親権を失う前に!重度知的障害児が未成年のうちでなければできないこと
出典:いらすとや
すみません、性問題の最終回よりも先に他の記事をUPさせていただきます💦
X(旧Twitter)でETC障害割引制度について呟いていて思ったのですが、子供が18歳になるこのタイミングってなかなか大変な時期なんですよね。
でもそのことに気がついていない親御さんは意外と多いのではと。
そこで今回は、未成年の知的障害児の親御さん向けに、警鐘の意味も込めて記事を書いてみようかと思います。
子供が18歳になると親は親権を失い「代理行為」ができなくなる
基本的に今回はこちら☟の焼き直し記事となりますので、よかったらこちらもご参照ください✋
知的障害児の親にとって子供が18歳になる年というのはとても忙しいものですよね💦
卒業後の進路を決めなければならないただでさえ多忙な時期に、成人年齢が20歳から18歳に引き下げられたことにより、さらにやらなければならない事、備えておかなければならない事が増えるんですから。
いやでも子供が成人になったからって何が変わるの?
と思う方もいらっしゃるかもしれませんね。
子供が未成年のうちは親は法定代理人として、子供の代わりに何でもできるんですよね。
例えば子供名義の銀行口座の開設なんかも、親子関係を証明するもの(住民票やマイナンバーカードなど)を用意して持参すれば、子供を同伴させることなく、親だけで契約することも可能です。
子供名義の銀行からお金を出し入れすることも、法定代理人である親だからこそ自由にできること。
習い事をするときの申込みなんかも、あれも代理行為の一つですね。
これらはすべて子供の親権を持つ親だからこそ当たり前にやれていることなんですね。
ところが
子供が18歳になると親は親権を失う=代理行為ができなくなるんですよ。
ご存じでしたか?
親が一人で子供名義の銀行口座を開設しに行っても、「本人を連れてきてください」って門前払いされる案件です😂
そして子供本人を連れていっても親は単なる付添人であり、子供本人がある程度理解して契約できる状態の子でなければ「成年後見人をたててください」と言われてしまうんです。
この成年後見人に親がなることはできません。
※できなくはないですが、家庭裁判所に親が成年後見人になりたいと言う事を申し立てしなくてはなりません。そして子供が成人してからの申し立ての場合、必ずしも親が成年後見人として選ばれるとは限りません
なんなら、子供名義の銀行口座からお金を出し入れする行為も厳密に言えば法的にはNGらしいですよ😂
ただ、誰が見ているわけでもないし、暗黙の了解で許されている感じなのでしょうね。
そして習い事の申込みなども基本的には親が代わりに契約することはできません。
じゃあ福祉事業所との契約は?本人は無理だし、親が代わりにやってあげられないの?と思いますよね。
実はこれも暗黙の了解で許されている範囲のことのようです。
ほとんどの事業所で、親が代理となり契約することは可能かと思います。
習い事や一般的な契約でも、暗黙の了解でスルーしてもらえる場面は多いのかなと思っています。
それに今時、オンラインで完結することの方が多いですしね。
対面でなければ本人かどうかなんてわかりませんから。
それなら焦ることなんてないんじゃない?
