”過剰な味付け”を好む発達障害児の調味料大量投入問題
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先日こちら☟のブログで触れた「調味料大量投入問題」について書いてみようと思います。
発達障害者は「食」に関する様々な困難を抱えている
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自閉症の長男・太郎は濃い味付けが好きです。
濃い味付けが好みというよりは、自閉症の特性である「こだわり」が作用しているのかな、と私は思っていました。
「調味料を大量に入れる」ことがこだわり化していて、本人的にも味が濃すぎるとわかっていても手が止まらないイメージですね。
身体によくないと思うし、将来グループホームや施設に入ってからの生活を考えても、今のうちに適量を覚えさせるようにしたいな…と考え、何かいい方法はないかと調べてみたら、発達障害の人が濃い味付けを好むのは何も珍しい事ではないのだということがわかりました。
検索しているなかで「発達障害を有する子どもの『食』の困難に関する実証的研究」という論文を見つけましたが、こちらには調味料の事だけでなく、発達障害の子の食に関する困りごとがたくさん記載されてありました。一部抜粋しますが、
・発達障害児が「口いっぱいに詰め込んでしまう」「よく噛まないで飲み込む」といった咀嚼や嚥下に関する問題を示す割合は、健常児と比較して遥かに高い
・発達障害当事者を対象に行った感覚過敏・鈍磨に関する調査では「食感がダメで食べられないものがある」33%、「食べたことのないものはとても怖い」17%など食に関する感覚の問題を示す当事者が少なからず存在しており、彼らが「自分に合った温度に食べ物を温めたい」25%、「初めて食べるものは量を少なくしてほしい」16%といった食に関する理解・支援を求めている。
・摂食中枢の調査項目全 27 項目のうち、発達障害本人のチェック率が最も高かった項目は「26. 食欲の差が激しく、食欲のない時はとことん食べず、ある時はとことん食べまくる。」24.8%、次いで「4. 気がついたらひどくお腹がすいていることがある。」24.1%となった。その他「25. 糖分や塩分への強い欲求がある。」20.4%、「3. ストレスを感じると空腹を全く感じなくなる。」19.0%、「11. 異常に喉が渇き、一日に何リットルも飲み物を飲んでしまう。」18.2%、「14. 満腹中枢が上手く働かず、すぐに何かを食べようとしてしまう。」15.3%と続いた。
・摂食中枢で最も困難度の高かった項目は「12. 頭をよく働かせている時には水分が欲しくなり、四六時中ガバガバと水を飲んでしまう。」14.5、次いで「11.異常に喉が渇き、一日に何リットルも飲み物を飲んでしまう。」14.1 となった。その他「23. 自分が何を食べたいのかわからないので、毎日同じものを食べる。」13.5、「1. お腹がすくという感覚がよくわからない。」13.0、「4. 気がついたらひどくお腹がすいていることがある。」11.2、「16. 食べ物に関しては無頓着である。」10.2 と続いており、発達障害本人の多くが、摂食中枢の調整機能に何らかの問題を抱えていることが推測される。
黒い太文字の部分はうちの太郎にも見られた現象です。
克服できたものもあるし、現在でもなお困難を抱えているものもあります。
こうした食の困難については健康被害につながるものが多いので、できるだけこだわり化する前、つまり幼少期のうちに克服しておいた方がいいかとは思いますが、この件についてはまた別途記事を書くつもりでいます。
今回は調味料に特化した話となりますが、調味料をたくさん入れてしまう理由として、こんな風に書いてあるものも見つけました。
味覚に感覚の偏りが見られる場合、多くの人にとって美味しいと感じられる味がそうではないように感じたり、変わった味を好むようなことが見られることがあります。例えば、特定の味に対して、非常に強い不快感を感じたり、味が混じることを嫌がり、分けて食べたがったり、食べ物、飲み物の苦みや酸味を過剰に感じたりします。
結果的に食べ物の好き嫌いの差が顕著で偏食の傾向が見られるようになったり、刺激的な味を好むゆえに調味料や香辛料で過剰に味付けすることがあります。
食べ物に関する感覚は味覚のほか、におい、食感、色、といったさまざまな感覚が関係していることがあります。一人ひとり原因が異なるので注意が必要です。(感覚過敏の症状とは?偏りの原因、発達障害との関係は?7つの感覚それぞれの症状も解説ーーマンガで学ぶ感覚過敏【専門家監修】【LITALICO発達ナビ】 (h-navi.jp))
確かにうちの太郎は食べ物だけでなく、生活全般において刺激を求める、刺激を好む傾向があります。
調味料をたくさん入れてしまうのは、刺激を求めているのだと思うと妙に納得するものがありました。
