障害児ママが切望する「子供より1日長く生きたい」の真意
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昨日のこちら↓のブログで書きましたが、今日は行動障害のある子供の行く末を案じる障害児ママ(私)の心情を綴りたいと思います✋
SNSで中途半端に発信されるために生まれる誤解
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まずタイトルにもなっている「子供より1日長く生きたい」という件ですね。
これ、障害児のママ同士で将来の話をする時に必ずといっていいほど出る話題です。どの人もみんな口をそろえて言うんです。
子供より先には死ねないよね。
って。
子供に重度の障害があるママはもちろん、それが軽度であったとしても、やはり子供の将来に不安を覚える人がほとんどです。
軽度のお子さんは一般就労もできて、結婚もできるかもしれないけど、仕事に嫌気がさしてすぐにやめてしまったり、結婚生活がうまくいかず離婚したり。本人がまともに子育てができないがために、かわりに孫の養育を引き受ける必要が出てくるかもしれません。
定型発達の子供であれば、成人して社会に出た後は見守る必要性はほぼなくなりますが、発達障害のある子供は成人以降もずっと見守っていかざるを得ないのが現実だと思います。
なかでも子供の障害が重度や最重度の場合、子供は一生誰かに支援してもらわないと生きていけません。順当にいけば親の方が先に死ぬわけで、そうすると親亡き後は施設に入るなりして、第三者に子供を託さなければならないのです。子供が死ぬまで、一生。
施設に入所できたから安心して先に死ねるかというとそうでもなく、金銭面の自己管理ができない子供のかわりに一切の手続き・管理をやってあげなければなりません。もちろん親亡き後はそれも誰かに委ねなければならず、きょうだい児に頼むか、成年後見人をたてることになるわけですが、きょうだい児への負担や金銭面の負担(成年後見人は月額最低でも5000円~50000円程度の報酬がかかると言われている)を考えると、できるだけ自分が長生きして子供の面倒をみないといけないな、と思うわけです。
また、子供が強度行動障害の場合は、そもそも民間の入所施設から受け入れ拒否をされる可能性も高く、受け入れ先がないために自宅で子供の面倒をみざるを得ない家庭も少なくないのでは、と思います。
そんなふうに考えると「子供より1日長く生きたい」と願う真意は、
「子供を残して自分が先に死ねない」
「子供が死んだら、やっと私らは死ねる。子供の死を見届けて初めて親としての義務が果たせる。ようやく死ねる」
という、そういう心情にあるのです。
追い詰められて子供と心中する人と根本は一緒なんですよ。
ところが、障害のあるお子さんがいる方のなかには「子供より長生きしたい!」という部分だけ切り取ってSNS等で発信している方がいるんですよね。
そこだけ読むと、障害のあるお子さんが身内にいない人から
子供より長生きしたいとか鬼母😂
子供に先立たれたくないと思うのが普通の親だよね?
などと勘違いされそうで怖いです。
おそらく「子供より長生きしたい」と書いている方も真意は同じはずなんですが、いかんせんその背景などを一切省いているために誤解をされがちなんですよね😩
100文字程度で発達障害の現実を語れるはずもないので、発達障害について発信する際はきちんと背景を書くべきだな…と私は思います。
子に先立たれることほど親不孝なことはない
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ところで私の両親は2人とも健在で、大病もせず2人で元気に暮らしています。
一方私は数年前に大病を患い、今は経過観察中ですが再発すれば親より先に死ぬ可能性もあるわけです。
もし私が死んだら…。私の両親がどれほど嘆き悲しむか。特に母は私のことを「サナがいれば心からわかりあえる友達なんていなくてもいい。サナは親友みたいなものだから」と、事あるごとに言っています。私が死んだときのことを思うと、想像するだけで涙が出てきます…。
子供が親より先に死ぬことこそ、親不孝なことはありません。もちろん病気や事故など、不可抗力な理由の場合は致し方ないのですが。自閉症の長男が幼児期の頃の私は毎日「死にたい」と思っていました。でも母の顔を思い浮かべるたびに「お母さんより先には死ねないな」と。そう考えることで辛い日々も乗り越えてきたのだと思います。今考えると。
逆の立場で言うと、長男も次男も、私たち両親より先に逝ってしまうようなことには絶対なってほしくない。想像するのも嫌だと思うほど悲しいことだからです。死を迎える順番は、できれば順当に。できれば天寿を全うして。
え、けどそれじゃ矛盾してるよね?