…と思うところなんですが、どうしても親が代理でできないこともあるんですよね。
それが今回の記事を書こうと思った理由です。
子供が18歳になった後に「ああ、未成年のうちにやっておけばよかった!」と後悔しないように。
将来に備えて子供名義の銀行口座を作る
まず、子供が成人してしまうと親ができなくなることの筆頭が「子供名義の銀行口座を作る」ことかと思います。
こちら☟は以前その件について詳しく書いた記事です。
これ、厳密に言うと全くできなくなるわけではないんですよね。
法的にはNGではありますが、今はインターネットで口座開設もできますから、親が子供のかわりにインターネットを通じて子供名義の銀行口座を開設することは可能です。
インターネット上であれば誰が手続きをやったかということはわかりようもないですからね。
ところがこの方法ではネックがあります。
通帳が発行されないということです。
ん、通帳が発行されないと何か問題でも?と思うかもしれませんが…確かに、お子さんの知的障害が軽く、お子さん自身がパソコンやアプリでWEB通帳を使いこなすことができるのであれば問題ないかと思います。
ただ、アプリは使えてもお金の管理ができない、そもそも知的重度でアプリやパソコンを適切に使うことは不可能…などといった場合、将来的に紙の通帳が必要となるかもしれません。
というのも、子供がグループホームや施設に入所した際、施設のサービス利用料を支払うために通帳を施設側に預けるといったことが必要になるからです。
(必ずしも必要とは限りません、入所する施設にもよります。気になる方は利用予定の施設等にご確認ください)
紙の通帳を発行してもらうには銀行の窓口で対面での申込みが必要です。
そしてこれは子供が成人した際は、子供自身が申込みをしなくてはなりません。
親は親権がないので、窓口で代わりに書類に記入したり、横から「ここは〇〇と書きなさい」などという指示をすることも基本的にはできません。
(責任能力がないとみなされ、成年後見人をたててくださいと言われる可能性大です)
だからこそ、本人名義の銀行口座を開設したい場合は、子供が成人する前、18歳の誕生日を迎える前、親が法定代理人として堂々と申込みができるうちに、やっておいた方がいいかと思います。
というか、持たせていない方はとりあえず口座を開設しておいた方が安心かもしれませんね。
「持っているけどWEB通帳にしている」という方も、WEB通帳から紙の通帳の切り替えは本人確認が必要となるケースがあるかと思うので、こちらも成人する前に手続きをしておいた方がよいかと思います。
また、「すでに1つ口座を持っている」という方も、できれば本人名義の口座は貯蓄用とそれ以外の2つの口座を使い分けておいた方がいいかもしれません。
施設に預ける通帳に大金が入っていては何かと問題も多いかと思われるので😅
また、「ゆうちょ銀行はNG」という謎ルールが発動されることも考えて、都市銀行・地方銀行等の口座を1つ開設しておくのも安心かもしれませんね。
この際注意点ですが、今現在、どこの銀行も紙の通帳を発行すると、通帳発行手数料を年に1回500円~1100円程度取られてしまうところばかりかと思います。
銀行は将来的に完全オンライン化を目指していて、通帳は無くしていきたいという方針だからです😔
障害者はただでさえ少ない収入の中から、この手数料を支払うのはとても負担が大きいですよね。
そこで☟こちらにも書いておりますが
ゆうちょ銀行は通帳発行手数料は現在は無料のようです。
また、みずほ銀行も「マル優口座利用者/ 後見制度利用者 / 社会福祉協議会利用者は通帳発行手数料は無料」と、障害者福祉に手厚いサービスを実施しているようです。
銀行口座を開設する際に、マル優口座を一緒に開設しておけば通帳発行手数料は無料になるかと思いますが、この件についてはまた別途記事を書こうかと思っています。
キャッシュカードをもう1枚!代理人カードの発行もお忘れなく
それからこれは「家族カード」などと呼ばれているかもしれませんが、「代理人カード」の発行も子供が未成年のうちに済ませておいた方がいいものの一つです。
我が家は生活費の引き出し用として共有している夫名義の銀行口座なんですが、夫が自分でキャッシュカードを1枚持っている他に、私も同じ口座でもう1枚キャッシュカードを発行してもらっています。
つまり1つの銀行口座に2枚のキャッシュカードがある状態ですね。
これは大抵どこの銀行でも行っているサービスだと思いますが、例えば三井住友銀行の場合だとこれですね☟
代理人キャッシュカード
預金者ご本人さまに代わって、ATM等で入出金ができる、代理人キャッシュカードを発行することができます。
発行された代理人キャッシュカードは、預金者ご本人さまから、代理人へお渡しいただくことで、ご利用いただけます。
預金者ご本人さまが、窓口でお手続きください。
その他、メガバンク系☟
代理人カード | みずほ銀行 (mizuhobank.co.jp)
代理人カードは発行できますか?|その他手続きのよくあるご質問|りそな銀行 (resonabank.co.jp)
【三菱UFJ-VISA】代理人カードとは何ですか? | よくあるご質問 | 三菱UFJ銀行 (mufg.jp)
サイトに該当の箇所が見当たりませんが、ゆうちょ銀行でももちろん「代理人カード」の発行は可能です。
実はこれ、親が認知症になった時の対策として利用されている方が多いようで、検索すると認知症対策の話がたくさん出てきます😅
親が認知症になると自分の銀行口座の管理ができなくなってしまうため、完全に判断ができなくなる前に代理カードを発行しておいて、子供が合法的に親の銀行口座から代わりに入金・出金等が行えるようになる…ということなんですよね。
これは実は知的障害のある子供にも便利な機能であり、例えばこの「代理人カード」を発行して1つの口座に2枚のキャッシュカードを持っておけば、子供が将来グループホームや施設に入所した際、カードと通帳を施設に渡した後でも、親がもう1枚のカードを使ってお金を入金できるというわけです。
この代理人カードの発行の手続きは本人でなければできないため、子供が成人してしまうと親が代わりに手続きができなくなってしまいます。
そのため、これも子供が未成年のうちに、法定代理人として行えるうちに手続きを済ませておいた方がいいかと思います。
キャッシュカードの暗証番号の確認を!
