重度知的障害児が18歳になったら申請!誰も教えてくれなかった「自立支援医療制度」とは?

知的障害、発達障害の子供がいて、抗精神病薬等を定期的に処方してもらう必要がある場合、通常に比べると医療費の負担がかなり大きくなります。しかし、地域差はあるものの、子供には医療費の助成制度があり、医療費(健康保険適用)は実質無料で診療を受けられ、薬代も無料で受け取ることができたのではないでしょうか?ちなみに、東京都では中学生までは医療費助成制度が受けられ、2023年度には「高校生等医療費助成制度(マル青)」という、高校に就学する年齢の子どもの医療費の自己負担分を助成する新たな制度も創設されています(自治体により助成の条件は異なる)。ただし、この制度が利用できる対象年齢は18歳になる年度の3月31日まで。つまり、高校卒業後は医療費の助成もなく、日常的に使用している抗精神病薬についても3割の自己負担が必要になるわけですが…。

これは痛い😂

実際、抗精神病薬を処方してもらうために頻繁に病院に通う診療費、そして薬代。3割負担って結構な金額になります😂

これ、今は子供が夫の扶養家族であり、本人が健康保険料を支払っているわけではないから仕方が無いと言えば仕方がないのかもしれないものの…。

うちの息子18歳。重度知的障害者で、高等部卒業後は生活介護事業所に通所中につき、ほぼ収入ゼロ😂

障害年金の支給も20歳からなので、本当にほぼ収入ゼロ😂

今は親がいるからいいけど、親亡き後、この子はこの莫大な費用(医療費、薬代)を、障害年金しか収入がないというのに、自分で支払っていけるのか?…などと考えこんでしまいました。

 

愛の手帳1度・2度なら「マル障」で20歳からは医療費無料?

しかし、そこは東京都在住、無職、重度知的障害者(愛の手帳2度)である我が息子の場合、受けられる助成制度がありました。

これです☟

心身障害者医療費助成制度(マル障)|医療助成|東京都福祉局

これは東京都の制度ですが、おそらく全国の自治体で同様の制度はあるはずだと思います。だって、障害年金のほかにほぼ収入のない重度の障害者が、医療費を支払うのは厳しいですから。

知的障害の場合、東京都は愛の手帳1度・2度が対象となっていますが、自治体によっては3度に該当する判定も対象となる場合があるようですので、詳しくはお住まいの自治体にご確認ください。

ちなみに、この心身障害者医療費助成制度は所得制限のある制度であり、こんな一文が記載されておりました。

※受給資格者本人の所得(20歳未満のときは原則「世帯主の所得」)で判断します。

つまり、本人が20歳になるまでは世帯主(うちの場合は夫)の所得が基準となるわけです。

うちの場合は所得制限にひっかかるため、対象外でした。

そのため、高等部を卒業してから20歳になるまでの1~2年間は、抗精神病薬を処方してもらうための通院や薬代は3割負担で支払っていくことになります。

まあでも、息子が20歳になれば、ほぼ無収入の息子は住民税非課税者に該当するだろうから、通院・入院ともに「負担なし」、つまり医療費の自己負担なしということになるかと思います。

これで親亡き後の心配ごとは一つ解決したような気がします。

※所得制限など、福祉関連の各種制度に関しては、都道府県、市区町村によって内容・条件が異なります。心身障害者医療費助成制度の所得制限に関する「20歳以降は本人の所得で判断」というのも東京都の制度での条件となりますので、詳しくはお住まいの地区で利用できる制度の内容をご確認ください。

ということで、とりあえず20歳になるまでは多額の医療費もやむなしとして、高等部卒業後~現在まで、淡々と支払いを続けていたのです。

がっ!

最近、これまで通っていた精神科から別の病院の精神科へ転院することになり、その転院先の病院の窓口で突然言われたんですよね。「自立支援医療制度を申請されますか?」と。

 

所得制限上等!”重度かつ継続”なら1割負担の「自立支援医療制度」

自立支援医療制度?何それ?

