自閉症の息子にとって透明人間だったあの頃の私

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最近Twitterで、自閉症の子のママのこんなツイートを見かけたんです。

「自分は子供にとって空気みたいな存在だ、まるで見えていないかのように無視される、つらい」と。

それを読んだとき、私は思ったんです。

うちの自閉症の長男・太郎の幼児期もまったく同じだった、私は太郎にとって透明人間のようだった、と。

 

愛着障害かもしれないと悩んだ息子の幼少期

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一般的に自閉症というと、以下のような特性を持つ子が多いとされています。

自閉スペクトラム症が疑われる子どもの特徴の一例

  • 視線が合わないか、合っても共感的でない
  • 表情が乏しい、または不自然
  • 名前を呼んでも振り向かない
  • 人見知りしない、親の後追いをしない
  • ひとりごとが多い、人の言ったことをオウム返しする
  • 親が「見てごらん」と指さしてもなかなかそちらを見ない
  • 抱っこや触られるのを嫌がる
  • 一人遊びが多い、ごっこ遊びを好まない
  • 食べ物の好き嫌いが強い
  • 欲しいものを「あれとって」と言葉や身振りで伝えずに、親の手をつかんで連れて行って示す  など

※正確な診断のためには専門の医師や心理士による問診・面接・行動観察・検査などが必要です。

出典:自閉スペクトラム症とは – 原因、症状、治療方法などの解説 | すまいるナビゲーター | 大塚製薬

うちの太郎は上記の項目すべてが当てはまる、自閉症界のプリンス的存在なんですが😂

黒い太字の部分を読んでもらえればわかりますが、親の私が触ろうとしてもすーっと逃げてしまうし、まず目が合わない(゚з゚)

話しかけても無視

ああ、私はこの子の視界に入ることすらできないんだな

親である前に人間ですらないの?

同じ自閉症の子でも、上記のような特性はありつつも、ママにだけは甘えてくる、ママにだけは反応する、という子もいるなかで、まるで透明人間のような自分の存在が、あまりにも虚しくて。

太郎の母親であるという実感を得ることもできず、

ただ親としての義務を果たすために苦痛を感じながら子育てをしていました。

そんな状態の太郎を育てながら、私は事あるごとに、

この子は愛着障害なんじゃないか?なんて思ったものでした。

 

愛着(アタッチメント)とは
そもそも「愛着(アタッチメント)」とは、イギリスの精神科医ボウルビィが提唱した概念で「特定の人に対する情緒的なきずな」のことです。
 
乳幼児は特定の養育者によって繰り返し行われる世話によって、特定の人と一対一で、気持ちの面で互いに結ばれます。例えば赤ちゃんが「お腹が空いた」「オムツが濡れて気持ち悪い」などと訴えて泣くと親や日常的に世話をしてくれる特定の大人が世話をしてくれます。生理的欲求を訴え満たされる、その繰り返しによってその特定の人と心理的な信頼関係やきずなが生まれます。これが他者とのコミュニケーションの第一歩となり、こうしてできた愛着関係を基盤に自立心、ひいては人間関係や社会性の発達につながります。これが心理学における愛着理論です。
 
愛着(アタッチメント)は人間が生まれながらに備えているわけではなく、成長の過程で周りの人との関わりを通じて獲得していくものです。そのため、特に幼少期に不適切な環境や関わりなどによってうまく愛着関係が形成できないことで、その後の人間関係や社会性の発達に困難が現れるケースがある、というのが愛着理論における愛着障害の考え方です。

愛着障害とは? 「愛着障害」があると感じる人の困難とは?特徴や定義、対処法についても紹介します | LITALICO仕事ナビ (snabi.jp)より転載

私と太郎のあいだには心理的な信頼関係や絆なんて皆無だし、だからコミュニケーションをとることもできない。

育て方がよくなかったのか?

