【成年後見制度】親亡き後、知的障害の子に後見人は必要か?~後編~

こちらの記事は、前編☟の続きとなります。

【成年後見制度】親亡き後、知的障害の子に後見人は必要か?~前編~

前編では「成年後見制度」とは一体どういうものなのか、制度についての説明をメインに紹介してきました。

後編では、まずは成年後見制度を利用するとした場合に、親族(親・兄弟姉妹など)を後見人とした場合のメリット・デメリットについて、そして、第三者(弁護士・司法書士・行政書士・社会福祉士など)を後見人とした場合のメリット・デメリットについて、紹介していこうと思います。

ただし、X(旧Twitter)でも言及しましたが、成年後見制度は私自身が利用したこともないし、身近に利用したことのある人がいるわけでもないため、記事を書くために参照した資料はいずれも官公庁や自治体が発信しているものであり、調査時期が10年前のものだったりもします。つまり、10年もすれば状況も変わっていて、「今はそんなことはない」という点もあるかと思います。それゆえ、古い情報をもとにこうした記事を書くこと自体に迷いはありましたが、とにかく成年後見制度については情報が少ないということもあり、「障害者の親目線」での成年後見制度について書く事に意義はあると信じて、この記事を書くことにしました。また、一部はこうした資料をもとにした私の考察となります。あくまでも私自身が思った事・考えた事・感じた事に過ぎないので、具体的に制度の利用を検討されている方は、ご自身で調べるなり、しかるべき所へ相談されるなりする事を強くおすすめします。

 

「成年後見制度」の現状と課題

「成年後見制度・知的障害者・利用状況」とGoogleで検索すると、厚生労働省やら法務省やらのお堅い資料が続々出てきます😂

まあ、お堅いんですが、読んで分析すれば記事にできそうなネタはたくさんありました😂

まず、法務省。

「知的障害領域で期待される成年後見制度のあり方について 」という資料に、こんなことが書いてありましたよ。

知的障害領域における成年後見制度利用に向けた課題
(1)制度の周知不足で利用を控えているわけではない
(2)一度使うと本人の死亡まで止めることができない
(3)原則として被後見人側から後見人等の変更ができない
(4)多くの知的障害者が障害等級に関係なく後見類型で決定されており、法的能力の否定がもたらす権利侵害を回復できない
(4)財産管理に重きが置かれ、身上保護が十分とはいえない
(5)月々の後見人報酬が年金収入に対して高額で、長期にわたって支払えない

出典:法務省 知的障害領域で期待される成年後見制度のあり方について

うわ、これはもう全部、禿げあがるほど同意なことばかりで😂

法務省ときたら、ここまで親のニーズを把握しておきながら、いまだちっとも何の対策もできてないのか!と不思議に思ったら、この資料を作成したのは「全国手をつなぐ育成会連合会」

いや、さすがです😆

スポット利用の件など、本当にこれは素晴らしい。なんとか前向きに検討して、制度化してほしいものです。

次に、厚生労働省「成年後見制度の現状」。

この中に今後の「課題」として、以下のように書いてあるんですけど…。

未だ、知的障害・精神障害・認知症等の利用対象者の数に比べ、成年後見制度の利用者数が少なく、保佐・補助及び任意後見の利用も低調であることから、引き続き、成年後見制度の周知を図る必要がある。

出典:厚生労働省 成年後見制度の現状

だから、違うってば😂

制度の周知不足で利用を控えているわけではない。

使えない制度だから使わないだけ!

…そこのところを、わかってほしい。わかったうえで、ぜひ、法務省が把握している「課題」を解決して制度化してほしいものです。

でも、せっかくなので、何でか勘違いしている厚労省の資料を少し分析してみようかと思います。

まず、成年後見制度の利用者数の推移。

増加傾向にあるとはいえ、微々たるものですよね…。それにこれ、知的障害者だけでなく、高齢者も含まれた数字なんです。というよりも、むしろ大半が高齢者なのではと思いますね。

それに比べると、知的障害者はこれですよ☟

平成28年から令和4年のあいだに、知的障害者が178万人も増加しているんですって!

