知的障害の子が最低限身に着けておきたい学力とは?
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昨夜の地震は久しぶりに東京でも強い揺れを感じましたね。それでも震度3~4。
震源地の方々は不安で眠れない夜を過ごされた方もいらっしゃるのではと思います。
私は一瞬、首都圏直下地震がついに来たのかと恐怖を感じました。
なかなか収束することのないコロナウイルスの脅威。テレビを点ければ連日のようにロシア軍によるウクライナ侵攻の惨状が報道されています。
そこに北朝鮮が弾道ミサイルを発射したというニュースがサラッと流れてきて、「金委員長、お前もか」と思わずため息。
原油高は続き、株価は下落、物価は上昇。
地球温暖化が進み、子供たちが大人になる頃の世界は一体どうなってしまうんだろう。
私は自分が子供の頃から「私が大人になる頃には石油が無くなる」などと極度に不安を抱えながら生きてきました。
カムカムエヴリバディでノストラダムスの大予言の件が描かれていましたが、私も割と大きくなるまで信じていましたね😅
起こりもしないうちから未来を想像しては涙を流す、そんなエキセントリックな一面がありました。
大人になり、子供を守らなくてはいけない立場になった今は、そうした世界規模の事や天変地異などについてはあまり考えすぎないようにしています。
もちろんニュースをこまめにチェックしつつ、将来の予測をしながら最低限の備えをすることは怠っていません。明日は明日の風が吹く、なんて言いながら何も備えずに後悔はしたくないので。
ただ、いつか来るかもしれない大災害に備えつつも、そうした災害が起こらなかった場合の未来にもしっかり備えておかなければいけない。
そう、重度知的障害・重度の自閉症である長男・太郎が、障害があるが故に起こりうるであろう困難を予測しながら、できるだけ今のうちから対策を考え、将来困らないようにしてあげることが親の務めだと思っています。
障害に関する事については、「その時になって考えればいい」では遅い。
頭(脳)の成長が見込める幼少期のうちに、できるだけ早いうちから将来を見据えて準備をしておくことが大切だと私は思います。
ゲームとDVDに育児をさせていた幼児期
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以前、上記のような記事を書いたことがありますが、重度知的障害(IQ30)の長男・太郎は、IQのわりには学習面が秀でていると驚かれることが多いです。
現在16歳の太郎はIQ30というと4~5歳児程度の知能ということになりますが、幼児期から文字の読み書きを教え、小学校に入学してからも継続して読み書き、そして計算の自宅学習を行ってきました。
重度知的障害の子が一人で自宅学習ができるわけもなく、いつも母親である私がマンツーマンで教えています。
小さい頃はそれこそ、遊びを通じて文字や数字に触れさせてきました。
そういう意味ではむしろ小さい頃の方が楽でしたよね。
ゲームは一人で遊ぶし、DVDも一人で観てくれるし、知育玩具は一緒に遊ぼうとしてもガン無視される(というか煩わしそうにされる😅)ということで、玩具に育児をしてもらった感もありますね😂
ワンオペ育児だったので家事が捗り、本当に助かりました。
ですが、いくら内容が「知育」だからと言って目に悪そうなゲームやDVDを無尽蔵に与え、放置っ子状態でいたわけですからね。
きっと事情をよく知らない人が聞いたら、中には眉をひそめる人もいたことでしょう😔
でもいいんです。
なんと言われようと、かまいません。
だって、結果オーライだったんですもの😝
IQ30の太郎が小学校3年生相当の読み書き計算ができるようになったことは、間違いなく知育ゲーム&知育DVDのおかげだと思っています。
本来はゲームやDVDの代わりに人がやってあげれば良いのでしょうが、それがどんなに難しいことであるかは、重度知的障害・重度自閉症のお子さんをお育てになった方ならわかっていただけるのではないでしょうか。
読み書き計算はできるだけ幼い頃から継続的に学習させる
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とはいえ、小学校に入り、読み書きもただ「あいうえお」が書ければいい、というレベルではなくなってきた時に、ゲームやDVDだけを与えていればいいという時代は終わったなと思いました😂
読み書き・計算はもちろん学校でも教えてくれますし、わずかながらも宿題のようなものも出ます。