無視されても、視界に入らなくても、もっともっと、無償の愛を降り注いで、声をかけつづけていれば、愛着関係を形成することができたのかも?

なんて。

いつまでたっても母親を慕うことのない息子を見て、泣きながら問い続けていましたよね。

けど。

愛着障害っていうのは、「発達障害やADHDと症状が似ている」とも書いてありました。

裏を返せば、「愛着障害に似ているけど発達障害やADHDの症状である」ということであり、育て方云々の話ではないのかと。

まあ、発達障害なんだか愛着障害なんだか知らんけど(゚з゚)

とにかく悲しかったんですよ、子供に愛されないってことが。

子供に無視され続けるってことが。

一度くらいは「ママー」って、甘えて欲しかった。太郎に😂

 

高校生になった息子の現在は・・・

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私のことはガン無視していた太郎ですけど、幼児期から夫のことだけは大好きだったんですよね(゚з゚)

たまにしか家にいなくて、怒ることもなく、遊んでくれる優しい人。

基本的にスキンシップが苦手な太郎でしたが、夫はそんなことはおかまいなしに、太郎をギュッと抱きしめたり、頭を撫でたり抱っこしたりおんぶしたり。

太郎もまんざらでもない様子で、正直ジェラシーを感じていました😞

夫が家にいる休みの日は、太郎は私と関わることも嫌がっていたので、太郎は夫が担当、次郎は私が担当というペアで動くことが多かったですね。

だから次郎は思春期の今も私にベタベタと甘えてくるマザコン状態です😅

 

そんな状態の幼少期でしたが、年齢を重ねるにつれ、

透明だった私も実体化してきまして🤣

いつしか私は太郎の視界に入るようになり、

目が合うようになり、

スキンシップもとれるようになり、

手をつないだりハグしたり、できるようになりました😭

・・・からの、これ↓↓

息子たちよ、今がいちばん可愛いよ♪

ドン引きされるから誰にも言わないけど・・・

いやー。

幼児期の太郎の様子では、私は一生透明人間なのかなと思っていたので。

こんな日がくるなんて😭

嬉しさにむせび泣いたものです。

 

しかーし。

それだけでは終わらなかった✋

 

スキンシップできるようになったものの、自分からぐいぐい攻めてくる次郎に比べると、やや受け身な太郎。

どうしても、日常的には太郎よりも次郎とベタベタしていることが多いんですよね😅

 

つい最近も、ソファで私と次郎が並んで座ってジャニーズの話などをしながらキャッキャウフフと話していたんですが。

それまでソファーの反対側の離れた場所にいた太郎が、急に立ち上がったと思ったら…

次郎と私の間に無理やりねじ込んで入ってきて座ったんです!

 

( ゚д゚)・・・。

 

太郎が焼きもち焼いてる😲

 

信じられない😂

太郎が、あの太郎が、次郎に焼きもち焼いて、間に割って入ってくるなんて😂😂😂

 

私にぴったりと体を寄せて甘える太郎を見て、透明人間だった時代の太郎の冷たい横顔を思い出し。

奇跡って起こるものなんだな😭

って。

こんな日がくるなんて夢にも思わなかった、あの頃の私に言ってあげたい。

 

大丈夫。

ちゃんと甘えてもらえるからね、って。

だから、がんばろうね、って。

 

 

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自閉症の息子にとって透明人間だったあの頃の私” に対して8件のコメントがあります。

  1. チャイ より:

    友人の弟が重度の自閉症で、何か出来ることはないかと本やブログを読んだりテレビの特集を観たりしてきました。

    頑張っても意思の疎通が難しく虚しく感じる事や、家族の大変さは多少なりとも分かったつもりでいました。

    最近読んだ「たっちゃんは ぼくが きらいなの」という絵本で、周りの人の気持ちが伝わらないし自分の気持ちを周りの人に伝えられない。
    困った時や泣きたくなった時に誰にも甘えられない。心はいつも不安で一杯。
    と言うような事が書いてありました。

