そうだ!成人になった重度知的障害者の息子と選挙に行こう!
出典:いらすとや
今日は東京都知事選挙の投票日でしたね。
ちょうど3年前くらいの都議会議員選挙の時にも記事を書いたのですが、その時、重度知的障害の長男はまだ未成年でした。
ところが、今回はなんと息子もついに選挙権をGET😆
何もわからない重度知的障害者が選挙に参加することの是非はあるかもしれませんが、何事も経験、ということで、息子も選挙に行ってきましたよ!
行動障害のある重度知的障害者の息子が選挙に?可能なの?と思われる方もいると思うので、詳細についてレポートしたいと思います✋
未成年の時代から投票所には何度も足を運び、イメトレ済み!
重度知的障害者の息子は18歳になりましたが、IQ30なので5歳児程度の知能しかありません。
いや、定型発達の5歳児よりももっと、世の中のことがわかっていないと思います。うちは言葉の発達が特に遅れているため、選挙に対する理解度で言うと、体感2~3歳児の知能といったところです😅
選挙どころか、まだまだわからないこと、できないことが多いので、選挙権なんてうちの子にとっては猫に小判見たいなものだし…と思っていました。
積極的に選挙権を行使させるつもりなど毛頭なかった、と言っても過言ではありません。
それでも、うちの息子は重度知的障害に加えて行動障害もあり、一人で留守番をさせることもできないこともあって、私たち夫婦が選挙の投票に行くときは、面倒なので一緒に投票所まで連れて行っていました。
そのため、息子が選挙の投票所に行くのはもう何回目になるかな…というくらい、頻繁に訪れています。
投票所では、夫が投票する際は私が、私が投票する際は夫が、ロビーで息子の見張り(見張っていないと投票会場に乱入してくる🤣)を担当し…という段取りでやっとこさ投票を済ませていました。
しかし、3~4年くらい前から息子は投票所のロビーで一人で大人しく座って待てるようになったのです✨
素晴らしき成長です✨
それでも家を出るときに、どこに連れていかれるのか「???」と思ったようで、「買物?」と息子が質問してきたので、意味はわからんだろうなーと思いつつも「選挙」と。
「選挙に行くんだよ」と、さらっと答えてみたりしたんですね😅
そう言われたところで意味が分かるわけでもなく、それでも外出することは嬉しい息子は、選挙!選挙!と言いながら付いてきていました。息子が投票するわけじゃないんだけど😅
こんな感じで、重度知的障害者であっても、息子にとって案外「選挙」は身近な存在であったのです。
けれども、そんな息子もついに、今回の都知事選挙では選挙権が与えられることになりました。
知的障害者は選挙に行くのか?選挙の意味を理解できるのか?
ところで、知的障害者、特に息子のような重度知的障害の場合、選挙に行っている人はどのくらいいるんでしょうね?
「どうせ本人は理解できないし、連れて行っても無駄」とも思うし、そもそも「まともに投票が行えると思えない」という不安もありますよね😂
ちょうど3年前の都議会議員選挙のあった時期に、知的障害者で選挙に行っている人はどのくらいいるんだろう?と気になっていたんですよね。
その時、こんな記事を見つけたんです。
知的障害あっても都議選に “できると信じて一票を” | NHK
こちらの記事で紹介されているのは、東京・狛江市の「知的障害がある人にも投票に行ってもらおう」という取り組みです。東京都議会議員選挙を前に、知的障害や発達障害のある10代~50代までの5人に対し、「選挙とは何か」を学ぶ勉強会を開いたのです。授業はイラストを中心に、選挙の意義や仕組みをわかりやすく紐解いて解説するもので、参加者は集中が切れる様子もなく、真剣な表情で聞いていたのだそうです。
この際、授業の参考に使われたのが、狛江市が作った手引き書「わかりやすい主権者教育の手引き」。狛江市が専門家や親の会、福祉作業所などとともに、去年発行したものです。
「給食のメニューを決める模擬投票をする。多数決で決まる仕組みを知る」
難しい選挙の仕組みを身近なものに置き換えるなどして、知的障害者にとって難しい選挙の仕組みなどをやさしく教えるための方法が詳しく解説されている冊子です。
この冊子も然り、この冊子を使った勉強会も然り、とても素晴らしい取り組みだな、と私は思いました。
息子のような子であっても、給食のメニューでの模擬投票を行うことで、多数決で決まる仕組みを理解することはもしかしたらできるかもしれない、と思うからです。
身近で興味のある議題であれば、難しい内容も頭に入りやすくなりますよね。
こうした勉強会はぜひ知的障害者が選挙権を得る前のタイミングで、すべての自治体で行ってほしいとすら思います。
重度知的障害者が投票することの意味。公正に行える?
