【自閉症×重度知的障害児】早期にやらせるべきこと・やらなくてもいいことを仕分けてみた

出典:いらすとや

自閉症などの発達障害、特に知的障害を伴う子の場合、年齢相応のことをやらせるのがとてつもなく難しいですよね😂

その最たるものがトイトレ(トイレトレーニング)なわけですが、やっとの思いでトイトレが完了したと思ったら、将来の自立を見据えて「自分でできることを増やしてください」「できるだけ家でもお手伝いをやらせてください」などと言われ、「中身が赤ちゃん並みのウチの子には無理!」「今やらせなきゃいけないの?」と悶々とすることが多かったあの頃。

だって、知的障害が重い子って中身が2~3歳だったりするんですよ。

2~3歳の幼児を一人でお風呂に入らせます?

2~3歳の幼児に食器の洗い片付けやらせます?

「それ、今やらせないとダメなの?」

常にそうした疑問を抱いていました、私😅

そんなウチの息子もまもなく成人年齢になろうとしています。

「将来の自立」っていうのが目前に迫ってきたわけです。

この年齢になって、今なら私、言えます。

「これは年相応にやらせる必要はなかった」「できそうもなかったけど早くやらせて良かった」ということを。

そんなわけで今回は知的障害(中度~重度)を伴う自閉症の子供の躾について、早期にやるべきか否かの仕分けをしていこうかと思います🖐️

 

「こだわり」が強くなる前に仕込んでおいた方がいいと思うもの

出典:イラストAC

まずは「これだけは早めにやっておいた方が良かった」と思うもの。

それはトイレトレーニングです。

トイトレについては過去にいくつか記事を書いてきていますが。

重度知的障害児のトイレの困りごとまとめ

重度知的障害児である太郎のオムツが外れたのは幼稚園年中さんの夏休みでした。

定型発達の子の物差しで見れば決して早い方ではないと思いますが、重度知的障害なおかつ言語発達遅滞があり、意味のある言葉は皆無、母親である私とは視線を合わせることすらしない…という状況だったので、まさか幼稚園の年中さんでオムツを卒業することになるとは夢にも思っていませんでした。

太郎は自閉症、知的障害、言語発達遅滞の他に、多動・他害もあり、それはもう筆舌に尽くしがたいほど大変な毎日を送っていましたから、オムツが外れたことで生活のクオリティはぐっと上がりましたね😝

言葉でも意思疎通が全くとれない子のオムツを外そうと試みたのは、「犬猫だって躾ければ決まった場所でトイレをすることができるようになる。だったら言葉が話せなくてもオムツを外すことはできるのでは?」と考えたからです。

まあ、実際は幼稚園の年中の春、息子を園までお迎えに行った際に、床に寝転んで💩のオムツ交換をしてもらっている息子の姿を見て衝撃を受けたことがきっかけでしたが。

結果、あの時にトイトレを強行して良かったとしみじみ思います。

というのも、うちの太郎は自閉症児特有の「こだわり」がかなり強いタイプだったからです。

学童期(小学校~中学校)に入ると、だんだん自我が芽生えてきて、こだわりが強くなってきたんですよね。

知り合いのお子さん(重度知的障害)の中には学童期に入ってからもオムツが取れなかったという子も何人かいましたが、こだわりからオムツへの執着が日に日に強くなってしまって、中学になってもオムツが取れなかったというケースもありました。

こうなってくるといわゆる普通のトイトレの手段ではオムツを外すことは難しく、うちの太郎もおそらく同じようなタイプだったので、自我が芽生える前の、本人も「排泄」に対して特にこだわりを持つ前にトイトレを終わらせることができて良かったと思いました。

小学生になってもオムツが外れなかった場合、学校での滞在時間が長くなるため、プロ(特別支援学校の先生など)の手を借りたいところですよね。

ちなみにトイトレについて調べていたときに見つけたこちら☟のレポートには、特別支援学校の小学部 4 年に在籍する女子生徒への学校でのトイレトレーニングについてかなり詳細に書かれてあります。

家庭でのトイトレのヒントになる情報もあるので、興味のある方は読んでみてください。

『自閉症スペクトラム研究』第18巻第2号尾川周平 (jst.go.jp)

 