そう思いましたよね。

最初は前述の「心身障害者医療費助成制度」のことを言われているのかと思い、「うちは所得制限があるので対象外ではないですか?」と窓口の方に聞いてみたんですよね。

すると「こちらは一定の所得があっても申請できますので」とのこと。

そうなんだ。そりゃ、申請できるなら申請したい。「ではお願いします」という事で申請することにしたものの、よくわからないものに対して申請することは不安ではある。

ということで調べてみましたよ。

以下、厚生労働省のページより引用しています。

自立支援医療制度の概要

1 目的

自立支援医療制度は、心身の障害を除去・軽減するための医療について、医療費の自己負担額を軽減する公費負担医療制度です。

2 対象者

  • 精神通院医療:精神保健福祉法第5条に規定する統合失調症などの精神疾患を有する者で、通院による精神医療を継続的に要する者
  • 更生医療:身体障害者福祉法に基づき身体障害者手帳の交付を受けた者で、その障害を除去・軽減する手術等の治療により確実に効果が期待できる者(18歳以上)
  • 育成医療:身体に障害を有する児童で、その障害を除去・軽減する手術等の治療により確実に効果が期待できる者(18歳未満)

3 対象となる主な障害と治療例

  1. (1)精神通院医療:精神疾患→向精神薬、精神科デイケア等
  2. (2)更生医療、育成医療
    1. ア.肢体不自由・・・関節拘縮→人工関節置換術
    2. イ.視覚障害・・・白内障→水晶体摘出術
    3. ウ.内部障害・・・心臓機能障害→弁置換術、ペースメーカー埋込術、腎臓機能障害→腎移植、人工透析

4 利用者負担

5 自立支援医療の経過的特例について

自立支援医療の「重度かつ継続の一定所得以上」及び「育成医療の中間所得」の区分については、令和6年3月31日までの経過的特例とされていましたが、令和9年3月31日まで延長いたしました。 ※経過的特例の内容は以下のとおり

「重度かつ継続の一定所得以上」:市町村民税23万5千円以上の方で重度かつ継続に該当する方について、自立支援医療制度の対象とした上で、自己負担上限額を2万円とする措置。
「育成医療の中間所得」:中間所得1(市町村民税課税以上3万3千円未満)の方の自己負担上限額を5千円に、中間所得2(市町村民税3万3千円以上23万5千円未満)の方の自己負担上限額を1万円とする措置。

うーん…。

わかったようなわからないような。

うちの場合は身体には障害がないので、対象のところで言うと「精神通院医療」、「通院による精神医療を継続的に要する者」に該当するというわけですな。

となると、よくある医療費の助成制度とは違って、助成の対象はあくまでも「精神科への通院」に関わる医療費のみ、ということなんですよね。日常的な怪我とかインフルエンザとか、そういった医療費は、対象にはならない。

まあ、うちの場合、息子の医療費の9割以上は精神科への通院によるものなので、これは全く問題ない。

上記のサイトを紐解くと、どうやら「精神保健福祉法第5条に規定する統合失調症などの精神疾患を有する人で、通院による精神医療を継続的に要する場合、公費によって医療費の補助を受けることができる」という制度らしい。

「精神保健福祉法第5条に規定する統合失調症などの精神疾患を有する人」って何?と思うけど、これには発達障害由来の精神疾患も含まれているということなんでしょう。

診察費や薬代は健康保険証が適用されるけど、それでも通院のたびにに3割負担は厳しい。それが、この制度を利用することにより、3割の自己負担が原則1割となるのだとか。さらに、月々の負担上限額も設定されており、月の途中で上限額に達した場合、その月はそれ以上の自己負担はないのだとも書いてある(ただしこちらは所得制限あり)。

おおおおお( ゚д゚)

なんかよくわからんが、うちみたいな所得制限で引っかかるタイプの家でも、最低でも医療費は1割負担になるらしい!