ただ一方で、この勉強会だけでは片手落ちだと私は思います。
というのも、選挙の仕組みを理解することができたとしても、「誰に投票すればいいか」を理解することは難しい。
となると、毎回、選挙ごとに、誰かが(支援者が)、各候補者の経歴や政策、マニフェストなどをわかりやすくかみ砕いた資料を別途作る必要があると思うんです。
でも、それを誰が作るのか?そしてその資料には作り手の意思が一切入らないとは言い切れるのか?
選挙であるから、こういう資料を作る際には公平性が求められますよね。資料を作る人が、自分が肩入れしている候補者(政党)に対して傾倒するようなことはあってはならないと思います。
もちろん作る人は公平性を意識して作るでしょうが、完全に公平に、というのは無理なのではと思わなくもない😗
特に、重度知的障害者については、正直、いろんな面で難しいと思う。
投票することは、できるか、できないかで言えば「できる」かもしれない。
もしかしたら投票用紙に自分の名前を書いたり😂白票だったりするかもしれないけれど。
どんな形でもよければ、投票はできる。選挙権は日本国民の当然の権利だから。知的障害があってもその権利は与えられる。
けど、選挙の意味もわからず、投票することに何の意味があるのか、とも思う。
知的障害あっても都議選に “できると信じて一票を” | NHK
この記事の中で紹介されていた重度知的障害者は、言葉が話せないけれども「好き嫌い」の意思表示はできる、というかなりコミュニケーションに難のある方です。
投票の際には親御さんが候補者の写真を一緒に見てから毎回投票に行っているそうですが、顔だけで決めて投票することに何の意味があるのかとも思ったり。
記事の中には「知的障害者に正しい判断ができるのだろうか」と、判断能力を疑う声もまだまだあるといいます。
けれども、「顔が好みだから」それの何が悪いのか?
健常者だって、政策を正しく理解して、投票できている人がどれだけいるのか?
前回の都議選では千代田区で平慶翔氏が当選していますが、極論を言えば、サッカー選手の長友佑都さんが応援演説に駆けつけたから、「長友が好きだから投票しちゃおう」というのと、「候補者の顔が好みだから投票しちゃおう」というのと、何が違うの?同じじゃない?
この記事に登場した重度知的障害者の親御さんはこんなふうに言ってました。
「私たちだって投票したあとに、『あなたの1票は正しいですか?』なんて絶対聞かれないのに、なぜ障害があるからといって、最初からできないって決めつけられたり、『それって本当に大丈夫?』って心配されなきゃいけないのでしょうか。この人を選んだっていうその人の選択が正しいので、それが正解なので、ほかの人と比べる必要はないと思います」
確かに。私自身も大した意志をもって選挙に臨んでいるわけじゃない。
今回の選挙で言えば、X(旧Twitter)で見かけた安野氏の奥様の動画を観て、「素敵だな」「かっこいいな」と思い、それだけの理由で投票しそうになりました。
障害のない人だって、どれほどの人が強い信念を持って投票をしているか、ということなんですよね。
まあ、うちの息子が実際どんな感じなのか、やってみなければわからないので、とりあえず参戦してみることにしました😆
息子、東京都知事選に参戦!その結果はいかに?
まず、投票所に行く前に、自宅でなるべく私見を挟まないように、息子に対して選挙公報を提示しました。
今回の選挙は人数が多いので、息子も目移りしていましたよ😂
都知事選挙って何?状態だと思うので、「東京都の校長先生的な人を選ぶんだけど、あなたは誰がいいと思う?」とたずねました。
ちなみに、息子は旅行や乗り物が好きなことから、ある程度の地理(世界主要都市及び日本国内)は理解していて、「東京都」は理解しています。
すごいな😆
ちなみに、マニフェストは説明してもわからないので、結局のところは顔と名前で判断していると思います😂
ひととおり、全員の顔と名前を確認させたところ、息子が選んだのは小林弘さんでした。
って、いちばん先頭の人かよ😂