それからもう一つ、早めに対策をしておいてよかったことの一つが「偏食改善」です。

偏食や好き嫌い回避のために工夫していたこと

うちの太朗は幼児期、自閉症由来の偏食がありました。

自閉症由来の…というのは具体的に、まず「初見のものは食べない」という強いこだわり😅

そして視覚優位が災いになったのが、「見た目だけで好き嫌いを判断する」ということ。

上記2つの理由より、「いつも決まった同じものだけを好んで食べ続ける」傾向がありました。

見た目重視なので、メーカーにもこだわっていましたよね。

例えばですが同じポテトチップスでもカルビーはNGで湖池屋はOKみたいな感じです。

一生こんな感じの偏食があったら大変すぎる…と思った私は、なんとか偏食改善を試みましたが、幼児期は難しかったですね…。

普通の子が通う幼稚園でしたからね、それもお弁当だったので、偏食指導もなにも、好きなものだけを入れていましたから(というか、毎日同じお弁当😂)

本格的に偏食が改善されたのはやはり学童期に入ってからでした。

給食になったこと、みんなが同じものを食べていること、先生が特別支援教育のプロフェッショナルであり、またクラスの人数が少人数ということも大きかったと思います。

給食の際に先生がしっかり偏食指導をしてくださっていましたよね。

ついでに箸の持ち方も教えていただいていたようで😅

発達障害でも躾を放棄してはいけない

もちろん家でもやっていましたけどね。

家でも学校でも、両方でやることが大切だと思いましたね。偏食も、お箸の躾も。

 

排泄と食事は人間生活の営みのなかで基本となる大切な要素ですから、この2つが現在、まったく問題なくやれているということは本当に良かったと心から思います。

特に「食べること」を何よりも楽しみとしている太郎の場合、好き嫌いなく何でも食べられた方が本人にとっても幸せだと思いますから😊

 

急いで教えても疲れるだけ。ゆっくり教えればOKと思うもの

出典:pixabay

逆に、これは未熟ゆえに教えていてもなかなか習得できず、早期に取り組むのは無駄なのでは?と思うもの。

いくつか(というか、たくさん😅)あるような気がしますが、まず思いついたのはお風呂の躾

お風呂の躾は家でやるしかない

例えばですが、「一人でお風呂に入れる」というミッションは、何をもってクリア(できた!)とされると思います?

自分で髪の毛が洗えて、体が洗えて、髪や体を流すことができて、体を拭くことができれば「一人でお風呂に入れる」ことになるんですかね?

小学生くらいの子供の話なら、それは○(マル)だと思います。

一人で入れて偉いねって思います。

でも太郎のような重度知的障害児の場合のゴールは、そこじゃないと思っています。

というのも、将来、太郎は一人暮らしをすることはほぼあり得ないからです。

施設か、グループホームで暮らすことになるでしょう。

そうなると、そこで使うのは共用風呂。

太朗が使った後には、他の利用者さんが使うんです。

そうなると、自分の髪の毛や体についている泡を洗い流すとともに、床や壁についている泡(散らばった髪の毛なども)も綺麗に洗い流すという作業がプラスされるわけです。

自宅であれば、家族の誰かが後始末をしているかもしれませんが、他人と一緒に暮らすグループホームでは、できるだけ自分の汚したものは自分で綺麗にする、といったことができておくべきかと私は思います。

大きなお風呂がある場所では、他の人にシャワーのお湯が当たらないように気を付ける、というような難易度の高いことまで教えていかなければなりません😅

前提として「綺麗・汚い」という感覚が備わっている必要があるし、人に対して迷惑をかけないようにするという感覚も備わっている必要があるんです。

でもそれって、感覚を備えるのって実はトイトレなどの躾よりもずっと難しいし時間がかかることだと思うんです。

(そういう意味ではトイトレもオムツが外れれば完了!ではなく、綺麗にお尻が拭ける、綺麗にトイレや洗面台を使えるようになる、ウォシュレットが適切に使える、トイレットペーパーが無くなったら補充するなど、そういったことができるようになって初めて完了と言えるのかもしれません)

 

そうした「綺麗・汚い」の感覚が備わっていない小学生の頃から「床を綺麗に流しなさい!」みたいなことを言い続けるのって疲れるじゃないですか?