    本人も辛いだろうとは思っていましたが、どうしても友人の気持ちばかり考えていました。
    甘えたい盛りの時期に出来なかったと思うと。

    太郎くん、甘えられるようになって本当に良かった。絵本の中にも愛情が足りない訳ではない事が書かれていますし原因はそこではないですが、成長しているのはサナさんの愛情と努力の成果だと思います。

    1. 稲倉サナ より:

      お友達のためにいろいろ調べてできる事はないかと考えているチャイさんは優しい方ですね(*’ω’*)
      チャイさんのような方が増えてくると、きっと世の中の自閉症の方やその家族も生きやすくなっていくのではと思います。
      自閉症の人の気持ちを理解することは難しいと思います。
      親である私も、今でも100%理解することはできません。
      今思うと、透明人間時代の太郎も、もしかしたら甘えたい気持ちはあったけど、でも甘え方がわからなかったのかもしれませんね。
      本人ももちろん辛いけど、きょうだい児は親にも本心を言えずに、苦しい思いをしている子が多いのかな…と。
      チャイさんのお友達はきっとチャイさんの存在に救われていると思いますよ(^^)
      太郎の成長を、私の愛情と努力の成果と言っていただいてありがとうございます!
      そういうふうに言っていただけると本当に嬉しいです。

  2. こー より:

    こんにちは
    読んでいて涙が流れたよ、透明人間か。。。
    でも、今現在きちんと焼きもちもやけるんだもん凄いね。
    それも二人の間をグイグイ割り込むなんてもう最高( *´艸`)
    私からしたらやはり子供さんを生んだ人は尊敬しちゃいます。
    これから先も沢山嬉しい楽しい事がサナさんに舞い降ります様に。

    1. 稲倉サナ より:

      透明人間時代は本当に辛かったです。
      あの頃は一生このまま視界に入ることもないのかと絶望していました。
      焼きもちを焼くようになると可愛いものですが、また別の悩みもあり、日々修行です。
      私は尊敬されるようなことはまだまだできていない、弱い部分が多い親です。
      ブログで弱音を吐きつつ、頑張っていきたいです٩( ‘ω’ )و

  3. ゆう より:

    最後の太郎くんの焼きもちの場面でついふふっと笑ってしまいました
    可愛いですね✨
    ゆっくりでも成長するんだなと改めて思いました
    ありがとうございます!!

    1. 稲倉サナ より:

      まさか焼きもちを焼くようになるとは夢にも思わず、幼児期のあれは何だったんだ!という感じです( ´Д`)y━・~~
      ゆっくりでも成長するし、想像を超えていく事もあるんだなあ、と。

      1. ママリンコ より:

        太郎君に焼きもち焼かれて、サナさんめっちゃ嬉しかったでしょうね。
        なんか、私も嬉しかった。
        感情表現もゆっくり成長してるのでしょうね。

        私は陰性でも、接触者と会ってから2週間仕事お休み。自宅待機です。
        8月14日まで。ちょっとした夏休みと言っては、何処も出掛けては行けない、夏休みです
        ワクチン接種の副反応で休みを取ったのが、まさかの長期夏休みに…。
        陰性で感謝しています。

        1. 稲倉サナ より:

          焼きもちは正直かなり驚きましたよ( ゚д゚)
          もともとベタベタするのが嫌いな子だったのに、最近では本当によく甘えてきます。
          ようやく母親に対する甘えの感情が出てきたのかと思うと感無量ですね。・゚・(ノД`)・゚・。
          濃厚接触者になると丸2週間自宅待機しなければいけないので辛いですよね。
          仕事をしたくでもできないし、休むといっても家の中から出られないし。
          この機会にゆっくりお風呂に入ったり、家の中でできる趣味など没頭したり。
          心身ともに休めてゆったり過ごせるといいのですが。

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