噛む噛むエヴリバディ~死ぬしかないと思っていたあの頃の他害児は今~
出典:pixabay
先日、自閉症の長男・太郎の他害について記事を書いたときに、同じく他害のお子さんのいる方からコメントをいただきました。
うちの太郎は幼児期、尋常ではないほど多動・他害が酷い状態でした。
重度知的障害でなおかつ言語発達遅滞があり、認知機能が低く、幼児期の太郎はコミュニケーションがほとんど取れない状態で、私が何か話しかけても常に空気のようにスルーされていました。
それゆえ、多動・他害を止める手段もなく、毎日のように誰かに噛みつく太郎の背中を追いながら、地面に頭をこすりつけるようにして謝りつつ、一日一日をなんとかやり過ごしていた、そんな日々でした。
死んでお詫びしたい、死ぬしかない、死にたい。
他害が収まらない太郎に対して為す術もなく途方に暮れて、このまま一生こうなのかな、この子はずっとこんな状態なのかな、と。
絶望しか感じなかったあの頃の私。
あの頃の私が知りたかった、他害の子の未来。
今日はそんな他害の子の成長過程についてまとめてみたいと思います🖐️
他害の子の成長記録~乳児期編~
0歳児時代の太郎は一見、定型発達の子と何ら変わりがないと思っていました。
しかし思い返せばむしろ「手のかからない子」だったんですよね…。
母乳を嫌っていたので(今思えば母との接触を避けていたのかも😅)生後2か月目には完ミとなり、夜寝ると朝まで起きない爆睡型に。
離乳食はうまくいかなかったけれども、案外すんなりと通常食に移行できて、偏食もなく。
一人遊びが好きな子で、後追いも皆無。
私はその当時も在宅ワークで忙しかったため、楽だわ~くらいに思っていました。
後から考えれば思いっきり自閉症じゃんか😂なんて思うんですけどね。
身体能力は高めで、ハイハイは高速ハイハイ(今思えば多動🤣)
つたい歩きからの二足歩行と、フィジカル面は順調に成長していましたよね。
0歳児時代はそんな感じで、とりたてて大変だと思ったことはありませんでした。
ただ、まあ、「ちょっと元気すぎるかな?」とは思っていましたが(今思えば多動🤣)
他害の子の成長記録~幼児期編~
そうそう、0歳児時代も決して何も問題がなかったわけじゃないんです。
ただ赤ちゃん期なら誰でもやるでしょ?と思っていたんですよね、私。
それは、玩具や絵本のみならず、床に敷いていたパズルマット、生活用品、目につくものすべてを口の中に入れて舐めて噛んで溶かすっていう😂
それから、手にしたものを手当たり次第床に落としたり投げたり。
テロリストかよ😂
と思いつつも、そんなものだと思っていたんですよ。
ところが
1歳をすぎても太郎が手当たり次第物を投げたり、家中の物を嚙みちぎったり、そういった行為がおさまる気配がなかったんですよね。
1歳3か月を過ぎる頃にはさすがの私も焦ってきてしまって。
というのは、テロ行為がどんどん激しくなっていって、床に敷いていたマットは噛みちぎられてボロボロ、絵本はどれもビリビリに破かれ噛みちぎられ舐めて溶けてドロドロになって。
玩具は全部床にまき散らされ、リビングはまるで空き巣が入った後のような悲惨な状態でした。
家の中でテロリストのように暴れる太郎を見ているのが辛くて、果てしなく続く片づけにも疲れ果てて、私は太郎を連れて毎日外に出るようになりました。
晴れた日は公園、雨の日も室内遊具のある場所や児童館など、とにかく365日、毎日のように外出していました。
家の中がボロボロボロになっていくことが耐えられなかったんですよね。
ところが
外出先でも太郎はひどいものでした😭
公園にいけば順番を守らず、遊具から他の子を押して落とそうとしたり、噛みついたりという他害を行うようになりました。
そのため、早朝に車で遠くの公園まで出かけて、誰もいないうちに太郎を放牧し、人が集まり始めたら退散していました😂
車に乗っているときだけは比較的大人しかったので、時には高速道路を使って遠くまで行くこともありましたね…。
IKEAなどは雨の日の放牧スポットとして重宝していました🤣
店舗で多動児を放牧して笑っている親、サイテーですよね。本当にサイテー。
でも、どうしようもなかった。
毎日、太郎の溢れるようなエネルギーを放出させないと、家の中が全部壊れてしまうし、何よりも私自身が壊れてしまいそうだったんです。
ああ、こうして思い返してみると、本当につらかったな、あの頃。誰も助けてくれる人なんていなくて。
一人で泣きながら車を運転して、誰もいない公園を目指してさすらっていた、あの頃。
幼稚園に入園してからは、多動と他害がますますひどくなって、幼稚園では1日に5人も噛みついてしまったこともありました。
もう本当に相手の子にも親御さんにも申し訳ないし、幼稚園にも申し訳なくて、園をやめることも考えていたし、本気で死にたいと思っていました。
こんな子を生かしておいていいのかとか、この子は一生このままなのかとか、毎日毎日、夜になると涙が溢れて止まりませんでした。
誰かに助けてほしくて、療育先を必死で探しましたよね。