綺麗の意味がわからないので、毎回細かく指示しなきゃいけないんですから。

なので、小中学生の頃までは、自分の体が綺麗に洗えればOKということで、毎日一緒にお風呂に付き添い(私は洋服を着て洗う時だけ手伝うスタイル)、髪の毛や体がきちんと洗えているかどうか、細かく指示をしていました。

本人に完全におまかせすると、例えば頭を洗うときは髪の毛だけをさらさら~っとなでるように洗うだけで、地肌をしっかり洗わないんですよね。

これずっと続けていると頭皮が不潔な状態になってフケが出てくるんですよ。

身体も、放っておくと背中がきちんと洗えていないし、陰部もしっかり洗わないし、体のくぼんだ部分に垢がたまってしまうんですよね。

「汚れを落として綺麗にしたい」という感覚がないので、毎回毎回、声掛けをしなければならないんです。

本人の体だけでも手一杯なので、体を洗い終わった後の床や壁の洗い流しは私がやってあげていました。

あえて私がやっているのを毎回見せていましたよね。

いつか「綺麗・汚い」の感覚が備わったときに、これまでお母さんがやってあげていたこの部分(床や壁を綺麗にする作業)はあなたが自分でやってね、ということで、スムーズに移行できるかと思ったんです。

まあこんな感じで、お風呂っていうのは「綺麗にする」ことがメインの作業なので、「いつかできればいいや」というくらいの感覚で、焦らず、ゆっくり、コツコツと教えていった感じです。

やる気がないときは手伝ってあげてもいました。

 

そして高校生になる頃には、なんとなく「綺麗・汚い」の感覚も身についてきましたね。

ただ、その感覚は一朝一夕には身につくものではないんです。

小さい頃から、すべてのことにおいて「綺麗・汚い」を意識して生活することを心がけてきました。

例えば、脱いだ洋服をそのまま脱ぎっぱなしにはさせない。自分で綺麗にたたませるように徹底。

夜寝る前には散らかっている玩具やクッションなどの備品もすべて元ある場所に戻して綺麗な状態に回復させてから寝る。(太郎に自分でやらせています)

こぼしたり汚したりしたらすぐに綺麗にする。

…とまあ、生活全般において「綺麗・汚い」を意識して生活させていましたよね。

それが高校生くらいになると、なんとなく感覚としても身につくようになってきたわけです。

そこで、高校生になってからは、ようやくお風呂の床や壁を綺麗に洗い流す作業を太郎本人にやらせるようになりました。

 

そうそう、洗い流すといえば、食器洗いなんですけどね。

 

これもね、小学生の頃から学校では「やらせてみてくださいね」なんて言われることもあるんですけどね。

これ、スルーして大丈夫でした😂

これもお風呂と同じで、「綺麗・汚い」の感覚が備わっていないので、いつまでたっても綺麗に食器を洗いあげることなんてできません😂😂😂

視覚支援ツールを作れば少しはマシなんでしょうけど、そこまでやる気がなくって😂

なので、うちは「水分が無くなるまで拭く」という、視覚的にわかりやすい食器拭きのお手伝いくらいしかやらせていませんでした。小中学校の頃までは。

ところがこれも高校生になる頃には、「綺麗・汚い」の感覚がなんとなく備わってきて、このあいだ「自分で使った食器は自分で洗っておいて」と指示をしたら、なんとまあ、汚れも綺麗に落とした状態で洗い上げてくれましたよ😆

太朗よりも知的に軽い子たちはもっと早い段階から当然のようにできていたことなんですけどね😅

食器洗いあたりは「綺麗・汚い」の感覚だけでなく、器用さも必要になるのでなおさら、手先が器用になった頃に教えればいいのかな?と思います。

食器洗いについてはほとんど教えていないのに、自然とできるようになっていましたよ。

小さい頃は教えても全く身に付く予感すらなかったのに。

 

今回書いた内容はあくまでも「うちの太朗の場合」ということではありますが、参考にしていただければ幸いです。

 

 

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【自閉症×重度知的障害児】早期にやらせるべきこと・やらなくてもいいことを仕分けてみた” に対して6件のコメントがあります。

  1. にゃんこ より:

    こんにちは。
    梅仕事、まだやってません。
    今年ははちみつ梅を作りたいとおもっているのですが…。
    躾って、ほんとうに難しい。
    私は恐らく母親が発達障害だったのだと思うのですが、何も教えられない人でした。
    私は幼少期に叔母(母の妹)から教わりました。
    母の悪口と共に。
    歯を磨いたり、毎日お風呂に入る事も嫌いだったので、叔母に叱られたり、叔母の家のお風呂に投げ込まれて泣いて帰ったり。
    それでも、洋服をきちんと着る事、音を立てずに食べる事、教えてもらえて良かった。
    今、私が子供達に教えている生活のほぼ全ては叔母に教わったやり方です。
    子供達は私に似ずに、父親に似てお風呂大好き。
    ですが、歯磨きは私に似て大嫌いなので困っています。
    知的障害のある次男には、生活に必要な事をあまり教えられて来なかったのが、申し訳ない。
    うがいも出来ないし、着たものを畳む事もしない。
    片付けなんてほぼ無理。
    親が出来ていないので、一時的にやっても長続きしません。
    うがーとなるような部屋で生息しております。
    今日は昨日友人とおでん屋さんで飲み会だったので、ちょっと二日酔い気味です。
    田舎なので上り最終がまさかの11時10分。
    慌てて店を出るのは、会社勤めの頃の新宿で飲んでた頃以来20年ぶり?
    ママになってからは近所で12時過ぎまで飲んでいたので。
    夫不在時にママ友招んで家飲みの時は2時とかね。