でも重度知的障害児は定型発達児とは違い、自宅で学習をすることは重要視されていないんですよね。
まずは生活自立。学習は二の次。
生活を送るうえで困らない程度の知識があればいい。
確かにその通りだと思います。
太郎はこの先、中学受験や高校受験、大学受験をするわけじゃない。それどころか学力考査すらない。
学力よりもまず生活自立に向けてやらなければならないことが山積みです。
でも、ですよ。
”生活を送るうえで困らない程度の知識”
って、サラッと書きましたが、実はこの「生活を送るうえで困らない程度の知識」っていうのが意外にもハードルが高いということに気づく😂
生活を送るうえで必要な知識というと、
・生活するうえで目にする文字を読み、ある程度理解できる
・文字を書くことで意思表示ができる
・お金の計算ができ、買い物の際にスマートに支払いができる
・時計が読め、時間を意識して生活できる
・自分が住んでいる場所の土地勘がある
とかですかね、最低限あるといいな、と思う知識。
これらができるためには、
・小学校6年生くらいまでの漢字が読める
・小学校3年生くらいまでの漢字が書ける
・4~5桁までの数字が読める(お金の単位の範囲)
・簡単な足し算が暗算できる(1~2桁程度)
・九九ができる
・時計が読める(アナログ・デジタル両方とも)
・地図が理解できる
思いつく範囲ですが。
これって小学校(ほとんどが低学年)レベルではありますが、立派な”学習”だと思うんです。
でもこうした学習って、学校ではその子のレベル(IQ)にあわせた内容を、決して無理させない範囲でしかやらせてもらってないんですよね。
もちろん、学校や先生にもよってはどんどん上を目指してやらせてくれることもあるかと思います。
生活面がしっかり自立できている子は学習面もしっかり教えてもらっているかと思います。
でもうちの太郎のように生活面や情緒面に問題のある子供は、まずは生活自立・情緒安定が優先、学習は二の次になりがちです。
そんなわけで「学校で教えてもらっただけでは学力は伸びそうもないな」という危機感が常にありました。
そこで私は太郎のレベルに合った教材をインターネットで探し、自宅学習をすることにしたんです。
特に漢字や計算は、少しずつでもいいから毎日やらせないとすぐに忘れますね😂
それは定型発達の子であれば、生活や学習、友達とのふれあいを通じて自然に覚えてしまうことも、太郎はあえて学習をしなければ使う機会がないということが原因だと思いました。
せっかく覚えた漢字も、普段使いする機会がないんですよね😂
例えばですが、私が独学で英語の勉強をしても、使う機会がないためにいざと言う時に喋れない、そのうち勉強した内容すら忘れてしまう、という状況に近いかなと思います😅
だから忘れないように、漢字と計算はコツコツやらせていきました。できるようになったら難易度を少しずつあげていって。
そうして、今はそこそこ困らない程度まではできるようになってきたな…という自信もついてきました😊
知的障害の子に教えたい「日常生活に困らないレベルの学習」
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こうして自宅学習を取り入れつつ、太郎の学力UPを目指してきた我が家ですが、今回の記事を書くにあたって思ったんです。
知的障害のある子が将来困らないために必要な学力ってどの程度まで必要なの?と。
そこで、私が「このくらいまであるといいな」と思うレベルについて、分野別にまとめてみました🖐️
読み書き
・ひらがな、カタカナが読める、書ける。
・数字が4~5桁まで読める、書ける(お金の単位を意識した桁数です)
・漢字(小学校6年生程度までの漢字)が読める
・漢字(小学校3年生程度までの漢字)が書ける
・アルファベット(大文字)が読める
※簡単な英単語(GO、STOP、YES、NOなど)が読める、意味が分かるとなおよし
「書く」能力については、極論を言えば「ひらがなと数字が書ければOK」かな?と思っています😅
できれば小学校1年生で習う80文字が書ければ、読みやすい文字列になるかな?と。
ちなみに小学校1年生で習う漢字はニンテンドー3DSソフト「ドラもじ」で学習できます🤣
「読む」能力は小学校6年生レベル、というように難易度で決めるのではなく、身近にあるものの漢字は難しいものでも読めた方がいいかと思います。例えば住所や地名、人名…学校の名前、住所、最寄り駅名、家族や先生、友達の氏名などなど。
太郎は読む方は結構難しい漢字も読めますね。生活するうえで見聞きするものはどんどん覚えていくようです。