だって自閉症の息子よりも、1日長く生きたいんでしょ?って。子供の方が先に死ぬことになるよね?って。
そうです、矛盾してますよね。
けど、例えばですけど、順当に、私たち両親が亡くなるとしますよね。
もしその時、例えば長男・次男が40歳~50歳くらいだとして。
次男は結婚して子供もいて家庭を持っているかもしれない。独身だったとしても、親からは巣立ち、彼の生活のなかでは親の占める割合はごくわずかになっていると思います。
一方自閉症の長男は、その特性から一生友達はできないと思うんです。恋人はもちろん、結婚もあり得ません。
太郎の家族は一生私たちだけなんです。
しかも次男が成長するにつれて、家族以外の世界が広がり続けていくのに比べると、長男にとっては家族が全て。
成人後は次男との交流は少なくなることを思うと、長男・太郎にとっての心の拠り所は両親である私と夫だけとなるでしょう。
たとえ入所施設に入ったとしても、私たちが生きている間は土日に自宅に帰省することもできるんです。というか、一人で出歩くことができない太郎にとっては、外出先は自宅しかない。
それほど狭い世界で生きる太郎にとって、心の許せる近しい存在、そんな私たちが死んでしまったら。
太郎がどれほど嘆き悲しみ、喪失感を感じることか、想像に難くありません。
そういう悲しい思いをさせたくないんです。
私たちがいなくなった後の、天涯孤独な人生を思うと、
「長生きしないとな」「太郎が生きている間は太郎の”家族”でいてあげられるように。太郎より先には絶対に死ねない」
と思うわけです。
だから「子供よりも長生きをしたい」という願いは、金銭面の管理など事務的なことというよりはむしろ、独りぼっちになる子供の心を思いやる親心に他ならないのかと。
状況次第では子供より1秒でも長生きをする義務も
まあ、事務的なことや心情的なことで「子供より先に死ねない」と思っているうちはまだ幸せなのだと思います。
昨日ブログに書きましたが、もしうちの太郎が強度行動障害になったら…と考えると、ますます先には死ねないな、と思うんです😞
昨日は強度行動障害について調べているうちに、いろんな記事を読みました。
「目を離せない」物を壊し親に手上げ…強度行動障害、疲弊する家族|【西日本新聞me】 (nishinippon.co.jp)
ただ、一時的な預かりと「生活の場」は別。「一体誰が、どんなところであれば、息子が暮らしていけるのか。それが全く見えないことが今、一番不安なんですよ…」
強度行動障害の場合は、介助者に暴力を振って深刻な怪我をさせたりする場合もあり、民間の入所施設から受け入れを拒否されるケースも少なくないようです。
重い精神障害の子供を抱える親御さんのなかには、「親亡き後に子供が世間に迷惑をかけないように」と、子供に手をかける痛ましい事件も時折耳にしますよね😢
もしも安心して預ける先があればこういう事件も回避できるのかもしれませんが、親でも手の余るようなタイプの子は、受け入れ可能な施設はきっとかなり少ないのでしょうね。
強度行動障害のある人を受け入れてくれる施設もかなり少ない印象ですが、調べているうちに殺傷事件のおきた津久井やまゆり園のホームページが出てきたんですよ。
津久井やまゆり園のホームページには「神奈川県強度行動障害対策事業実施施設として、自傷行為に代表される著しい行動障害があり支援の難しい方や、その支援に関わる方への相談・支援を行っています」と書いてありました。
かなり難しい、重い障害を抱えている方を積極的に受け入れてくださっている施設だったんですね。
この事件が起きたときに、一部の心無い人から「預けっぱなしだったくせに」と遺族を誹謗中傷するコメントも寄せられていたと聞きました。
障害のある子供を施設やグループホームに入れた、というと「厄介払いをした」と罵る人がいますが、じゃあ、入所させずに自宅でずっと一緒に暮らすのだとしたら、その場合は親は子供より1日でも長く生きるということは必須条件になるわけです。なのに今度は「子供より長く生きたいなんて鬼母」だと。
ため息が出ますね😞
障害のある子供を若いうちからグループホームや施設に入れることは厄介払いじゃないんです。ちゃんと意味があるんです。
それをここで書くのは長くなるので、また別の記事として書くことにしますが。