わずか6年で知的障害者がこんなに増加しているということからすると、知的障害者の成年後見制度の利用は積極的には進んでいないということになりますよね。

次に、成年後見の開始の申立てをした人と本人の関係☟

これね、見ていただくとわかると思うんですけど、「親」ってたったの5%ですよ。つまり、知的障害者の親が成年後見制度を使おうとしている人なんて、割合的に本当に少ないってこと。子の方が断然多いってことは、この場合の本人=高齢者なんでしょうね。知的障害者が成年後見制度を利用している割合は本当に少ないのだと思います。

おそらく、知的障害者の場合は、親が亡くなった後に兄弟姉妹が後見人の申立てをしたか、もしくは親亡き後に本人に身寄りのない場合に、市区町村長が後見人の申立てをした…というようなケースが多いのではと思われます。親が元気なうちは、成年後見制度を使わないでなんとかやり過ごしている人が多いのではと思うんですけどね。

市区町村長の申立ては増加傾向にあるようですよ。身寄りのない高齢者も増えているのかもしれないですが、親が急死したことによる身寄りのない知的障害者というのは、今後も増えていくんじゃないですかね。親が子のために生前に成年後見開始申立てをしないまま亡くなってしまった場合、法的な契約行為等をが発生したときに、後見人の申立てをできる人がいないために、困った施設の職員が自治体に相談して…みたいな感じで。こういうケースが増えていくと、国としても、親が生きているうちに成年後見開始の申立てをさせるように、制度の改革に本腰を入れてくれる…はず。ですが、どうでしょうね~😅

(ちなみに、親が生きているケースであっても、その親が「成年後見開始の申立てはしない!」と断固拒否したことにより、市区町村長が後見人の申立てを行う…というケースもありそう😂)

ちなみに、成年後見開始の申立てをしようと思った理由のナンバー1は、「預貯金等の管理・解約」だそうですよ。これは意思能力のない本人はできないことですし、親権のない親も、管理はともかく、口座の開設・解約みたいな行為はできないんですよね(対面のみ。インターネット上ではやろうと思えばできてしまいます)。だから、子が18歳になる前に(成人する前に、親権がなくなる前に)、できる限り銀行口座の開設は行っておいた方がいいですよ。

親権を失う前に!重度知的障害児が未成年のうちでなければできないこと

最後に、成年後見人を立てている人で、成年後見人と本人との関係について。

資料を見ると、令和6年時点で、82.9%は親族以外の成年後見人が選任されているとのこと。

これももちろん、障害者だけのデータではなく、高齢者の割合の方が圧倒的に多いのではないかと思うんですけどね。親族の内訳が「子」が過半数であることからしても。

申立ての際に「親族」を候補者として希望したにもかかわらず、第三者が選任されてしまったのかどうかというところまではわかりません。最初から親族を希望しなかったのかもしれないし、すでに後見人の候補となれる親族が実在していなかったのかもしれない。そこはわかりません。

わかりませんが、知的障害者の割合をどうしても知りたかったので、調べていたら、今度は裁判所のサイトにちょっと関連した情報があったので引っ張ってきました。

こちらです☟

出典:裁判所 成年後見関係事件の概況

やっぱり少ないですよね、知的障害者の割合は。令和4年1~12月のデータとのことですが。

そして、これを見ると、成年後見開始の申立てをする際に、親族を候補者として申立書に記載してあったものは、全体の23.1%。そして、実際に親族が選任されたのが19.1%。選任された親族の中には、候補者として記載していたわけではなく、裁判所があえて親族を選任したケースもあると思うので、やはり、申立て時に親族の候補者を記載した人がどのくらいの割合で実際に選任されたのかはわからないですね。ただ、わからないものの、想像よりは選ばれているのかもしれないとも思いました。

 

親族が成年後見人になるメリット・デメリット

では、任意後見制度を使ったり、また、法定後見制度でも親族を後見人の候補者として申立てを行ったうえで選任された場合に、親族が障害のある子の成年後見人となることができるわけですが、何か不都合なことなどあるんでしょうかね?

メリットとしては、子が18歳を超えても(成人になっても)、親が子の代理人として、契約等を行うことができる点でしょうね。本来であれば、子が18歳になると親は親権を失うため、子名義の銀行口座を開設するなどの契約行為はできなくなってしまいます。銀行の窓口に本人を連れていっても、メガバンクあたりは「成年後見人を連れてきてください」と言われてしまいます、子が重度の知的障害者の場合は。この場合も、自分こそが成年後見人なんですから、全く問題ないわけです。そして、未成年の時と同じように、子名義のお金も自分の裁量で自由に管理できる点もメリットです。

一方、デメリットとしては、成年後見人になると、親子だからといって、お金のやりとりを適当に済ますことはできない点です。親族の後見人であっても、第三者の後見人がやる事と同じ事をする必要があります。