どうかこの子を助けてください。私を助けてください…って。本当に必死でした。
だから当時は2つの療育先に週1回ずつ通わせていました。
とにかくこのままでは太郎を殺すか私が死ぬか、そんな未来しか見えていなかったんですよね。
実際、他害をした際に、私が太郎に対して手をあげてしまうことも何度もありましたから。
あの頃はただただ絶望しかありませんでした。
他害の子の成長記録~学童期編~
それが小学校に入学してからですかね。
幼稚園は定型発達の子が通う普通の幼稚園だったので、当然、太郎に対しても特別な配慮はしてくれるものの、それが障害児への適切な対応だったとは言い難いです。
先生方は障害に関する教育を受けた方は一人もいませんでしたから。
ところが小学校(特別支援学校)はどの先生も特別支援教育について理解していて、多動・他害のある太郎への扱いも手慣れたものでした。
いわば毎日療育に通っているような状態ですよね。
小学校に入学して以来、物理的に他害をすることができなくなってきて(先生方の人数が多いことや、そういった状況を作らないように工夫していただいていた)、他害の件数が格段に減ってきました。
人に噛みつくことも、学年があがるにつれてほとんど無くなっていきました。
小学校高学年になる頃には、他害はほとんどなくなり、人に噛みつく行為も年に1回あるかないか…というところまで落ち着いてきました。
こうなってくると、母親である私自身の精神が安定してきましたね。
幼児期までは毎日が死刑宣告みたいな感じがしていて、お迎えに行くことが怖くて仕方がなかったんですが、小学校に入ってからはそういう心境はほぼなくなりました。
これも特別支援教育の賜物だと感謝しています。
幼児期には想像もしなかったほどの成長で、生きててよかったと思いましたよね。
他害の子の成長記録~思春期編~
ところが。
中学生になってから、太郎はふたたび問題行動を起こすようになったのです。
幼児期の頃のように、人に噛みついたりする他害というよりは、破壊行動、とでもいいますか。
物を壊すようになったんですよね。
といっても、日常的に壊すわけではないんですが。
もともと幼児期~学童期でも、物を壊す行為は日常的にありました。
主に絵本やおもちゃの類ではありましたが、チョロQのタイヤを外すなど、小さい玩具はたいていバラバラに分解されてあったりしましたね😂
小学校時代はなんというか、頭で意識して破壊していたというよりは、手が勝手に動く感じで壊していたんですよね。今思うと。
ところが中学生になってからは、例えば「高いところから落とせば壊れる」ということを理解していてわざと壊すような、そういう行為が増えてきたんです。
悪いことだと理解していてあえてやっている感じ。
自我が芽生えてきたんですかね😂
思春期特有のモヤモヤした衝動が破壊願望に拍車をかけていたような感じがします。
この頃は別のことで注意したり叱ったりすると、腹いせに物を壊すようになっていました。
本人も壊した後に後悔して泣いたりするんですが、自分でもその衝動が止められないようでした。
これには私も先生方もお手上げで、そこで初めて私は薬の力に頼ることにしたんです。
抗精神病薬「エビリファイ」を処方してもらい、太郎はその後もずっと現在に至るまで抗精神病薬を飲み続けています。
薬を飲むようになってから、薬が効いたのか、それとも何か他の要因があったのかはわかりませんが、破壊行動の回数がぐっと減ったんですよね。
ちょうど中2くらいの頃の話です。
それから中学を卒業するまでは、比較的穏やかな日々が続きました。
他害の子の成長記録~現在~
ところが、高校になってから、環境の変化が影響したのか、ふたたび太郎は問題行動を起こすようになります。
なんとなくですが…コロナ禍も影響しているのかな?と思います。
コロナ禍で生活様式がすっかり変わってしまったこと、ルーティンが崩され、ある日突然スケジュールが変更になったり、そうした状況が自閉症児である太郎には受け入れ難いものがあったのではないかと思っています。
本人なりにコロナ禍も理解し、納得しつつ生活することはできてはいますが、ストレスが溜まってきているのでしょうね。
特に高校生になりたての頃は本当に荒れて手がつけられない状況でした。
しかし、最近はかなり落ち着きつつあります。
また、他害(人に手をだす。噛みつくなど)についてはもうほとんどしなくなったと思っていいのではないかと思います。
物を壊すことに関しても、最近では衝動的に壊す前に少し考えるようなしぐさがみられるようになりました。
少しずつ、少しずつですが、成長しているのです。
他害・破壊に関しては頻度、内容ともに幼児期に比べると劇的に改善されています。
今ではあの頃のように死にたいと思うことはないし、将来に向けて希望を感じることもできるようになってきました。
もちろん、まだまだ目は離せません。
同年齢の自閉症・知的障害の子に比べても、他害・破壊行動がある太郎のお世話は、やはりとても大変だと感じます。
でもそれでも、やっぱりずいぶん楽になりました!