数字は1000円札の単位まで(4桁)読めるといいかなと思います。
また、できれば特殊な読み方(一つ=ひとつ、二つ=ふたつ、八日=ようか、二十日=はつか)もできるようになるといいかなと思います。
アルファベットは生活をする上で記号(例:Aブロック、A組など)として出てきがちな大文字は読めた方がいいですよね。
単語としては生活で見かけがちで知っておいた方がいい「STOP」「START」「GOAL」「YES」「NO」など。
計算
・2桁の繰り上がり有りの足し算引き算
・1桁の暗算
・お金の単位にあわせた簡単な計算(4桁くらいまで)
・九九の暗唱
・4~5桁くらいまでの四則演算が電卓で計算できる
計算については基本、「時計」「お金」の計算ができるために必要なレベルができていればいいかと思っています。
1~2桁の足し算・引き算が暗算でできる、九九が暗唱できるというのができていれば十分かなと😊
できれば繰り上がり、繰り下がりも…なんて↑十分ちゃうやん!とツッコミ入りそうですが😅
うちの場合ですが、難易度を徐々にあげていって、「限界かな?」と思うところまでいったら、あとは忘れないように上限レベルの教材で日々学習…というスタイルでやっていました。
ある程度のレベルの計算ができるようになったと感じたら、お金や時計などの教材にシフトしていってもいいかな?と思います。
計算プリントについてはこちら☟
時計
・アナログ時計が読める
・デジタル時計が読める
・24時間表記を読め、理解できるようになる(15時、22時など)
・(できれば)〇分後、〇分前の概念がわかるようになる
時計はアナログ・デジタルともに読めるようになってほしいですよね。
うちの場合はデジタルの方が先に読み、理解できるようになりました。
太郎本人に腕時計を着けさせるようになってからは特に時間の概念がしっかり理解できるようになりましたね。
今後の課題としては、自分で「アラームをセットして起きるようになる」です。
就労する前にできるようになるよう練習したいと思います。
時間についてはこちら☟の記事もどうぞ。
お金
・お札や硬貨を見て金額を読めるようになる
・指定した金額が出せるようになる
・硬貨やお札を使った簡単な計算ができるようになる
・買い物をする際、お金のやりとりが一人でできるようになる
自立を意識した際、最も力を入れたい分野が「お金」ですね😅
計算プリントや「こども銀行」の硬貨を使った自宅学習に加えて、スーパーで一緒に買い物をした際に支払いをやらせてみたり、セルフレジを使わせたみたり。
座学&実技の両輪で地道に学ばせ、将来は一人で買い物ができるようにさせたいと思っています。
今もできるっちゃできるんですけどね、お札や500円玉をバーン!と出してばかりいるので、お財布の中が小銭でじゃらじゃらしてしまう問題が😅
もう少しスマートに買い物ができるように、情報収集&工夫していきたいなと思います。
お買い物についてはこちら☟の記事もどうぞ。
地図
・日本地図(都道府県レベル)の都道府県が読める・だいたいの場所がわかる
・自分が住んでいる場所の地名が読める、場所がわかる
・自分が住んでいる地域の電車やバスの駅名が読める、わかる
これは得意分野でもあるので、すでに習得できている感じです😊
日本地図についてはできなくてもOKかなと思っていて、自分が住んでいる地域の地名が読めて、土地勘ができるといいかな?と思います。
うちはタブレットのGoogleマップで地図を見るのが好きで、これまで旅行に行った土地や祖父母の家なども地図で確認しているようです。
自分の住んでいる地域のMAPは書店で紙製の地図を買って与えてもいいかもしれませんね。
その他
・お天気マークが読める、理解できる
・気温が読める、理解できる
ニュースの天気図を見て、今日(明日)の天気や気温が自分で理解できるようになるといいな…と思っています。
(現在、うちの太郎はなんとなく理解している程度かと思います😅)
就労するまであと2年。
特に「できていない」と思っている分野である”お金”に関しては重点的に学習させていきたいです。
子供につきあって勉強させるのは大変ですが、太郎が将来、少しでも生きやすくなるように。
がんばりたいと思います😊
こんにちは
うんうん、お金しっかり覚えた方が良いですね。
騙されないように❗
世の中良い人ばかりではないから、そこが物凄く心配。
お金の勉強は子供だけじゃなくて大人も必要だと思います(笑)
(だから今、私もお金の勉強をやってます!)