成年後見人が選任後にすること

成年後見人選任審判確定後1か月以内に、本人の財産を調査して「財産目録」を作成し、家庭裁判所へ提出しなければならない

⇒後見人は、選任後速やかに面談などを通じて本人の生活状況や今後の生活上の希望等を確認する。また、銀行等へ必要な届出を行い、後見等事務の方針を立てた後、財産目録や収支予定表等を作成し、家庭裁判所に提出する

その後、本人の財産を他人の財産と混在させたりしないように注意しつつ、本人のために財産を管理をする。適切な管理を行うために、収支や支出についてきちんと金銭出納帳に記録し、領収書等の資料を保管しておく。(預貯金の流用など財産の管理が不適切である場合には、成年後見人を解任されたり、民事・刑事上の責任を問われることがある)

つまり、本人名義のお金はすべて、どんな些細な物であったとしても、すべて領収書等を保管して金銭出納帳として記録しなければならないんですよね。また、本人が親と同居している場合は、食費や水光熱費のようなものも本人使用分としてあらかじめ算出し、金銭出納帳に計上しなくてはならないようです。これ、かなり大変ですよね!毎日が確定申告のようで鬱な気持ちになりそうです😂

親の目を盗んで勝手に買い物をするタイプの子だと、お小遣い帳をつけるだけでも大変なのに😂

そして、こうした「成年後見人がやるべき後見事務」について、親族だから、素人だからといって、教育や支援を受けられる機会は殆どありません。後見事務を問題なくこなせる親族はそう多くないようで、そういう意味で、もともとこの制度が始まった時よりも、親族が成年後見人として選ばれる割合は激減しているようです。

こうした負担感もあるため、親亡き後に、きょうだい児を成年後見人にさせようと考えている方は、きょうだい児本人が後見事務を問題なくこなせるかどうか、また負担に感じないか、快く引き受ける気持ちはあるか、といったことも確認しておくべきかと思います。

 

第三者の成年後見人のメリット・デメリット

では、弁護士や司法書士といった、第三者が成年後見人となる場合のメリットはなんでしょうかね?

親族がなる場合の裏を返せば、面倒な後見事務も、専門職なら難なくこなしてもらえるという点でしょうか。でもこれは、報酬を支払うのであれば、やれて当たり前といえば当たり前のことなんですが😅

親族がなる場合と比べてのメリットではなく、成年後見人を立てない場合と比べたメリットとしては、後見人が定期的に関与していることで、施設等での虐待防止だとか、不正(障害者の財産の横領的な)防止だとか、そういう点はあるのかもしれない。でもこれも、どの程度関与しているかによるような…。

第三者が成年後見人となっているケースについては、私自身がよく知らないということもあって、なんとなくメリットデメリットは想像できるものの、語れるほど知っているかというと、正直なところ全くわからないに等しい😂

そこで、厚生労働省が成年後見制度の利用実態を把握するためにまとめた報告書の内容を確認してみました。平成30年の報告書なので、ちょっと古いんですが…。

以下の調査は、障害者福祉施設で働く職員さん等に向けた成年後見人に対するアンケートの回答です。

まずは、障害者福祉施設等で成年後見制度を利用している利用者(障害者)に対して、専門職の成年後見人(弁護士・司法書士・社会福祉士等)の、「サービス等利用計画に対して本人にとって有益な希望や意見があった」と思われる回答について抜粋してみました。調査対象、調査方法等は、以下のリンクに詳しく書いてあるのでご覧ください。

後見人による<本人にとって有益と思う意見や内容>


●移動支援を利用して好きなものを買うことができるとよい。生活保護や短期入所を利用して少しでも日常生活が活性化するとよい(と言ってくださった)
●携帯電話やインターネットなどの契約に何する書類やその他不明の書類が送られてきたときのアドバイスの仕方等
●就労していた事業所に就業規則に成年被後見人は雇わないことができるとの規定があり、解雇されることとなった時、事業所に出向き、本人の権利擁護をしてくださった
●ケース会議等参加を特に求めてはいないが出席。処遇困難ケースのため、本人にあった施設、病院を自ら探してくれる
●施設で過ごせなくなった場合を想定して、色んな情報を集めて報告してくださった
施設入所であるがご本人の経済的に余裕があるため福祉サービスだけでなく有償ボランティアの利用や余暇に必要な物品の購入の要望があった
●本人の生活環境や健康面の変化があるたびに最善の道を一緒に考え対応しておられる
●本人は金銭管理の面で強い不安を持っており、本人の希望を聞きながら生活費の管理を行われる。金銭搾取の疑いがある親族へ実際に会って説明を行ったり金銭面の課題解決に取り組んでいただいている
●携帯電話によるトラブルが起こりそうであったため、プランの見直しや利用方法についての提案があった
●いままではお金を使いたい放題だったが後見人が入り話し合いを行い買い物ができるようになった
●本人の粗暴行為が度重なり、グループホームから退去となり身寄りのない本人になりかわって行政等に働きかけ結果時間はかかったが施設入所することができた
●入所施設の支援を補完する外部サービス(定期的面会・散歩)の利用を後見人が主導して、保護者と施設側の了解を得ながら導入することができた。後見人自身が相談支援専門員であり、このようなサービス提供機関に精通していた
●年金と工賃の通帳を分けて管理し、工賃の通帳を毎日本人が確認することで、いずれは施設を出て生活するという目標ができる(という助言をいただいた)