3割→1割、これは大きい!

しかも、ちょっと待って?

よく見るとうち、上記の表の右上に書いてある「重度かつ継続」これに該当するんじゃないの?

うちは「一定所得以上」にあたるため、自己負担の上限設定は「対象外」となるはずだけど、「重度かつ継続」に該当する場合は月々の自己負担上限が20000円になるらしい。

しかし「重度かつ継続」とはなんぞや😂

「重度かつ継続」の範囲

[精神通院の場合]

①統合失調症、躁うつ病 ・うつ病、てんかん、認知症等の脳機能障害、薬物関連障害(依存症等)の者

②精神医療に一定以上の経験を有する医師が判断した者

※「重度かつ継続 」の一定所得以上の負担上限月額については令和9年3月31日までの経過的特例措置

②精神医療に一定以上の経験を有する医師が判断した者…つまり、うちの場合はこれか?経験豊富な医師が「この人は重度かつ継続!」と判定すれば該当になるのかと。

まあ、何やらよくわかったようなわからないような、だけれども、申請してみることにしました。息子が20歳になるまでの繋ぎの助成制度として。

それにしても、自治体の障害者支援課の人からこんな案内なかったような気がするし、前に通っていた精神科でも案内がなかった。(病院によってこの制度が利用できない場合もあるが、その病院は利用可能な病院だった)

検索して調べてみると、「こんな制度知らなかった!」「案内がなかった」「不親切」との声が続々の制度のようですね、これ😅

うちの子のように20歳になれば「心身障害者医療費助成制度」が使える障害者ならともかく、そうじゃない場合は、20歳以降もこの助成制度を利用し続けることになるわけで、非常にありがたく、大事な情報だと思うんですよね。

だからこそ、今回記事にしてみようと思った次第です。

 

自立支援医療費制度を利用するための手続きは?

ところで、うちみたいに病院側から勧められたわけではない場合、この制度を使いたい!という人はどうすればいいんでしょうね?

調べてみたところ、まずは通院している精神科の主治医に相談しましょう、とのこと。

そうそう、この制度ですけど、精神科であればどの病院でも利用できるわけではないそうです。

指定自立支援医療機関でなければならないらしく、東京都では以下のサイトから確認できますが、実際に利用できるかどうかはかかりつけの精神科に直接たずねてみるのが早いかと思います😅

指定自立支援医療機関の情報提供(精神通院医療)|自立支援医療指定情報|東京都福祉局

それから、指定自立支援医療機関であったとしても、精神科に通院している人は誰でも利用できるとは限りません。

初回申請時には医師による診断書が必要であり、そもそもこの制度を利用できる対象なのかどうかは、医師が判断するとのこと。まず主治医に「自立支援医療費制度を使えるか?」ということを確認しておきましょう。

そして、主治医から対象であることの確認が取れたら、主治医に診断書(自立支援医療診断書)の作成をお願いすることになります。診断書作成料は保険適用外かつ有料(数千円~)なので注意が必要です。それから、病院によっては「診断書の用紙を市区町村の担当窓口からもらってきて」と言われるかもしれません。その場合は用紙を手に入れてから診断書作成をお願いしましょう。

診断書を作成してもらったら、それを持参して市区町村の担当窓口に行きます。そこで「自立支援医療費支給認定申請書」を記入し、提出するという流れになります。

ちなみに、東京都での申請に必要なものは概ね以下の通りのようですが、自治体により異なる場合があるとのこと。

詳しくは市町村の担当課や、お住まいの地域にある精神保健福祉センターにお問い合わせください。

0000146932.pdf

ここでまたまた注意が必要なのですが、自立支援医療制度が利用できるのは、原則、申請時に決めた指定の病院1か所、薬局1か所のみです。つまり、申請した病院や薬局以外では適用されないのです。