人間らしい生活が送れるようになったと実感しています。
上を見ればきりがない。隣の芝生は青い。
だから、比べるなら過去の太郎。
過去の太郎と比べれば、本当になんと幸せな未来が待っていたのだろうと思えます✨
今、お子さんが他害・多動で悩んでいらっしゃる方に、少しでも希望がもてる内容であったらと思いながら今回の記事を書きました。
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はじめまして。今9か月になる子を育てていますが、状況が太郎くんと同じのような感じで無視をされている感じで辛くて仕方ありません。自分が透明人間であるかのようです。自閉症 透明人間で検索してこのブログに辿り着きました。
愛着がない子と毎日二人ですごして心がすり減っていっています。この先どうなるのか不安で仕方ありません。母親の認識がでてきたと感じたのはどのくらいでしょうか?
愛着がない子との生活は本当に心がすり減りますよね。お察しします。
ただ、まだ9か月とのことですので、あまり心配しすぎないように。
うちの次男(定型発達)もわりと0歳時代は他のお子さんに比べるとクールな感じで心配していましたが、2歳くらいになると母への愛着が出てきた感じがします。
乳児期の愛着が薄かったからかわかりませんが、「ママ」と呼んでくれることがなくて、2歳過ぎてからですかね…。
ただ、2歳過ぎたら急に言葉が増えて、ママと呼んでくれるようになり、母子の関係がようやく築けた感じがします。
それでも幼児期は他の子に比べるとママへの態度がクールだったように思います。それは長男に手がかかりすぎていた私への遠慮だったのかもしれませんが、どうもあまり他の子のように甘えてくる感じが皆無で、正直物足りなかったほどです。
むしろ小学校高学年くらいからベタベタするようになってきて、今ではマザコンか?というほどで本当に謎です。
自閉症の長男の方ですが、母親の認識がでてきたのは小学校入学以降です。
幼児期はずっと私は太郎にとって「ご飯を作ってくれる人」という存在だったと思います。
母親だとしっかり認識してくれるようになったのは小学校高学年くらいからですかね。中学に入る頃は完全に愛情をもって母と思ってくれる感じになり、今は同じくマザコンです(笑)
正直、乳幼児期は太郎が私にベタベタしてきて、次男にやきもちを焼いたりする日がくるとは思いませんでした。
乳幼児期に母として求められない状態は本当に辛く悲しかったですが、定型発達であれ発達障害児であれ、一定数クールなタイプの子はいるようです。
逆に自閉症でもママにべったりタイプの子もたくさんいます。
愛情が足りないという問題ではなく、性格と特性の問題だと思うので、どうかさきさんはご自身を責めないようにしてくださいね。
サナさん。毎日お疲れ様です。
そしてお久しぶりのコメントです。
うちもADHDの小2次男の問題が、割と深刻になってきていたり…
我が家のアイドル一歳なりたて三男を、『どう?特性か?大丈夫か??』と、毎日観察しております笑
どうしても心配になります。
次男のときに、サナさんの仰っていたように、育てやすい子で、気付かなかったので。
ただ、三男は目は合うし、人の顔色は伺うんですよね。
だけど、噛む噛むエブリバディなんです。
対人の被害者主に私ですが。
かなり痛いので、怒った声や顔をすると、えーーんと、泣きまねをするんですよね。
今日なんて5回噛まれて、そのうち一度はしっかり歯形が分かるくらい。
遊び方も、大人しいなと思っていると、箱や、容器やらかじっていたり…
なんでも下へ落とす、という遊び方もするので、
おーい、落とすなら、みおくん降ろすよ〜とご飯中のチェアからおろしたり…
お風呂にもなんでもポトンポトン落としますね。
多分、ゴミ箱にも落とされていて、気付いたらないものが多いです。涙
健常でもこの時期あるあるなのかどうか、友達に聞くと、『えーー!!そんなことする子、みたことないよ』とか言われ……うそんってなります。=͟͟͞͞(꒪ᗜ꒪ ‧̣̥̇)
あと半年一年、気をつけてみておくしかないですね。
サナさん、次男さんのときは、明らかに違いましたか?