もしかして太郎は単に味付けを濃くしたいと思っているのではなく、「調味料をドバドバ入れる感触」をも楽しんでいるのかもしれません。
調味料をドバドバ入れていた時代の太郎
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ずいぶん前のことになりますが、TKG(卵かけご飯)を食べていた息子が、ご飯に生卵を入れた後、大量のしょうゆを回し入れていました。
「ストップ!そこまでね」と制しましたが、すでにお茶碗の中はしょうゆで真っ黒🤪
しかし「ストップ」と制すると、その言葉に過剰に反応して癇癪を起し、パニック状態になって暴れて手が付けられなくなる太郎です。
「ダメ」などという否定的な言葉をかけるのは逆効果なんですね。
これは3か月前くらいの話なんですが、夕飯を食べるときにちょっと目を離していたら太郎が自分のお皿に一味をドバドバふりかけているところが目に入りました。
思わずギョッとして、私は言ってしまったんです。
「ちょっと!入れすぎだよ」
って。
そしたら、否定されてカーッと頭に血がのぼった太郎はどうしたと思いますか?
これです☟
怒り狂って一味をメガ盛りにしたんです😂
これね、こう見えてもガパオライスなんですけどね😂
味見してみましたけど、一味の味しかしませんでした🤪
泣きながら食べる太郎からお皿を取り上げて、私のお皿と替えてあげましたけどね…。
このまま何の対策をしないのはダメだな、と思った一件です。
昔はTKGにしょうゆをだらだら入れるたびに「だったらしょうゆを好きなだけ飲んで死ねばいい」と応戦、放置していたこともありましたけどね…。
野菜サラダなんぞはもはや野菜のドレッシング浸しだし😂
しかも最後に皿に残ったドレッシングをゴクゴク飲み干す始末😱
あっさり死ねればマシだけど、ただ身体をこわして苦しむコースが待ち受けているだけだと思うんですよね。
食塩の摂りすぎで血圧が高い状態が続くと、血管や心臓に負担がかかって動脈硬化や心臓肥大が進み、若くして脳卒中や心筋梗塞、心不全、不整脈、動脈瘤、腎不全などにならないとも限りません。
「食べること」が大好きな息子なので、病気になって好きなものを自由に食べられなくなるのは辛すぎる😭😭😭
そんなこんなで、何とか真剣に対策を考えないとな…と思った次第です。
調味料を大量に入れさせないための対策を考える
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この件を、病院で相談してみたこともありました。
先生の見立てでは、太郎は味覚障害というよりは自閉症のこだわりが原因で、「大好きなものをたくさん入れたい欲求」が強いのでは?と。
急にやめさせることも難しいものの、やはり健康にはよくないので…使っている調味料や料理に工夫をしてみては、と。
例えば醤油なら減塩醤油を使うなど、なるべく塩分が少ないものと変える。
量をすこーしずつすこーしずつ、ジワジワと微妙に量を減らしていく。
最初から味付けしておいて、後から自分で調味料を入れる必要のない状態に調理しておく。
ドバッと出ないタイプの入れ物(調味料入れ)にする。
などなど。
確かに見ている感じ、味がどうのというよりも、ドバーッと入れた爽快感みたいなのもある感じはします。
そうこうしているうちに濃い味に慣れてきて、今では濃い味付けを好むようになってしまったのだと。
面倒ですが、段階的に薄味に慣れていくよう料理の味付けや調理方法を工夫してみようかと思います。
それから、当面の対策としてはこちら☟
・太郎に自分で調味料を入れさせるのをやめる
→これまではダイニングテーブルで太郎が自分で調味料を入れていましたが、私がキッチンであらかじめ適量を入れて渡すようにする
・醤油さしなどは小さい容器に替える
→大きい容器だと内容物も大量に入ってしまうため(醤油さしなどは太郎が知らない間に常に満タンになるように入れておいてくれる😂)、小さい容器に買い換えました。
これに加え、一味に関しては容器を撤去しました。
辛い味が好きなので一味を置いていましたが、一味自体が太郎の刺激を求める行為をエスカレートさせていたのだとわかりましたし。
実際、一味を撤去して以来、我が家には平穏が訪れました🤣
まあ、どれも場当たり的な対策ですよね😂
けど、根本的な原因を正すための対策などはそうそう思いつきません。
場当たり的かもしれませんが、それでも調味料をドバドバ入れることは無くなりましたので、これを続けているうちにいつの日か自然と治っていればいいな…と期待しつつ。
もともとめっちゃ気の短かった私ですが、発達障害児の親をやるようになってから十数年。
息子が幼児期の頃には織田信長だった私も、ついに徳川家康の境地までたどりつきました。
鳴くまで待とう、ホトトギス。
ああしようこうしようって「親として」みたいに考えてらっしゃるみたいですけど、普通に1度ちゃんとお子さんと話し合ってみては?
