【STOP!自立訓練】成人年齢が近づいてきた重度知的障害児の親として注意すべきこと②
出典:いらすとや
こちらは以下の記事☟の続きとなります。
「頑張り過ぎてはいけない」という意味を説明する前に、まずは前回の記事の中に出てきた愛の手帳成人更新、障害支援区分判定、障害年金等級判定についてもう少し詳しく説明していきたいと思います🖐️
3つの区分判定についてもっと詳しく!
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前回の記事でも説明していますが、東京都では18歳(成人)になるタイミングで愛の手帳の成人更新を、そして生活介護事業所に入所を希望する方は学校を卒業(事業所に入所)するまでの間に障害支援区分判定を受ける必要があります。
障害支援区分の判定を行う時期については自治体によって異なるため、いつ判定を行うか知りたい方はご自身が住む自治体の福祉課にご確認ください。
障害年金について20歳に達してからの支給となるため、申請も20歳になる直前のタイミングで行います。
今回の記事では主に愛の手帳の更新を例に説明しようと思っているので、障害支援区分と障害年金についてはサラッと触れるだけになります。(後日それぞれ記事にする予定ではおります)
愛の手帳(療育手帳)成人更新
これは東京都の場合ですが、18歳の誕生日を迎えると愛の手帳の成人更新の手続きが必要になります。
ちなみに愛の手帳というのは東京都の療育手帳の名称であり、療育手帳の判定基準や有効期限、更新の頻度などは各都道府県によってルールが異なるため、こちらの記事の内容はあくまでも東京都の愛の手帳のルールということでご覧ください。
東京都の場合、知的障害のある子は児童相談所で判定を受けて愛の手帳を取得します。愛の手帳には有効期限は無く、手帳の取得後は3歳、6歳、12歳、18歳に達した時(または知的障害の程度に著しい変化が生じた時)に再判定を受ける必要があるとされています。
そのため、東京都在住のお子さんで幼児期に愛の手帳を取得した方でも幼稚園卒園と小学校卒業、高校卒業のタイミングで更新手続きに行くことになります。
ちなみに18歳未満の更新の際は児童相談所へ判定を受けに行っていましたが、18歳以上の更新は児童相談所ではなく、東京都福祉局心身障害者福祉センターに変わります。
この18歳時点での更新は愛の手帳の成人更新とも呼ばれているのですが、自動車運転免許のように更新手続きのご案内のようなはがき等は一切届きません。
自主的に電話連絡して判定日を予約しなければならないのでご注意くださいね。
愛の手帳の成人更新についてはまた別途記事に書こうと思いますので、手続きの詳細については今回は割愛させていただきます🙏
今回の記事で述べたいポイントは「判定について」なのですが、ここで愛の手帳についておさらいをしておこうと思います。
愛の手帳とは
愛の手帳(東京都療育手帳)は、東京都愛の手帳交付要綱に基づき、知的障害者(児)の保護及び自立更生の援助を図るとともに、知的障害者(児)に対する社会の理解と協力を深めるために交付し、知的障害者の福祉の増進に資することを目的としており、障害の程度によって、1度から4度に区分されます。
愛の手帳の交付を受けるためには
手帳の交付を受けるためには、心身障害者福祉センター及び多摩支所(18歳以上の知的障害者)、各児童相談所(18歳未満の知的障害児)の判定を受ける必要があります。
・心身障害者福祉センター及び多摩支所で判定を受ける場合は、センター及び多摩支所に直接予約申込みをお願いいたします。
・児童相談所で判定を受ける場合は、お住まいを管轄する児童相談所に直接予約申込みをお願いいたします。
知的障害とは何ですか
知的障害とは、知的機能の障害が発達期(18歳未満)にあらわれ、日常生活に支障が生じているため、何らかの特別な援助を必要とする状態にあるもので、知的機能と日常生活能力のいずれもが基準に該当するものとされています。具体的には、東京都愛の手帳判定基準にもとづいて、知能測定値・知的能力・基本的生活等の各項目より総合的に判定されます。18歳未満の判定項目については、年齢により多少異なります。
判定とは、どのようなことをするのですか
「愛の手帳」の判定では、保護者等の方から発育状況をお聞かせいただいたり、ご本人との面接、知能検査などを行い、医学的心理学的・社会診断的見地から総合判定に基づいて判定をしています。
判定の方法については、18歳以上の場合と18歳未満の場合では異なる部分があります。