出典:厚生労働省 成年後見制度の利用実態把握及び 法人後見の活用に関する研究 報告書

上記はメリットにあたる回答でしたが、以下はデメリットにあたる回答となります。

後見人による<本人にとって不利益・疑問に思う意見や内容>


●経済的負担が大きい・多額の報酬が支払われている
●後見報酬が年金収入を圧迫してしまう
●本人が希望する購入品を自由に購入できない
●連絡なく長期休みになり、小遣い渡しがとどこおる。実質的にすべて施設対応で委託料だけとられてる感あり
●何もされていないのに、報酬だけが支払われている
●申請等やらないので、本人が使えるサービスをうけられない
●財産管理のみで他は関わりたがらない
●横柄な印象があり、面会や問い合わせもない。本人の様子を知ろうともしない
●必要な支出がタイムリーに実施できない。積極的にお金がかかることに参加しづらい
●預貯金の使用制限が激しい
●書類の郵送のみで10年間一度しか面会にこない
●弁護士就任時に一度訪問しただけでその後は一度も面会に来ない
●報酬だけになっている (後見人として何の活動もしていない)
●何を後見しているか分からない・何をしているか不明
●後見人なのに身上監護を行わない
●個別支援計画など本人のことをどこまで理解しているか疑問に思う
●何もやらないのに、お金だけとっているように思う
●定期預金のみ管理し、その他預貯金の細かい部分は施設任せ
●本人の日常的なことについては、施設やグループホームの職員が対応している
●後見人の利害と本人の所持する財産の兼ね合いで本人の生活が制限されてしまう件
●相続の問題で、家族が後見を希望したがなれなかったこと。第三者が後見になったことで、家族の身上監護が減ったように感じられる。また、報酬も支払わなければならず、年金収入だけなので、入院等の貯蓄が心配

出典:厚生労働省 成年後見制度の利用実態把握及び 法人後見の活用に関する研究 報告書

これは抜粋で、回答の一部なんですが、とにかく「面会にこない」というのが本当に多くて😂

なんというか、専門職の方は、「人それぞれ」「その人の資質による」というんですかねえ。

そこまでやってくれるんだ!すごい!と思う方もいれば、本当にお金だけ取って何をやってくれているんだろう?と思う方もいて。もちろん、これは10年くらい前の情報なので、現在は劇的に改善されているかもしれません…が…😅

第三者の成年後見人を立てる最大のデメリットととして、後見人が立つことで、これまで親が暗黙の了解でやってきた「子名義の銀行口座からお金をおろす」とか、「子の保護者として事業所への入所の契約をする」みたいなことができなくなってしまうことです。(お金の引出しに関しては、子が自宅にいる場合は、生活まわりのお金の管理は任せてもらうことになるかもしれませんが)

たとえば、入った事業所が合わなくて、別の事業所に移りたい…と思ったとしても、その契約解除や新たな事業所の契約などは親ではなく、後見人がやることになるわけです。なので、後見人の都合が合わなかったり、後見人に反対されたりした場合に、事業所を移ることが難しくなったり、時期を引き延ばされたりすることも考えられます。

つまり、これまで成年後見人を立てなくてもできていた暗黙の了解系の手続が、成年後見人にお伺いをたてなければできなくなってしまうということなんですよね。お金の使いかたなんかも。親は親権もないので😂

面倒ですよねー。しかも成年後見人は家庭裁判所から勝手に決められてしまうので、「面会こない」系の人が後見人になったら最悪じゃないですか??