それから意外な盲点として挙げられるのが
「子供名義の銀行口座の暗証番号がわからない」問題😂
この件についてはこちら☟の記事に以前書きました。
子供名義の預金口座って、皆さん子供が生まれたばかりの時に作っている方が多くないですか?
出産のお祝い金とか、その後のお年玉とか、そうしたお金を貯めるための口座を。
そしてそうした口座というのは基本的に入金しかせず、出金ってしないものじゃないですか?
うちはそうでした。
これまで一度もお金を引き出したことがなくて、先日、新しく作った本人名義の貯蓄用口座にお金を移動させるために、カードで暗証番号を入れようとしたところで気がついた。
あれ?
暗証番号なんだっけ😂
思いつく番号を2回ほど入れてみたものの立て続けにエラー😂
あれ、確か立て続けに3回エラーするとロックがかかるんだっけ?
そうすると窓口でロック解除してもらわないとダメなんだよね?
と思った私。
窓口に行くのも面倒だし、じゃあ後日また行ってみるか…日を改めれば大丈夫なんだよね?
ってことでその日から1日2回ずつ、思いつく限りの暗証番号入力トライをしてきましたが毎回撃沈 ←バカ🤣
ちなみにゆうちょ銀行って、通帳とカードのエラーは別カウントらしく、私は同日に通帳2回、カード2回のトライをしました🤣🤣
でも全滅で、仕方なく窓口に行ってみたところ衝撃の事実が発覚。
暗証番号のエラーは1日3回やらなければOKというのではなく、エラー回数は累計でロックがかかる、つまり日を改めても無駄だった、すでにロックがかかった状態であった、と。
あれ?これ常識でした?😂
ものすごい無駄な時間を費やしてしまいました😔
皆さんも念のため成人する前にカードにロックがかかっていないか確認した方がいいですよ?
ところでこの、銀行のキャッシュカードの暗証番号を忘れてしまった際の問い合わせについては本人確認が必要で、電話やオンラインではできないんですよね。
なので、成人すると、18歳になってしまうと親が代わりに手続きすることはできません。
ゆうちょ銀行はわりと理解があるらしいんですが、都市銀行ではこちらも「成年後見人を!」と言われる可能性大です。
こうなると本当に大変なので、暗証番号を忘れたかも?という方は、成人する前に確認しておくことをおすすめします。
成人すると成年後見人は親が選べなくなる⁉
それから、これは近々に検討している方は少ないかと思いますが、制度としては知っておいた方がよいかと思うので記載します。
子供が未成年のうちは親には子供の親権がある=法定代理人として子供の代わりに契約等、様々な代理行為ができていましたよね。
子供が18歳になると親は子供の親権を失うわけですが、定型発達の子であれば18歳というと大人と同等の判断能力があり、親が代理であれこれやる必要もない。
ところが知的障害、それも重度知的障害児となると、親がサポートできないのであれば、代わりに誰か(=成年後見人)がサポートしなくてはなりません。
とはいえ、知的障害児の親御さんの皆が皆、子供が成人した際に成年後見人を立てているかというと、むしろ立てている人の方が圧倒的に少ないかと思われます。
その理由についてはまた別途記事にしていきたいと思いますが。
ちなみに成年後見人というのは、
成年後見人とは
成年後見制度は、知的障害や精神障害などにより判断能力が不十分な人の財産や権利を守るために2000年に制定されました。私たちは日常生活を送る上で、金銭的な管理や契約を結ぶなど判断が必要なことに日々直面しています。しかし、判断能力が不十分な場合、こうした局面で適切な判断をすることが難しいことがあります。成年後見制度は、そうした方々を支援する制度です。制度を利用するには家庭裁判所への申請が必要です。家庭裁判所によって選任された支援者を成年後見人といいます。成年後見人は本人の意思を尊重し、心身の状態や生活状況に配慮しながら、本人に代わって財産の管理をして、さまざまな契約や手続きを行います。成年後見制度の利用層は70~80代がもっとも多くなっています。出典:成年後見制度とは? 種類や費用、手続きの流れについて説明します | LITALICO仕事ナビ (snabi.jp)
特段の事情がなければ、基本的には親は子供より先に亡くなりますよね。
親亡き後、知的障害者の金銭管理を中心に世話をしてくれるのが成年後見人の役割の一つです。
この成年後見人ですが、もし知的障害のある子にきょうだい児がいるとしたら、後見人はきょうだい児にお願いしたいと考える方は多いのではないでしょうか?
