障害児育児に閉塞感を感じる人にこそ読んでほしい絵本「二平方メートルの世界で」

一昨日の朝、NHK「おはよう日本」でこちらの絵本が紹介されていました。

絵本の作者は、小学生の前田海音ちゃん。

インタビューで話していた言葉に感銘を受け、何としてでも読んでみたくなり、絵本を取り寄せてみました。

 

瑞々しい感性をもった、才能あふれる少女の渾身の作

出典:pixabay

7月5日の「おはよう日本」ではこちらの絵本の紹介と、文章を書いた本人である前田海音ちゃんのインタビューが放送されました。

小学生と人気絵本作家の感動作
札幌に暮らす小学3年生の主人公は、生まれたときから脳神経の病気で入退院を繰り返している。入院するとしばらくベッドの上での生活となる。お母さんは一緒にいてくれるが、放射線を使った治療のときは、ガラスを隔てて別々になる。家ではお兄ちゃんが鍵っ子になる。申し訳ない気持ちだ。どうして自分だけが病気なんだろう・・・。そんなある日、海音ちゃんは、病室で大発見をする。わたしはひとりぼっちじゃなかった! 実在の小学3年生が書いた「子どもノンフィクション文学賞」(北九州市主催)の大賞受賞作品に、当代一の人気絵本作家はたこうしろうが絵をつけた奇跡のコラボレーション。誰も予想できない30ー31ページ目の見開きと、ハートウオーミングなラスト。涙なしには読めない感動作。

二平方メートルの世界で | 小学館 (shogakukan.co.jp)

この絵本は北海道札幌市の小学校に通う前田海音ちゃんが3年生のときに書いた作文をもとに作られています。

海音ちゃんは脳神経の病気で3歳の頃から入退院を繰り返していて、5日放送のテレビでは、近いうちにまた長期入院を予定していると言っていました。

「私の名前は前田海音。北海道生まれの小学三年生だ。」

絵本の冒頭はこんな文章から始まります。
海音ちゃんは脳神経の病気の治療のために毎月、札幌にある大学病院に通い、年に数回入院して治療の経過観察を行い、今後の治療方針を決めるということを、3歳の頃から続けています。

「病室のベッドの大きさは、たて約二メートル、はば約一メートル」

「そのまわりをぐるりと囲うカーテンの中が入院中のわたしの世界のすべてで、ねる、食べる、遊ぶ、勉強するなど、だいたいのことはカプセルみたいな空間ですます。」

海音ちゃんの生活の全てはほぼこの二平方メートルの世界で完結し、この小さな空間でいつも孤独と戦っていました。

この絵本には病気をめぐる様々な想いを、客観的ともいえる冷静な視点で淡々と描かれています。

 

自分のせいで家族に負担をかけていると思うと、本当にもうしわけなく思う。

痛みや孤独も、もっとつらい思いをしている子がいることを知っているから、泣けない。

 

これが小学3年生の考える事なのかと、にわかに信じがたいほどの驚きを覚えつつ、行間からあふれだす海音ちゃんの想いに引き込まれるようにして、先を急ぐようにして絵本を読み進めました。

 

病気に対するやりきれない思い。

家族への申し訳なさ。

普通の小学生ならあたりまえにやっていることができない事の諦観。

そんな入院生活のなかで勇気づけられたエピソード。

生きている事のすばらしさに気づいたこと。

 

テレビのインタビューで海音ちゃんは「制限された生活だからこそ、普段なら気がつかない事にも喜びを感じられる」というような事を言っていました。

この言葉を聞いたときに、正直やられたな、と思いました。

一人の人間として、私はこの小さな子に負けているな、と。

そしてこの年齢にして達観しているこの子の、これまでの壮絶な人生を思い、胸が詰まりました。

 

障害児ママの私が思わず共感した一文

出典:pixabay

本当はこの絵本のなかには、障害児を育てているなかでぶち当たった壁や辛い思いとオーバーラップする箇所がたくさんあって、あれもこれも、全部紹介したくて仕方がないのですが😅