例えば、治療内容の都合上、2つの病院の精神科に通っていても、適用されるのは申請時に記入した病院のみとなります。また、薬局も申請時に記入した薬局のみとなるため、これまで特にかかりつけ薬局をもたず、あちこちで処方してもらっていた方は注意が必要です。

ちなみに東京都の自立支援医療受給者証はこんなやつですが☟

申請した後、受給者証が届くのは約3か月後とのことなので、それまでの間は「申請書の控え(複写式の用紙)」が仮の受給者証のような存在になります。正式な受給者証が届くまでのあいだは、この「申請書の控え」を提示することで適用を開始することができるので、指定の精神科に行く際は必ず忘れないように持参してくださいね。

薬局(もしくは精神科)によっては、この「申請書の控え」を提示しても、正式な受給者証が届くまでは適用できないと言われるケースもあるかもしれませんが、受給者証が届いた後に遡って適用してもらえるようなので、領収書などの書類は無くさないように保管しておきましょう。
なお、自立支援医療制度は、精神障害や精神障害に起因して生じる症状の医療行為および服薬のために適用されるものなので、指定の薬局であっても他の病気やケガ等で処方されたものに関しては適用されませんのでご注意ください。

 

更新は1年に1回!東京都はLINEで更新手続きの通知設定も

それにしても、障害者は手帳やら年金やら各種受給者証やら、数年単位で更新手続きをしないと支援を受けられないものばかりで本当に大変ですよね。そもそも申請しないと受けられない支援が多すぎるのもどうよ?と思うんですけど。

そして、この自立支援医療制度もまた、更新手続きが必要な制度なんです。しかも鬼の1年更新😂

1年なんてあっという間ですよ(゚з゚)

忘れないように更新手続き専用カレンダーでも作っておきたいところですが、東京都の場合、なんと東京都福祉局とLINEのお友達登録をしておけば、更新手続き開始1週間前にLINEで通知がくるらしい😂

LINEでお友達登録ってイマドキだな🤣

というわけで、意識高い系の方はすでに知っている情報だったかもしれませんが、私が知っている範囲での自立支援医療制度についての情報でした。

何か有益な情報、補足等があればコメントください~。

 

重度知的障害児が18歳になったら申請!誰も教えてくれなかった「自立支援医療制度」とは?” に対して2件のコメントがあります。

  1. おばさん猫 より:

    サナさんお久しぶりです〜。お元気でしたか?

    自立支援制度の件、我が家はテンカンが
    あるので使っていた時もあったのですが
    子供はそもそも医療費は無料なので(^_^;)
    診断書2000円をケチってやめてしまいました。
    でも高校生になったら、医療費が
    3割負担になるので、再度申請しようと
    思います。
    サナさんのこの記事がないと忘れて
    しまっていたので助かりました。

    うちは通院中の病院から「どうですか?」
    って提案がありましたが、
    教えてくれない所もあるのですね。

    障害に都道府県の境目なんてないので
    どの地域も同じように支援があると
    良いですよね(涙)

    1. 稲倉サナ より:

      ご無沙汰しています!!
      ちょっといろいろとバタバタしておりまして、SNSを見る時間もあまり取れなかったのですが、少し落ち着きました(^^)
      てんかんがある方は自立支援制度をご存じですよね。
      うちも利用する期間も短いし、診断書作成代が結構かかるし…と思っていたのですが、3割負担が結構金額が大きくて。
      申請してよかったなと思いました。うちは18歳になった当時に通っていた病院では全く教えてもらえなかったんです。
      重度だとマル障が使えるから不要でしょ?と思われていたのかも。今、所得制限はあっても20歳になれば使えるようになるし…。
      都道府県、市区町村によって、福祉サービスに違いがあるのは情報共有の面から言っても困りものだと思います。
      療育手帳ですら都道府県で運用が異なっているのは驚きです。

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