自分は当事者ですが、勝手に管理されるのが納得いかず自分で買って来てしまいます
減らす方法を考える気なんてさらさらないので、最悪それで体が悪くなっても今幸せであることが最優先、って思っちゃうんですよね
そりゃ薄味で満足できるならその方がいいに決まってますけど…
うちの息子は言語コミュニケーション能力が1歳~2歳前半程度(それもかなり言葉の遅い子のレベル)でして、言葉での説明が理解できず、話し合いというか込み入った内容の会話をすることが不可能です。
味付けも度を超していて、このままでは健康被害が出てしまうほどなので、どうしたものか悩んでいるのですが…。
ポックリ死ねれば美味しいものを好きなように食べて満足させてあげたいとは思うんですが、遺伝的に糖尿病や腎臓病、高血圧になる可能性が高いため、将来、そうした病気を発症して、食事制限をしながら長く生きていかなければならなくなったとしたら…と思うと、適度な味付けで満足できるように矯正していかねばと思っています。
こんにちは
太郎くん専用の調味料セット。
中身を少なくしておく、ダメか?騙されないか(ToT)高校生だもんな。
こだわりって普通でもあるからどれがこだわりか分からん( ;∀;)
中身を少なくしておくと自分で足しているんですよ(笑)
うちは醤油は2種類の醤油をブレンドして使っているんですけど、ちゃんとそれも模倣して自分でブレンドしてやっています(;’∀’)
容器の中に常に満タンの状態であることへのこだわりが強いんですよね。
小さい容器に買い換えたところ、自分1人で全部使いきることはしないので(そこは躾の賜物です♪)少し使う量が減ったかな?と思っています(^^)
さなさん、毎日お疲れ様です。
食の大変さは、発達障害児あるあるなのでしょうか。
知的障害も関係するのでしょうか。
さて、調味料問題。
私は目を瞑ったまま、まだ直せていません。
今後、成人病は偏食がひどいことと併せてそんなに遠くない未来かも、と怯えています。
うちは、私が九州出身で、調味料のみそ、醤油は九州のもの。
甘くて、塩分も少なめだと思います。
お醤油は、次男以外の家族も大量にかけるのを防ぐためにプッシュ式のものにしています。
(主人は鎌田の出汁醤油。九州醤油は甘すぎて食べられません)
でも、次男は冷奴を食べる際に細かく賽の目に箸を入れその一つ一つに醤油をかけていきます。
うーん…結構な量。
そして、先日見たら、お皿に残った醤油を飲んでました(ギョッ)
うちは、次男には味付けのよせ鍋を食べさせていません。
猫舌なのと、どうしても醤油をかけてしまう。
寄せ鍋の味付け出汁では足りない模様。
(味噌汁の豆腐にはかけません。)
よって、夏は冷奴、冬は湯豆腐。
今年から事業所に通うようになり、美味しい豪華な給食では食べられるものが増えているようです。
調味料はもしかしたら予めかけられているのかも。
残した話を聞くと嫌いな調味料、味付けだった、といっていたので。
いろんな配慮があるので、本当に助かってます。
健常者でも食の困難さはあると思いますが(実際私もかなりの偏食でした)
ただ単に味やにおい、食感以外の要素が多すぎますね。発達障害者の偏食は。
次男さんもかなりの濃い味好きですね。うちも鍋のときはポン酢を大量にかけて食べています( ;∀;)
事業所の給食、助かりますね(^^)
うちの太郎も学校の給食がきっかけで随分偏食が改善されたので、調味料問題も事業所の給食で変化があるのではと期待しています(^^)