- 心理判定員が、ご本人と同行の保護者や家族の方から生育歴や日常生活についてのお話を伺い、18歳までの知的発達の状態とご本人の現在の状況をお聞きします。それから、ご本人に知能検査を実施します。
- 身長・体重の計測を行い、それから精神科医師がご本人や同行の方からお話を伺い、知的障害かどうかを診断します。この他、精神的・身体的合併症や問題行動についてお聞きすることもあります。
- これらの結果から、精神科医、心理判定員等の協議により総合判定を行います。
出典・参考URL↓
愛の手帳について(愛の手帳Q&A) 東京都福祉局 (tokyo.lg.jp)
まあ、いろいろ書いてあるんですが、愛の手帳というのは知的障害のある障害者に対して交付される手帳です。
自閉症やADHDなどの発達障害であっても知的障害を伴わない場合は愛の手帳を取得することはできません。
で、知的障害を伴うかどうかという事を判断するのが児童相談所や東京都福祉局心身障害者福祉センターで行う愛の手帳取得のための判定であり、この判定によってIQ(知能指数)が算出され、最重度(~19)・重度(20~34)・中度(35~49)・軽度(50~75)という等級が割り当てられます。
この判定は上記にも書いてありますが、以下の4つの結果を総合的に判断して行われるとのこと。
①身長、体重の計測
②本人や保護者への聞き取り調査
③知能検査
④精神科医の診察
私の想像ですが、③知能検査が判定基準の大半を占め、②の聞き取り調査で微調整をするのかな?と思っています。
だって聞き取り調査って何とでも言えるじゃないですか😅
例えばうちの息子のように重度知的障害のある子でまともに喋れない子は本人の聞き取りはほぼ不可能であり(不可能=障害が重いと判定されているかもしれないですが)、保護者への聞き取りがメインになるわけですが、ここで質問される内容というのが、例えば生活自立(食事・排泄・着替えなど)については項目ごとに「一人でできる・介助ありでできる・できない」などを答えていくんですよね。
で、うちみたいな重度の子でもですね、小さい頃から将来の自立を見据えて何でも一人でできるように頑張って躾けてきているわけですよ。
だからトイレや食事、着替え、歯磨き、お風呂など、ひととおり何でもできるようになっているんですよね。
しかしこれを「一人でできる」と単純に答えるのではなく、
「着替えは一人でできるが、一人でやらせると真夏にダウンコートを着たり真冬に半袖Tシャツ1枚で外に出る」
とか
「介助無しで一人で食事をとれるが、一人でやらせると致死量の醤油をかけてしまう」
などの困りごとをアピールし、
つまり本当の意味では「一人ではできない」「常に監視が必要」という点を伝えることが、聞き取り調査の本当の目的なのではと思っています。
しかし判定の基礎となるのはあくまでも知能検査。
この知能検査の結果が将来にわたって受ける支援の礎(いしずえ)となるわけですから、成人更新時の知能検査の重要性がおわかりいただけるのでは?と思います。
愛の手帳を所持していることにより受けられる支援は、中度と重度の間に超えられない大きな壁があり、うちの息子は18歳までは重度だったので、更新時も何としてでも重度をキープしたいと考えていました。
というのは、高校卒業のタイミングで行う判定が基本的には最後の更新手続きであり、この際に判定された手帳の度数が一生涯(死ぬまで)適用されることになるからです。
もちろん、障害の状態が変われば(知的障害の程度が重くなるなど)再判定の申請も可能ですが、そういう事情がなければ成人更新の際に判定された度数のまま、ということになります。
障害支援区分の判定
前回の記事に書きましたが、卒業後に生活介護事業所への入所を予定されている方は、障害支援区分の判定を受ける必要があります。
生活介護
障害者支援施設その他の以下に掲げる便宜を適切に供与することができる施設において、入浴、排せつ及び食事等の介護、創作的活動又は生産活動の機会の提供その他必要な援助を要する障害者であって、常時介護を要するものにつき、主として昼間において、入浴、排せつ及び食事等の介護、調理、洗濯及び掃除等の家事並びに生活等に関する相談及び助言その他の必要な日常生活上の支援、創作的活動又は生産活動の機会の提供その他の身体機能又は生活能力の向上のために必要な支援を行います。
【対象者】地域や入所施設において、安定した生活を営むため、常時介護等の支援が必要な者として次に掲げる者