となると、成年後見開始の申立てをする際に、自分でこれという人(法人)を見つけておいて、申立ての候補者のところには、その人の名前を書くといいのかな。この辺りはよくわかりませんが、何も書かないで出して後見人ガチャに外れたら、大変なことになりそうなことだけはわかります😂

あ、あともう一つの超デメリットは、「お金がかかる」「報酬が高い」という点ですね。専門職の人が後見人になると、その方たちへの報酬を毎月支払わなければならないんですが、これが検索したところ月2~6万円程度、といったような情報が出てきます😱

子名義の財産がどのくらいあるかによって報酬額が変わるらしいですけど、最低でも月額1~2万円をとられるとしたら、生活していけるのか?という疑問も浮かびますよね…。

子のために多額の財産を遺せば、さらに報酬額は増えるんですよ😱

毎月5万円支払うとしたら年60万円が消えていくんですよ、報酬だけで。コツコツ貯めて子のために遺したお金の大半が報酬として消えていくことになりかねない😂

もちろん、「報酬を払った甲斐があった!」というようないいお仕事をしてくれる後見人もいるかもしれないけど、「一度も面会にこない」系の後見人に高額の報酬を支払いたくない…!と思うのが親心じゃないですか?

 

成年後見制度を利用しないまま親が亡くなったら子はどうなる?

まだお子さんが未成年の親御さんは、子が成人したら親権が無くなる=成年後見人を立てないと何もできなくなる?という、漠然とした恐怖感を感じている方もいると思います。確かに、親権がなくなるので、銀行で新しく口座を開設したりすることはできなくなるけど、ATMでお金の出し入れや振込をすることなどは相変わらずできるし(法的にどうなのかは置いといて)、生活介護事業所や作業所との契約は?…と思っていたけど、普通に親が保護者として本人のかわりに契約することもできました。おそらく、グループホームや施設あたりもそれでいけるのではないかと思います。(事業所によっては成年後見人を必須とする所もあるかもしれません)

息子の親権を失ってから約2年がたちましたが、親権がなくて困ったことはないし、この先困ることもあまりないのかなと思っています。多分、困るのは夫と私、両方とも死ぬ、もしくは認知症になるなど、意思能力がなくなってしまうときのことかなと思っています。つまり、子のかわりに子の身上監護や財産管理ができなくなってしまう、その時です。

その時までは、逆に、成年後見人なんて立てるのはデメリットでしかないと思うし、だからこそ、知的障害のある子が成人しても、成年後見制度を使う人は少ないんだと思います。

そして、おそらくですが、親が亡くなっても、親族(きょうだい児や甥姪など)が、成年後見人になるのではなくて、普通に、これまで親がやってきたような管理や契約を、親族として行うことが許されるのなら(相手側、つまり施設等)、意思能力のある親族が存在する限りは、のらりくらりと成年後見制度を避けながら、やっていけるのではないか?などと推察しています。

推察ですよ、これは私の推察です😅

しかし、親としては、きょうだい児に、成年後見人ほどではないとしても、そのような負担を強いるのは酷だと思いますよね。だとしたら、やっぱりできるだけ自分が呆けずに健康で長生きをして、なるべく成年後見人を立てずに頑張れるところまで頑張りたいな…と今時点の私は思っています。そして死ぬ前に後見開始の申立てをするのかな…。

なんて思って、後見開始の申立てをする前に両親ともにぽっくり亡くなった場合で、他に申立てできそうな親族もいない…という場合は、ここで市区町村長が登場するんじゃないでしょうか😂

完全に身寄りがなくなってしまうと、さすがに施設やグループホームの人も困るでしょうから。

子より親の方が先に亡くなる確率が高いだろうし、いずれかは、成年後見人を立てる必要性が出てくるのかなと思います。

そうなると、親が保護者として暗黙の了解で契約ができるうちに、子をグループホームや施設に入れてしまった方がいいのでは、と思いますね。成年後見人が立つ前であれば、施設選びもじっくり自分だけの裁量でできるわけですから。

とにかく親が身軽に動けるうちに、親亡き後に子が幸せに暮らせるための環境をすべて整えてあげる。

成年後見人を立てる日がきたとしても、そのときは、できるだけ信頼できる後見人を探して、申立ての際に候補者とするように、しっかり段取りをすませておく。

成年後見制度は、これから良い方向に改善されることも考えられますし、期待しつつも、まずは親亡き後の住処や、親亡き後に遺すお金のこと、そういったことから整理して、環境を整えていくことが優先するべきではないかな?と思います。

これはあくまでも私の意見です。

成年後見人については自分で利用したことも、身近に経験者がいるわけでもないので、今回の記事についてはあくまでも私の一個人の意見ということで、読み流していただけると幸いです。

 

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