パッと目についただけの人を選んだ感😂
しかし
介護士の賃上げとか、どんな人でも無理なく生活できる環境を整備するとか、なんとなく、息子にとって身近な感じの公約っぽい気がしなくもない😂
何度か他の候補者の写真も見せつつ、小林さんがいいと言うので、よーし、わかった、それじゃあ選挙に行こう!ってことで、夫と私、息子の3人で投票所に行ってきました。
そしていつものロビー。
息子は毎回ここで待機していましたが、今日はいよいよ投票箱のある部屋まで入っていくのです。
まずは私が先頭、次に息子、最後に夫と、息子を私たち夫婦が挟む形で入っていきました。
私がやっている行動を真似させつつ、後ろから夫が見守る体制ですね。
まず、受付のところで「お名前をどうぞ」と言われますが、私の真似をして自分の名前をスムーズに答えていました。
いいぞいいぞ😆
この後、投票券の引き換えに行くところが、息子はそのまま記入コーナーのところに行こうとしたので、私が慌てて引き換え所に誘導😂
そのまま一緒に記入コーナーまで連れて行き、候補者の一覧を見せながら、「この中でいいと思う人の名前をこの紙に書いてね」と指示。
息子は投票用紙に名前を記入し、そのままスタスタと出口に行きそうになったので、慌てて私も自分の投票用紙に候補者の名前を記入し、息子に投票箱の中に用紙を入れるように指示。
アタフタと慌てはしたものの、特に注意されることもなく、息子は投票を終え、無事に部屋を退出することができました。
ミッション・コンプリート🙌
ちなみに、投票前に誰の名前を書いたのかチラ見しましたが、
小林弘さんじゃなかった🤣
まさかの、ちょっと有名なあの方(小池さんでも蓮舫さんでも石丸さんでもない)
息子はNHKが大好きなので、ニュースで見たことがあったとかで、名前を知っていたのかな😂
自宅に帰って、選挙公報を見せながら、「誰に投票したの?」と聞いたら、ちゃんと投票用紙に書いた名前を答えてくれました😂
なんというか、意外と、適当に書いたわけでもないような😂
意味があったのかどうかはわかりませんが、初めての選挙は無事に終えることができました。
もしも、うちと同じような状態の重度知的障害のあるお子さんがいて、投票させてみようかなとお考えの方がいらっしゃいましたら、うちは連絡無しにダメ元で投票所に行ってしまいましたが、心配だわと思う場合は、事前に自治体に確認するなど、対策をしてみてください。
こちら↓総務省の資料「知的障害者のための投票環境の整備の推進について 」ですが
「令和4年7月の参議院議員選挙の際、意思の伝達や文字を書くことは余りうまくできないものの、家族の補助で投票できるものと思い投票所に行った。しかし、投票所の職員から家族の補助は認められないと言われ、やむなく投票を諦めたということを聞いたことがある。知的障害者でも投票できるはずなのに、知的障害者を持つ世帯やその関連施設には、投票に当たってどのような支援が受けられるのか、具体的な情報提供がない。投票を希望する知的障害者が円滑に投票できるよう、代理投票制度の事前案内や、投票支援カード、コミュニケーションボード(注)の用意など、知的障害者のための投票環境の整備を行ってほしい。」
みたいな事も書いてありました。
「知的障害者あるある」ですよね😔
うちの自治体は大丈夫でしたが、嫌な思いをすることもあり得ますので、事前に確認をした方がよいかもしれません。
我が家は次回、選挙に連れて行くときは、もう少し各候補者の特徴などを、息子にもわかりやすい感じで資料を作ってあげようかと思います。
今回は候補者が多すぎて断念🤣
はじめまして。
自閉症・知的あり3歳女の子の母です。
大変役立つ情報ばかりで参考にさせて頂いています。ありがとうございます。
障害がある娘の将来を憂いていましたが、サナさんのブログを見て何とかなると元気をもらいました。
ニュースで遺族年金改正について取り上げられ、障害のある子供を持つ親として、また不安要素が増えたなと思っています。
サナさんのご家庭では年金改正について話されましたか?
コメントありがとうございます!