うちの太郎が成人する頃に、太郎がどんな状態いなっているかはわかりませんが、たとえグループホームや施設に入所することになったとしても、長生きをして、太郎を支えていかなければならないことに変わりはありません。
障害児の親はみんな同じように思っているのだと思います。
子供より長生きをしたいという、その言葉の裏に隠された想いについて、多くの人に知ってもらえたら幸いです。
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「中京テレビ 自閉症」で検索してみて下さい。重度の知的障害があるお子さんの未来についてのドキュメンタリーで、何か参考になるかもしれません。
情報ありがとうございます。今こちらの記事を読んできました。
https://www.ctv.co.jp/mayonaka/
「終活」それから、強度行動障害の子供を殺してしまった方の話。
胸に刺さりました…。
一方で、24時間訪問介護を利用することで強度行動障害の症状が収まったという話は、とても参考になりました。
たしかに共同生活であれこれ決まり事が多いよりも、自宅で訪問介護という形をとった方がストレスを感じなくて済むのかもしれませんね。
でも、親亡き後は成年後見人がいてこそ成立するサービスなのかな…とも。やはり施設に比べると難易度が高いのかな、と思わなくもないですね。
考えれば考えるほど親亡き後の事が心配になります。ただ、いろんな選択肢があるのだということがわかって、早いうちにいろいろ調べておいた方がいいな、と思いました。
ありがとうございました!大変参考になりましたm(__)m
私の母も妹のことは心配していたと思います。私は妹の世話をし、少しでも心強くなってもらえたかな?と思ってます。妹のこともしてくれてありがとう、と母は言っていました。
知り合いの方で、自閉症の息子さんを施設に預けるのではなく、アパートで介護者と生活しているという方がいます。夜はアパートで夕飯を介護者と食べ、風呂に入り、寝て、朝は仕事場に介護者とともに行って仕事をする。毎日のように介護者は変わり、息子さんを5人くらいで見ているそうです。知り合いの方は、夕食を作り置いて、週に2回ほどアパートに届けているそうです。太郎さんが、どのような形態が合うのか、将来のことは分かりませんが、いろいろ選択肢はあると思います。
NHKだったと思うんですが(ハートネットTVだったかな)知的障害者が介助者といっしょにアパートで一人暮らしをしている、というのをやっていましたよね。あれは24時間介助で、いつも同じ人だったかと思うんですが。もしできるのであれば、cosfloさんの知り合いの方のようなパターンが理想ですね。そういう支援をしてくれる事業所があるんでしょうか?でもきっとかなり稀ですよね…。でもでも、そういう方がいるということを知りませんでした!教えてくださってありがとうございます。きっと世の中には私の知らない選択肢がたくさんありそうですね~。
障害をお持ちの親御さんは、「この子より長生きしなきゃと思うけど、順番では私が先に亡くなるし、心配でおちおち病気にもなれない。」って、口ぐせのようにおっしゃております。
私が元気なうちは施設には入れたくない。家で一緒に暮らしいたい。ほんま、お母さんいつ寝てるの?って、思うほど毎日頑張っております。
「私達にもっと頼って下さい」と言っても、何かあったら…と心配でいるのが伝わりますね。
時々放棄過ぎるお母さんもいますが。ごくまれです。
強度行動障害の方でも、ヘルパーが来るのを楽しみにしてて、お母さんもなるべくその場所にはいないようにしているのですが、お母さんがヘルパーに伝言するだけで、いきなり暴れます。
その方にとっては、この時間は私とヘルパーの時間なんですよね。でも、寝る時はお母さんとの時間なんですよね。(ショートステイでは全く寝ないみたいです)この利用者さんもヘルパー観察を常にしています。ほんま、最初は多害が酷かった( T∀T)そこを抜けると信頼関係的なものが出来るのかなぁ?確かにこの利用者さんの所のヘルパーさんは長続きしません。また、デイでも断られていますね。
今なんてちゃんと言う事聞いてくれるし、暴れそうになれば何か嫌な事があるんや?この子とって、うちらは親御さんの次の頼れる人なんですよね。と言っても、この子だけじゃなくて、皆さんお母さん(親御さん)が一番なんですよね。
サナさんも色々な所に頼って下さい。
太郎君にも合う人が絶対いますから!