    1. 稲倉サナ より:

      うちも私が年長さんの頃から母親が仕事でほとんど家にいない状態だったので、まともな躾を受けていません。
      歯は虫歯だらけ、食事のマナー、箸の持ち方や鉛筆の持ち方など、きちんと教えてもらうこともなく高校を卒業して家を出てしまったので、その後はいろいろと恥をかきました。
      そういうこともあって、子供には恥ずかしい思いをさせたくないという気持ちから、躾だけはがんばって仕込んできました。
      ただ、私自身が成人してから箸の持ち方も矯正できたし、マナーも身に着けることはできたので、大人になってからでも遅くはないと思います。
      私も片付けは苦手ですよ(笑)
      表面的な部分だけちゃちゃっとやって、見えないところはぐちゃぐちゃです( ̄▽ ̄)
      おでん屋さんでの飲み会、羨ましいです~!!
      私もおでん屋さんや焼き鳥屋さんでの飲み会、大好きなんですよね。
      宅飲みも好きなんですが、子供が生まれてからはなかなかそういう機会もなくなりましたね…。

  2. こー より:

    こんにちは
    子供って計り知れない力を持っているよね。
    健常の子も、障害の子も家では絶対!親が言ったことはしないけど、親が居ないところではきちんと出来る?何なんでしょうね?
    親がこの子は、これ出来ないと決めつけているのかなぁ?
    きちんと小さい時から躾けをしていたら、その時は出来なくてもあとあと出来るのかもしれないね。
    諦めないで!(誰かの真似ー)
    何だかんだもう梅雨入りなんですね、梅干し楽しみだね。⁠◕⁠‿⁠◕⁠。

    1. 稲倉サナ より:

      まさに。計り知れない力を感じます。
      太郎が小さい頃には「絶対無理だ」と思っていたことが、この歳になって簡単にできるようになるとは夢にも思っていませんでした。
      親がいない方がきちんとやれていることも多いです。
      一方で、最低限の躾は大事だと思います。
      その匙加減というか、仕分けというか、難しいんですよね~。
      梅干しは…小梅の追熟に失敗したので、今回は美味しくできるかどうか不安です(震)
      もう理科の実験状態でしかありませんが、梅雨明けに天日干しをする日までは冷蔵庫でそっと寝かしておきます…。
      乞うご期待( ̄▽ ̄)

  3. cosflo より:

    おはようございます
    サナさんお久しぶりです。

    太郎くんのお風呂の様子を読んでいたら、妹と同じだったので、コメントしてみました。妹も綺麗、汚いの感覚がわからないので、頭はシャンプーをさっと付けるだけ、体も石鹸でさっと撫でるだけです。お風呂のときは私が頭を洗い、身体の洗い方を指示しますが、なかなか見ていないと上手く出来ません。サナさんは、きちんと太郎くんに教えてあげられていて凄いなと思います。一昨日妹のグループホームの保護者面談でしたが、妹は食事の後の食器洗いをスタッフさんの見守りの中、行っているということだったので驚きました。うちではやらせていませんでしたから。食器拭きは頼んでいましたが、食器洗いはしたことがなかった。新しいグループホームに引っ越して2年半くらいで新しいグループホームから食器洗いをしていることになるから、アラフィフでも出来ることは増えるんですね。
    サナさんの太郎くんの将来のための準備にはいつも脱帽です。

    1. 稲倉サナ より:

      ご無沙汰してます!
      本人にとって興味の薄いことを教えるのは大変ですよね。
      無駄に早い時期に教えても、お互いストレスになるだけだと思っています。
      食器洗いは太郎が小中学生の頃、他の親御さんは子供にやらせている人が結構多くて、やらせないことで私が劣等感を感じていました(苦笑)
      その子にとって適切な時期ってあるんだと思うんです。
      成人年齢を迎えたこの年齢になっても、まだまだ伸びしろがあるなぁ…と思いつつ、まだまだ障害児育児は長く続きそうです(;’∀’)
      焦らず、亀の歩みで進んでいこうと思います(^^)

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