火事場泥棒みたいな人もいますからね…。
親亡き後の太郎のお金はしっかり守られるように今のうちから考えておかないと、です。
継続は力なり、本当にこれに尽きますね。あとは親の創意工夫かな。いま、我が家の軽度知的障害の子も進学どうするかで頭が痛い( ´Д`)y━・~~
諦めず、コツコツと、しか手がないので、私の忍耐が鍛えられています。
軽度知的障害の子は大きくなるにつれて個々に丁度いい行き場が無くなってきますよね。
重度と軽度はベクトルは違えど、親のフォローは欠かせませんね。
忍耐、鍛えられますね~(笑)
サナさんがやってきたことは、本当に努力と忍耐力の塊だと思います。私が子どもたちに書き取りを教えていたのは小学一年生まで…。妹に文字を教えたのはほんの一瞬ですから。妹は勉強の類いを拒否しましたので、ほとんどやらせませんでした。今も自分の名前を見ながら書くくらいです。
サナさんは嫌がるかもしれませんが、サナさんのように太郎くんを大事に可能性を信じて努力することが出来る人だから太郎くんが生まれてきて、太郎くんは幸せだと思います。仕事で子どもたちを見ていて、お、この子はこんなことが出来るんだ、と思う時、もっと出来ることを増やしてあげたいと思ったりしますが、一日数時間では出来ることも限られます。でもその子の将来を考えて、生きやすいように教えてあげられることは教えてあげたいと思います。
私が家庭でやらせた学習はそれほどでもないんです(;’∀’)
どちらかというと、DVD様様、ニンテンドー3DS様様って感じです(;’∀’)
こういうものも嫌いなタイプな子だと八方手ふさがりですよね(゚з゚)
うちの太郎は割と素直というか、嫌な事でも「やりなさい」と言われると従うタイプなところもよかったのだと思います。
cosfloさんはいい先生になれそうですね。
ぜひ子供たちのできることを増やすサポートをしてあげてほしいと思います。
太郎くんすごいですね。
うちのIQ60の軽度知的障害の次男と同じくらいの学力だと感じました。
漢字の書き取りに至っては太郎くんの方が断然出来ていますね。
私は知的障害がわかる三年生まで、つきっきりで教えていました。
それこそ夏休みや春休みなど長期の休みは毎日二時間みっちり読み書きそろばんとばかりに無理やり頑張らせていました。
知的が確定した時、私は子供に虐待してきていたんだ、理解できない、する必要のない勉強を強いて来たと後悔しました。
そして、それ以降は宿題をやらせるくらいでほとんど教えることはありませんでした。
でも、中学、高校と進むにつれ、後悔はなくなりました。
むしろ、やっていて良かったと自分を褒めています。
さなさんのおっしゃる通り生活に必要な事は勿論あるでしょう。
ですが、次男の場合それ以上に余暇を楽しむため、暇潰しのため、漢字を覚えた事が大変役に立ちました。
外出時、長時間並ばなければならない場面、電車の中で大人しく過ごす手段、電車等の待ち時間を過ごすために、本を数冊買い与えておけば解決します。
そして、お友達と仲良くなりたい一心でお友達の好きな電車を覚えるために鉄道系の本を読んでいました。
さかなクンの本も学校でみんなに知識を披露したくてよく読んでいましたね。
コミュニケーションツールとして、漢字修得は大変に役立ったと思います。
そして好きこそものの上手なれというだけあって、常に触れているので読みを忘れる事はありませんでした。
(書き取りはほぼ忘れているようです)
地図は私が好きなのもあって、地図帳を数冊買い置きがあり、用途によって使い分けていました。
定型の兄が中学までは、二学年下の知的障害児の方が地図は得意だったほどです。
時事ネタも恐らく今のクラスでは一番詳しいかも。
これは私が必ずニュースを見て、定型の兄と議論したり解説したりするのを小さな頃からそばで聞いていたからだと思います。
やはり、家庭での毎日の生活の中で子供は色んなことを吸収していくのだと思います。
小さい頃に叩き込んだ事で、これからの人生を少しでも豊かに暮らしていかれるはずと今では確信しています。
IQが低くても伸びる事は多いものなんだと本当に実感中です。
この感動をたくさんの人が味わう事ができるように、学校などでも実践して欲しいですよね。
家庭学習は親御さんによっては苦手意識が強い方が多いと経験してきたので、学校に期待したい
です。
(皆さん、不思議と何をどうやったら良いかわからないと仰います。やってみると簡単なんだけどなぁ。)
家庭学習は親の負担が本当に大きいですからね…。
でも学校で過ごす時間には限りがあるので、どうしても自宅でやらざるを得ない部分があるんですよね。
一人でやってくれるタイプの子であれば楽ですが、健常の子でも親が面倒をみないとダメなタイプはいますよね(うちの次男がまさにそれです。涙)
家庭学習のフォローはしんどいですが、やっておくと後から自分が楽になる日がくるんで。
今は無料の教材も豊富ですし、時間がある親御さんはやってみて損はないと思います。