しかし、絵本の内容を詳しく書いてしまう事もよくないかと思うので多くは語れませんが、1つだけ。

これは障害児ママなら共感する方が多いだろうと思う一文だけ、紹介させてください。

病気は苦しいと思っている海音ちゃんが言われたひとことについて、こんなふうな描写がありました。

 

「その苦しみに耐えられるから選ばれたんだよ。」と言われたことがあったけど、

選ばないでくださいと思った。

 

こんな事を、病気のこの子に言う人などいるのか?その人は鬼なの?と思わずにはいられませんが、これ、私たち障害児親が散々言われてきた言葉です。

 

「あなたなら(障害児を)育てられるから選ばれた」「あなたは選ばれた人間」ってやつ😗

私はこれを言われたら言いますよ。

「選ばないでください」って。

それにしても、どこの世界にもこういう事を言う人がいるものなんですね…。

言われて嬉しい人なんて一人もいないと思うんですが😂

 

話は逸れましたが、閉塞感を感じがちな障害児育児ですが、そんな生活の中でも希望をもって生きていくためのヒントが、この絵本にはあると思いました。

勇気をもらえます😃

ぜひ、たくさんの人に手に取ってほしい絵本です!

 

楽天でも売ってます!書店でも売っているし、図書館でも借りられますので、ぜひぜひ!

 

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障害児育児に閉塞感を感じる人にこそ読んでほしい絵本「二平方メートルの世界で」” に対して6件のコメントがあります。

  1. ヂュミコ より:

    こんばんは!
    この絵本、というか作者の女の子、
    すごいですね。
    読んでみたくなりました。ご紹介ありがとうございます。

    ほんと
    選ばれたんだよ、ってやつ
    それが慰めになると思ってる安易なひと
    キライです(´-ω-`)

    これは、当事者が自分で自分の気持ちに折り合いをつけるために仕方なく
    あるいは決意を込めて呟く言葉。

    1. 稲倉サナ より:

      すごいですよ、海音ちゃん。
      絵本を読んで衝撃を受けました!この感性は才能だと思います。
      ヂュミコさんの長女ちゃんは絵が上手だから、絵本の絵の方を担当できそうですよ!
      機会があれば図書館で借りて読んでみてくださいね♪
      「選ばれた」系、誰が喜ぶかっていうのー。

  2. こー より:

    こんにちは
    子供って凄いね。
    大人が思っているよりずっと大人なのかも?
    いろいろな子供達と関わらせて貰って思ったこと。
    自分の事より家族の事を大事に思っている子が多い。
    なんか本当に偉いよ、もう抱きしめてハグハグ。

    1. 稲倉サナ より:

      この海音ちゃんは本当にすごい子だと思う。
      きっと痛みを知っているからこそ、人を思いやれるんだろうかと。
      それにしてもこの年齢で、こんなに思いやれる子がいるなんて。
      絵本の中に出てくるお兄ちゃんもすごくいい子。
      お母さんも大変だったはずなのに、育て方が素晴らしかったんだろうな。子供2人ともすごくいい子。
      見習いたいと思います。
      本当に、抱きしめてハグハグしたい( ´∀`)b

    2. cosflo より:

      サナさんはNHKウォッチャーなんですね。私はここ何年かNHKを見ていません。コマーシャルがないし、情報はたっぶりだし、良いのは分かっているんですが、足が遠退いています。下世話な話が好きなのかな?NHKを見ると背筋を伸ばさなきゃ、みたいな気持ちになるし。子どもたちがEテレ見ていた頃は見たりしましたが、ここ最近は全く見ていません。
      まぁ、そんな前置きはいいですね私もこの本を読んでみようと思います紹介ありがとうございます❤️

      1. 稲倉サナ より:

        うちは私が子供の頃、親が家にいる朝はNHKしか見せてもらえず、それに慣れてしまうと民法のうるさい感じが苦手です(笑)
        朝はずっとNHKなんですが、わりと難しくない、役に立つ話題が多いのでおすすめですよ(^^)
        この絵本は本当におすすめです。絵もとっても素敵♡
        悲しいことがあったら、この絵本を読んで元気をもらおうと思っています。

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