遺族年金について、まさにひとこと言いたいと思っておりました。
ちょうどさくらもちさんにコメントいただいた日に、夫に遺族年金について話をしていたところです。
さくらもちさんはお子さんが3歳とのことで、お子さんが大人になる頃には遺族年金の改正については移行期間も終わっている頃かと思います。
障害者の親子の事はあまり考えられていない制度だと思います。
以下はX(旧Twitter)に書いたポストの内容です。
こういう話が出てくるといつも思うのは、重度知的障害児の家庭はいつも蚊帳の外だってこと。
重度知的障害児が18歳になると、健常児と同様に親権が無くなることも、実態にそぐわない、何の寄り添いもない紋切型の制度だと思っていたけど。
遺族年金の改正案もまったく同じだよね。
現行の制度では「夫を亡くした30歳以上の妻は、子供がいても、いなくても一生涯受け取れる」ということで、常に見守りが必要な重度知的障害のある子供が成人(18歳)して、法的には子供がいない状態になったとしても、遺族年金を一生涯受け取ることができていた。
それが、改正案では「子供のいない60歳未満の男女は5年間だけ受け取れる」という内容に変わるということ。
18歳未満の子供がいる人と、子供がいない人で60歳以上で配偶者と死別した人は現行制度と変わらないけど、例えば重度知的障害の子が一人だけいる家庭の場合、子供が18歳になった年の4月以降は、自分が60歳になるまでの間に夫が亡くなってしまった場合、遺族年金が5年間しか支給されないことになるわけで。
重度知的障害のある子の場合、子供がある程度大きくなったからといって、気軽に働きに出られるわけじゃない。
働いている人も、デイサービス等の支援をやりくりして、なんとか働けているという人がほとんどだ。
それも、18歳の壁=学校の卒業とともに、預け先もなくなり、フルタイムで働くことも難しくなる。
うちの息子のように行動障害・強度行動障害がある子の場合は、たとえ短い時間であっても働きに出ることは難しい。
なんとか施設に入れることができたとしても、それまで何のキャリアもなかった50歳代の女性が、ある程度の給与がもらえる定職に就くのは難しいのではないだろうか。
遺族年金が5年で打ち切りになるとすれば、子供を施設に入れるために奔走するしかないだろう。
自分が働きに出るために。
障害の重い子を、預け先もなかなか見つからない子供を、遠い地方にある、めったに会う事もできない施設に預けざるを得ない、という状況にもなりかねない。
もっとも、新しい制度は段階的に取り入れるとかで、最初は30歳未満から40歳未満に引き上げ、その5年後には45歳未満に引き上げる。さらに5年後は50歳未満を対象とする……といった具合に激変緩和措置を設ける予定なのだとか。
段階的に取り入れるから、比較的年齢の若い人たちに、今のうちから備えておきなさい…ってことなんだろうけど。
障害児のいる家庭には備えようもない事情もあるんだけどな。
年金3号の廃止の件もそう。
働きたくても働きに出ることができない障害児のママの存在は、全く考慮されていないんだよね。
こうした声が届くことはないんだろうか。
マイノリティすぎて黙殺されているんだろうか。
お返事ありがとうございます。
頼みの綱の遺族年金が無くなると思うと不安です。
サナさんのご意見を年金改正しようとしている人達に読んで欲しいです。成人しても中身は子供のままでお世話が必要だということ、働きたくても働けない現状は、経験者でないと分からない(想像すらしていない)のかもしれませんね。
私の子供は3歳で、将来のことはまだまだ分からないですが、障害者のいる家庭が(成人してても、未成年でも)安心して暮らせる日本だといいなと思います。
とりあえずは、サナさんの以前の記事にあった『しょうがい共済』を検討してみます。
ありがとうございました。
扶養共済の件は別途詳しく記事にしようと思っています。
というのも、実際に子供が学校を卒業して生活介護事業所に通うようになって思ったのは、月々の固定費(昼食代、送迎代)が意外とお金がかかるんだな…ということに気づいたんです。施設やGHに入れば、さらに朝食・夕食代、光熱費その他実費などがかかり、障害年金2級の金額だけでは赤字になるのでは…と。そうなれば生活保護の申請をするなど対処のしようもあるかと思いますが、本人が自由に使えるお小遣いまで配慮してもらえるとも思えず。
扶養共済に2口加入しておけば、その点は少し安心できそうかなとも思いました。
お久しぶりです。
我が家も、選挙権を持ってすぐの選挙から欠かさず投票に連れていっています。
軽度知的障害(IQ60)です。
慣れてくれれば、との思いからの毎回で、やはり回を重ねるごとにスムーズになってきました。
うちは、中1から行っていたフリースクールで模擬選挙と投票があり、実物と同じものを使って投票経験を積むためのイベントで、なかなか考えられているのだなと思いました。
我が家では、夫が説明してくれて、「誰の名前を書いても良いし、白紙で出しても良いんだ」と伝えたそうです。
誰に投票したのかは聞いたことがないですね。
ご無沙汰しております!
選挙に欠かさず連れていらっしゃるんですね(^^)
うちは思ったよりもスムーズにできて驚きました。
選挙は完全に1人でこなせないとダメなのかと思っていましたが、親である私が「ここに書いてね」と声をかけたり、間違った行動をすれば「こっちだよ」と促したりすることは、特に咎められることもなく、ほっと一安心でした。
意味はわからないかもしれないけど、社会の一員となった感じがして、ちょっと嬉しかったです。
フリースクールではそんなイベントもやってくださっているんですね。
素晴らしいです!
こんにちは
太郎くん大人になってきましたね
教え方がいいのもあるね
ダメだと諦めないこと❗
大事ですね
私Xやっていないブログのみなのです
こーでした
大人になるに連れて、できることも増えましたが、困りごとも増えています(;’∀’)
いい意味でも悪い意味でも自立心が芽生えているんですよね。
もう数年すれば落ち着いてくると思うのですが。