思います。
手先もかなり不器用で、周りとの差にさらに怖気付いてという感じだったのでないでしょうか。
そこに先生方の厳しい目と叱責と。
私語厳禁、言葉遣いも敬語でと畳みかけられて。
やっと三学期に入って何とか皆んなについていけたのかな?と思っています。
職場実習も他の子は一年生からもある中、うちは二年時に一度だけ。
コロナの影響もありますが、まだまだ会社や事業所に一人で実習が難しかったのだと思います。
二年生の実習では、車の部品の下請けの下請け?の事業所で、楽しく作業…名前に行きたくないと三日くらい泣いてました(汗)
最後の方は慣れてニコニコ顔でしたが、二週間親の方が生きた心地がしませんでした。
先日の会社の実習はお掃除。
しかも、なんと、初日朝からトイレ掃除でした。
後で分かったのが、午前中は毎日トイレ掃除、午後は他の所の掃除をするようです。
こちらはもう、本当に終わるまで毎日、どんより。
朝ごはんはもとより、晩ごはんも食べなくなって。
お昼のお弁当だけが生きる綱でした。
実習からひと月で四キロ痩せました(悲)
今も、食事のペースが戻らず、です。
朝食べたら昼のお弁当は残す、弁当食べたら夜は少なめ、など。
偏食もあるので、一回の食事での栄養が重要になってくるので、困ってます。
栄養が行き届かない病気もあるので余計です。
長々とすみません。
我が家の実習体験でした。
また、来週は事前面接、七月から新たな、今度は第二希望の事業所です。
それが終わったら役場で支援相談。
将来を見据えていろんな事を決めていく時期になってます。
お読みくださりありがとうございました。
やはり高1の時に荒れましたか。支援級からの入学だとなおさらでしょうね…。
高等部は急に厳しくなるイメージがします( ;∀;)
うちは知的に低いのもあるので、先生方の対応もそれほど厳しくはないはずなんですが、太郎にしてみれば長い夏休みが終わったような気がするんでしょうね。
インターシップの情報を詳しく教えてくださってありがとうございます!すごく参考になります(^^)
トイレ掃除ですかー。そういう話を伺うと、家でもやらせておいた方がよさそうな気がしますが、今は学校で気が張りつめているので、家くらいゆっくりしたい~というオーラが出ていて、なんとなく嫌な作業を頼むことができません(苦笑)
体が痩せると病気にもかかりやすくなるし、食事の量が落ちたのはとても心配ですね。
うちも似たような状況になりそうな予感しかしません…(´・ω・`)
新たな事業所が、お子さんにとって居心地の良い場所であるといいですね!
こんにちは
私、東京中野に住んで居たとき近くに社会福祉法人東京コロニー印刷営業があり父が亡くなったのでそこで喪中葉書を作って貰ったんだよ、その時その職場の様子を見ることが出来たんだけど、皆さん一生懸命働いていました。帰り際、「お祭りがあるので是非来てください」と言われたのでお言葉に従って行きましたよ、バンド組んで歌ありでとっても楽しかった( ^ω^ )
皆一杯練習したんだろうなぁ。
今はどうなんだろう?やっているのかなぁ?
分からないけどやっていて欲しいな。
太郎くんはきっと誰からも愛されると、思うよ(^ー^)
その様にサナさんが育てたんだもの。
こーさん、調べてみたらありましたよ!>東京コロニー印刷
楽しそうだなぁ。近かったら太郎の就労先に考えるのに(゚з゚)
でもきっと探せばありますよね。太郎が毎日楽しく通える場所を探しますよ~(‘ω’)ノ