また、知り合いの信頼おける弁護士さん、法律関係に明るい親族。
とにかく、自分が「この人なら任せられる」という人に後見人をお願いしたいと思うのが親心ではないでしょうか?
ところが
子供が未成年のうちは親が法定代理人として子供の代理で物を申すことができるので、「この人を後見人にしたい」という指名ができるのですが
子供が成人した後は、親は子供の親権を失うため、代理人として「この人を後見人にしたい」と指名できる権利はなくなってしまいます。
成人後に後見人を立てたいとなると、一応希望を出すことはできるものの、家庭裁判所が後見人を選びます。
「きょうだい児を後見人にしたい」という希望を出したとしても、障害児の子供名義の貯蓄が多額だった場合などは、「きょうだい児が着服するかもしれない」という可能性を疑われ、親族が後見人として選出されないこともあるのだとか。
親が成年後見人を選べるのは子供が未成年のうちだけ。
もしも、絶対にこの人を後見人としたいという強い気持ちがあるのであれば、子供が未成年のうちに手続きをしておいた方がいいかもしれません。
ただ、成年後見人を立てるということは、子供名義のお金を自由に動かすことができなくなり、日常生活においてそれはとても不便なことでもあり、また、毎年の事務手続き等の負担も増えるので、よく考えてから判断されることをおすすめします。
ジュニアNISAも18歳になる前に対策が必要?
それから現在ジュニアNISAを運用されている方。
ジュニアNISAは新NISAに移行されず、18歳になるまでに処分しなかった商品は特定口座もしくは一般口座(ともに課税口座)へ払い出しとなります。
非課税の恩恵を受けたいのであれば、未成年のうちに売却も検討した方がいいかと思います。
新NISAには移管できません
ジュニアNISAでは成人になるまで非課税で運用を続けると、成人となったタイミングで自動的に開設される一般NISAの非課税枠に移管(ロールオーバー)することができましたが、2024年以降は、これまでのNISAとは別の制度としてスタートする新NISAの非課税枠には移管することはできません。
課税口座への払出しか売却を選択
成人年齢を迎えたとき(または、18歳を迎え5年の非課税期間が終了するとき)は、その年の年末にジュニアNISAで保有している商品は特定口座(または一般口座)に払出しとなります。その年の年末までに売却することも選択肢の一つとなります。
「1月1日時点で18歳である年の前年末まで非課税で保有することができます」とあるので、厳密には18歳になった年の年度末までに売却すればよいのかと思います。
該当する方はご自身で確認してみてくださいね。
こんにちは
こーです
名前が匿名になってしまったので、文面に(^^)
ややっこしい事になりましたよね。
他人に任す方が心配だぁ。
こーさん!ご無沙汰してます~。
成人すると息子なのに自由にできなくなることが多くて戸惑っています(;’∀’)
私が元気なうちは後見人は立てないと思いますが、いつなんどき何が起こるかもしれず、想定だけはしておかなければなあ、と思いました。
いつも分かりやすく噛み砕いて
ご説明頂き感謝です!
問題行動多発で(^◇^;)イマの事で
いっぱいいっぱいですが、
サナさんがTwitter等で発信して下さるので
常に頭の片隅には成人後の事が
あります。
早速、先日通帳の暗証番号も
設定して来ました!
後は忘れないようにしないと、ですね(^◇^;)。
暗証番号ですが、照会してみたところ私が想像していたものと全く違った「なんじゃこりゃ?」という番号で驚きました( ̄▽ ̄)
成人する前に照会しておいてよかったです…。
いざと言うときのために、エンディングノートではないですが、私しか知らない息子に関するものをまとめて書いておかなければいけないな~と思いました。