そうなんですよね。ただ長生きすりゃいいってもんでもなく、健康で、かつボケちゃったら意味ないんで(笑)
「子供より1日長生き」は実にハードルが高いんですわ…(‘A`)
強度行動障害の方はやはりこだわりが強いんですね。この時間は私とヘルパーさんの時間。っていうの、うちの太郎も似たようなこだわりがあるのですごくわかります。
ここはお父さんと行く場所、ここはお母さんと行く場所、というこだわりがあるんですが、うちはなるべくこだわりが増長しないように崩していますが。
行動障害が酷くなれば、やはり預かってもらえる場所もなくなりますからね…。
もちろん親がどんなに努力しても、障害がどんどんひどくなっていくこともあるので、強度行動障害の親御さんの育て方が悪いという話ではありません。
はい、いろんな所に頼るつもりです(笑)
私たちがいなくなっても、頼れる場所が少しでも多い方がいいと思うので。
太郎が可愛がってもらえるように今のうちからフォローしたいと思っています( ´∀`)
こんにちは
私は若いうちにグループホーム、施設に入れることは本人の為でも有ると思います。
親が突然もしもの時、安心して暮らせる場所大事だと思います。
私親が亡くなったとき住職さんに言われたんだよ、母はこれで良かったのかな?幸せだったのかな?と、呟いたら
「親にも親の人生が有る、それを貴方が可愛そうと思うことが失礼だよ」
何が言いたいかて、子供にも子供の人生
そうなんですよね!そもそもグループホームや施設は入りたくてもすぐに空いているところは少なくて、どこも順番待ちをしている方が多いんです。
もしもの時に慌てて探しても、自宅からかなり遠方の土地に入ることになったりしたら、本人は土地勘のない場所で親から離されて不安と悲しさと…うう、想像しただけで涙が出そうです。・゚・(ノД`)・゚・。
そういう事にならないよう、若いうちに条件のいい施設を探しているんですよね、皆さん。
親には親の人生がある、子供にも子供の人生がある。
そのとおりですね。
私たちは太郎ができるだけ楽しく暮らせる場所を用意してあげて、その後の人生は太郎自身が自分で切り開いていくしかないんですよね…。
ご無沙汰しております!
おばさん猫です(^^)。
私も「親が子供より長生きしたいなんて!」
と書いてあるコメントを見る度に
胸が苦しくなります。
どの親だって子供に幸せに長生きして
欲しいに決まってるのに。
その前提で「1日でも1時間でも
この子より長生きしなければ」と
お思いになる親御さんのお気持ち、
私は痛いくらいに分かりますし、
将来一人になった息子を想い
サナさんのこのブログを拝見して
目頭が熱くなりました…。
もしも叶うのならば、私は自分が
命を完うするときに、息子を一緒に
連れて行きたい…と思います。
まぁ、叶うわけが無いですが(^_^;)。
だからこそ「ママは鬼!」と言われても
厳しく指導をする、鬼母です(^^)。
ご無沙汰しております!コメントありがとうございます!!
そうなんですよね、「親が子供より長生きしたいなんて!」というコメントを見かけると「理解されてないんだな」と悲しくなりますよね。
私たちも好きでそんな事を言っているわけではないのに…。
私も思います。自分の命が尽きるときは、一緒に連れていきたいな、って…。うう、これを書いているあいだも涙が出てきました。・゚・(ノД`)・゚・。