「障害者の経済学」から紐解く障害者雇用
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近頃ですね。
今年度には義務教育を終える自閉症の長男・太郎の将来について、考える機会が増えています。
学校のママ友たちとは、子供の知的障害の程度がおおよそ同じくらいということもあって、進学そのものよりも、その先の就労についての話題が最近盛んに交わされているんですよね。
IQ30で重度知的障害の太郎はおそらく、一般就労(企業就労)ではなく、福祉的就労になるのかなあ・・・と漠然と考えていたのですが。
<障害者雇用>企業が欲しがる人材とは?①
<障害者雇用>企業が欲しがる人材とは?②
その後いろいろ調べてみると、うちの太郎くらいの知的レベルでも、企業就労している子も多いということがわかりました。
やはりそこは、法定雇用率の増加に伴い、特例子会社の設立が急激に増えてきたことも影響しているようです。
特例子会社制度
特例子会社での障がい者雇用率を「親会社に雇用した」とみなして算定するケースです。また、特例子会社を有する親会社は、一定の要件を満たす場合に、関係する他の子会社(関係会社)についても、この特例子会社と同様の実雇用率の算定が可能となっています。
「特例子会社」とはどのような制度なのか【前編】~特例子会社の特徴とメリット・デメリット~ | 人事のプロを支援するHRプロ (hrpro.co.jp)より引用
以下、他サイト記事からの引用です。
障がい者雇用における「特例子会社」とはどのような会社なのか
日本の障がい者雇用は、「障害者雇用促進法」に基づいて行われています。この法律の中では、障がい者法定雇用率が定められており、事業主には身体的・知的・精神的に障がいをもっている方の雇用が義務づけられています。
現在の障がい者雇用率は2.2%、つまり従業員45.5人に対して1人の障がい者を雇用することが定められています。しかし、業種や規模などさまざまな理由から、障がい者雇用の促進が難しい状況にある企業もあります。そのような場合に、「特例子会社」を設立することがあります。
特例子会社制度は、事業主が障がい者の雇用に特別の配慮をした子会社を設立した場合、一定の要件を満たすことによって、その子会社に雇用されている労働者を親会社に雇用されているものとみなし、実雇用率を算定することができる制度です。つまり、特例子会社で雇用している障がい者の雇用率を、親会社(関係会社)の雇用率とみなすことができるのです。「特例子会社」とはどのような制度なのか【前編】~特例子会社の特徴とメリット・デメリット~ | 人事のプロを支援するHRプロ (hrpro.co.jp)より引用
平たく言うと、どの企業も障害者向けの業務というのは数に限りがあるため、障害者向けの業務のみを集めた子会社を作り、障害者を1か所に集中させて法定雇用率をクリアしている、ということなんですね。
この障害者向けの業務っていうのは具体的には、ビルメンテナンス(主に清掃業務)、洗濯物(クリーニング)の委託業務など、比較的単純な作業が多いかと思います。
最近では農作業の会社も増えてきてはいるようですね。
企業就労というと、スーツを着てパソコンでデータ入力をする、みたいなイメージを持つ方もいるかもしれませんが、そういった業務はどちらかというと少ないのでは、という印象です。
一方で福祉的就労はというと、「就労継続支援A型」「就労継続支援B型」の2種類があり、この他に一般企業への就職に必要な知識やスキル向上を目的とした「就労移行支援」というものもあります。
就労移行支援は基本的には無給ですが。
就労移行支援と就労継続支援の違いとは?
就労移行支援と就労継続支援A型・B型はいずれも障害者の就労を支援するサービスです。しかし、目的や対象、雇用契約、工賃(賃金)の有無などがそれぞれに違いがあります。
就労移行支援と就労継続支援の違いとは|就労移行支援事業所LITALICOワークスより引用
就労継続支援A型とB型の違いは、雇用契約を結ぶか結ばないか、という点です。
一般就労(企業就労)、就労継続支援A型、に比べると就労継続支援B型は1か月あたりの賃金が極端に少なく、就労して賃金を得るというよりは、働く=生きがいや居場所を得るという、福祉サービス的な意味合いが強いのかなと思います。
実際、太郎が3年後にどういう就労先を選ぶ(選ばれる)ことになるのかはわかりませんが、それぞれのメリット・デメリットを調べ、勉強しておきたいなと思いました。
その一環で、経済学の観点から障害者問題について分析したこちらの著書の中に、障害者雇用の問題についても詳しく記載されていたので、読んでみました。
著者である中島氏は自身が障害者の親という立場もあってか、共感できる部分が多く、かつ、とても読みやすい本でした。
経済学においては、資源には限りがあることを前提とし、それをどのように配分することが最も効率的かを考える。
経済学の視点は常に社会全体にあり、必ずしも特定の人や業界の利益には向いていない。
これは障害者福祉においても同様だ。
障害者とその家族は多くの面でハンディを負っており、何らかの支援が求められていることは理解できる。
しかし
経済学は障害者の便益を高めるために、あるいは社会福祉法人の余剰金を増やすために、社会の負担を増すことに対しては慎重である。
障害者の経済学(中島隆信著)より引用
新型コロナウイルスに対応する政府の経済対策で今年度、100兆円近い国債が追加で発行されるんだそうです。
政策経費を税収で賄い切れず、借金である国債発行で穴埋めする、ということなんですね。
今後少子化でますます税収は少なくなっていくというのに、国の借金は膨らんでいくばかり。
その借金を背負わされるのは、私たちの子供の世代なんですよね。
障害者雇用も財源は税収です。
様々な福祉サービスも、税収あってこそ成り立つものです。
そして税収には限りがあるわけで。
もしかするとこの先、これまで当たり前のように受けられていた福祉の恩恵も、様変わりする可能性も考えられます。
この「障害者の経済学」の中で、法定雇用率の増加に伴って増えた特例子会社や、営利法人による就労支援A型への参入についての問題点も記されていました。
どういう観点で就労先を選んだ方がいいのか、就労を考える際のヒントとなるものがたくさん書かれているように思います。
有料の本なので、あまり内容について詳しく書くのもどうかと思うので、程々にしておきますが😅
この本で1番衝撃を受けた点はというと、
障害者雇用の場を用意するというだけで、巨額の税金がかかっていて
福祉作業所を作って障害者を働かせるよりも、働く場所を与えないかわりに障害者年金の額を数万円UPする方が、トータル的には使う税金がかなりおさえられるんです。
実際に作業した事で得られる対価よりも、福祉作業所を運営することでかかる費用の方が多額であり、その運営費用を賄っているのは国からの給付金(つまり税金)。
福祉作業所を運営しているだけで毎月多額の税金が投入されているということなんですよね。
ただ単に障害者にかける税金を抑えたければ、福祉作業所は廃止して障害者個人に給付金を直接払う方がトータルではお金もかからないし、障害者本人も働くよりも多額の金額を受け取ることもできる、っていう。
働くって、なんなんだろう。
と、しばし考えてしまいました。
実際、こちらの著書の中にもありましたが、営利法人が運営するA型事業所の中には、国からの補助金目的のために会社を設立した、という悪質な企業もあるらしく。
障害者は仕事をせずにゲームをしたりして時間をつぶしているケースもあるそうです。
障害者が働くことの意義や生き甲斐などはまったく考慮されていない職場もあるということなんですね。
まあとにかく。
コロナのこともあって、この先どうなるかわからないこんな世の中だからこそ、障害のある息子のためにもいろいろと勉強をして、常にアンテナを張っておこうと決意を新たにしました。
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