(1) 障害支援区分が区分3(障害者支援施設等に入所する場合は区分4)以上である者
(2) 年齢が50歳以上の場合は、障害支援区分が区分2(障害者支援施設等に入所する場合は区分3)以上である者
(3) 生活介護と施設入所支援との利用の組合わせを希望する者であって、障害支援区分が区分4(50歳以上の者は区分3)より低い者で、指定特定相談支援事業者によるサービス等利用計画案を作成する手続を経た上で、市町村により利用の組合わせの必要性が認められた者
出典:障害福祉サービスの内容 |厚生労働省 (mhlw.go.jp)
生活介護を利用するためには「障害支援区分が3以上であるもの」という条件があります。
障害支援区分の概要については以下のとおり。
これも愛の手帳の判定と同じく、本人の様子の観察だとか保護者の聞き取り、それに加え主治医の意見書等、総合的に判断して区分が判定されます。
ただし心理検査(知能検査)はありません。
①認定調査員による訪問調査
②本人や保護者への聞き取り調査
③医師の意見書
障害支援区分については「障害支援の区分」という名前のとおり、どの程度支援が必要なのか?という観点で判定されているため、IQが低ければ支援が手厚くなるというわけではありません。
上記の認定調査項目(80項目)において、「一人でできる・介助ありでできる・できない」の中の「できない」がたくさんあるほど重い判定がくだされるのだと思います。
そのため、重度知的障害者であっても排泄・食事・着替え等が自立できている人は支援区分が軽く出る傾向があると言えます。
障害年金の受給申請
障害年金の制度そのものについてはまた別途記事を書こうと思っていますので、リンクだけ貼っておきますね。
障害年金の概要↓
障害等級について↓
年金請求書提出までの流れ↓
障害年金については以前記事にしていますが
障害支援区分と同様に、障害年金についてもIQ(知能指数)は重要な判定要因にはならないんですよね😔
というか。
心理検査(知能検査)も無く、さらに訪問調査や聞き取り調査・面談等もなく、書類だけで判定されてしまうというから驚きです😂
判定基準となる書類は以下の2つになりますが
①病歴・就労状況等申立書
②医師の診断書
判定基準の大半を占めるのが②医師の診断書らしいです。本当のところは知らんけど😂
障害年金の申請をする際に、主治医に診断書作成を依頼するわけですが、その際にどれだけ障害によって大変な生活をしているかということを訴え、それを反映させた診断書を作っていただかなくてはならないわけです。
つまり、ここでもあまり困りごとがなく、安定した状態でいると、障害が軽いと判定されてしまう恐れがあるわけです😱
というところで、次の③に続きます。
お久しぶりです。
私の住む地域では“療育手帳”です。
先日、お誕生日から一月くらい遅れて更新のための聞き取りを福祉課で受けてきました。
後日、療育センターで最後の更新の手続きをしてきました。
その場所は、次男を連れて通っていた児相でした。
問い合わせるまで気づいておらず、車で行く途中で知っている場所だと分かり。
15年前に藁をも掴む気持ちで通っていた場所でした。
何とも言えない感慨深い気持ちで自動ドアをくぐりました。
今は管轄の児相は移転して、私と次男が療育を受けていたフロアーは別の町の児相になっているとか。
十五年前は今の姿を想像できないだろうな。
とは言え、何度やってもIQは変わりませんけどね。
親も子も経験値は増えました。
にゃんこさん、お久しぶりです(^^)
手帳の更新お疲れ様でした。
いろいろ大変でしたね(;’∀’)
IQは変わらずとも経験値は増える、まさにうちもそんな感じですね。
幼児期に通っていた療育センター、私も見に行ってみたいような気がします。
痛みをともなうなつかしさを感じるだろうなぁ。
こんにちは
前にも同じ事書いたけどさ。。。
親亡き後を考えると、一人で最低限困らない様にするけどそれがアダとなるような感じだよね。
精神科の先生の判断もとっても大きいよね。
運転免許のようにハガキでお知らせ来たら変だよね、成長と共に変化があるものね。
今年もよろしくです
こーでした。◕‿◕。
こーさん、今年もよろしくお願いします(^^)/
身の回りのことは一人でできるようにしておくべきだとは思いますが、こういう判定の時に身辺自立ができていることだけが妙にスポットを当てられ、障害が軽いとみなされるのはどうかと思うんですよね…。
障害年金は精神科の先生の診断がとにかく重要なので、年金の下準備は事前にバッチリ済ませておこうと思います!