お久しぶりです(^^)
三男くん、1歳になりたてなんですね。
うちの次男の場合ですが、実は次男も0歳時代は母親にあまり興味を示さない子だったんですよね。
私よりも太郎と絡んでいました(といっても、太郎が無視するのでなんとなく一緒に物を投げている感じでしたが。笑)
なおかつ、玩具などをよく口の中に入れたりしていましたね。そして離乳食を食べず、高速ハイハイ。
考えてみると0歳時代はわりと太郎と似たような感じでした。
ただ、太郎と違って爆睡型ではなく、夜中ちょこちょこ目が覚めたりして、少し神経質なところはありました。
次男が物を口に入れたり物を投げたりしなくなったのは1歳2~3か月の頃ですかね。
そのころにはすっかりやらなくなっていました。
その後言葉も遅くて、2歳過ぎるまであまりおしゃべりもできなかったのですが、太郎に比べるとこちらの話していることは理解し、指示に従っていたので大丈夫かな…とは思いました。
まずは1歳半検診の頃が目安かな、と思います。
先日夕方に物凄く混んでるスーパーの入り口道路にハザードを出して車が停まってて、めっちゃ邪魔って思ってたら、車前にお母さんが立っており、お父さんが倒れてる?と思って助けに入ろうかと思ったら、お父さんが倒れてるのではなく、子供の興奮を押さえ付けていたのです。押さえつけるのでは無く、温かく抱き締めていたのかなぁー?
その後、お父さんのお姫様抱っこにより車の後部座席に。
突然車のドアを開けて外に出たのかなぁー?
めちゃめちゃ交通量多くて、またそのスーパーがその日は10%OFFdayやって。
何があって飛び出したか分からないけど、二次災害にならなくて良かった。
何も言わず、お父さんが抱き締めてる姿。涙出そうでした。また、私も声かけしなくて良かったと。
話は変わりますが、明日ワクチン3回目接種の為にガラス窓5枚破損した家に事件以来帰って来ました。
大雪が溶けて、投げた色々な物が庭に沢山落ちており、またガラス窓の破片が…。それを見たら、「ほんま、凄い惨劇やったなぁー。」とポツリ。顔の表情も変わり、うぁー、投げた物、雪溶けず雪に埋もれてて欲しかった…。また、私責められるの?と思ってビクビクしていたのですが、明日は朝から掃除をするらしいです。
明日も何事もありませんようにと願うばかりです。
本音は全部あんたで片付けろ!!
多動の子供は本当に毎日命がけです。
私は自分1人だけで子供2人を連れて出かけることが多かったので、車の後部座席はつい最近までチャイルドロックをかけて内側からドアが開かないようにしていました。
あ、次男側の方は解除しましたが、いまだに太郎の側のドアはチャイルドロックかけたままです(;’∀’)
やはり何かあってから後悔しても遅いですからね・・・。
それよりママリンコさん、大丈夫ですか?
割れた窓ガラス、修理するのも大変ですね(/_;)
片づけする際にケガをしないよう、気を付けてくださいね。
つらいときは愚痴を書き込んでください!
初めまして。
20歳の高機能自閉症の息子がいます。
いつもサナさんの文章力の高さに感心しながら読んでいます。
今回のタイトルに思わず笑ってしまいました。
笑い事ではないですよね。
ごめんなさい。
笑っていただいてありがとうございます(=゚ω゚)ノ
笑ってほしくて付けたタイトルなのでうれしいです( *´艸`)
こんにちは
過去のサナさんお疲れ様
現在のサナさんまだお疲れ様残っているけど、努力は報われている
未来のサナさんきっとご自分の時間ができ好きなお仕事も出来るようになっている。
ありがとうございます。・゚・(ノД`)・゚・。
実は最近またちょっと太郎がやらかしまして、落ち込んでいたところなので励ましの言葉が身に沁みます( ;∀;)
いつか、報われるといいな…。
こーさんの言葉で少し元気になれました( ;∀;)