運動会の徒競走を見て思う「知的障害の境界線」

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今年も新型コロナウイルスの影響で、春の運動会が秋に延期となった学校も多かったのではないでしょうか?

もともと秋に開催予定だった学校も、すでに運動会は終えた頃でしょうか。

今日は運動会の定番競技である徒競走と知的障害の関係について書きたいと思います。

 

運動神経抜群のはずが…徒競走でへらへら笑いながら歩く息子

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うちの太郎。自閉症かつ重度知的障害(IQ30)の太郎。

いつから徒競走的なものに出るようになったかな、と思い返してみると、幼稚園の年少の運動会でしたね。

ちなみにうちの太郎、当時住んでいた地域に療育園がなかった事から、定型発達の子が通う普通の幼稚園に入園しました。

障害児は我が子だけ!完全アウェイの幼稚園

未就園時代の太郎は、多動・他害・破壊の三冠王だったために、なるべく人の多い場所は避けていたんですよね。

もう何回も貼って読み飽きた方もいるかとは覆いますが、幼児期の太郎の様子はこちら↓

私の心に棲みつく悪魔

自治体の療育に通ってはいましたが、7~8人の少人数クラス、週1回で親子同伴、という条件だっため、集団の中に入って大勢の子と一緒に運動会のような行事に参加するのは幼稚園が初めてでしたね。

小さい頃から大きな公園に連れていってはアスレチックで遊ばせたり、広場で走り回らせたりしていたことも功を奏したのか、運動神経だけは抜群だった太郎。

幼稚園の運動会では年少さんも徒競走があったんですよね。

日頃から秒で消え去る駿足の持ち主である太郎は、もしかしたら徒競走で誰よりも速くゴールするかもしれない😆

心のどこかで、そんな淡い期待を抱いていた私。

運動会当日、その夢は儚く打ち砕かれました_| ̄|●

徒競走のスタートラインで太郎、よーいドンで他の子が一斉に走り出したところで、

号泣😂

泣いて固まって、動けなくなって。

補助の先生が駆けつけて、抱っこしてもらってゴールとなりました😌

そういや、昔リトミックの教室で、みんなが一斉に踊り出したときにギャン泣きしてパニック起こしていたよな…。

自閉っ子の習い事ジプシー

それでも年少さんというと、定型発達の子でも泣いて固まってしまう子がちらほらとはいたんです。

幼稚園の年少さんって、個体差が大きかったんですよね。

4月生まれの女子と早生まれの男子は、1年どころか2歳ほど離れているくらいの成長差が感じられましたね(゚з゚)

ところが

年中さんになると、定型発達の子の成長の著しさに度肝を抜かれました😲

年少時代は味噌っかすだった子も、年中になると先生の指示でシャキっと動けるようになって。

障害児の太郎の行動が、否が応でも目立つようになってきたんですよね。

年中の運動会の徒競走では、泣いて走れなかったのは太郎くらいのものでした😌

そうこうしているうちに太郎も小学校にあがり。

周りは障害児だけ、という環境になったところで、太郎はちゃんと1人で走れるようになりました!

いや、

歩けるようになりましたあ😂

走…ってはないよな、あれは😂😂😂

だって、こんな感じだったんですもの、太郎は。

この赤い矢印の子が太郎です😆

ヘラヘラ、いや、ヘレヘレッと、薄ら笑いを浮かべて、それは楽しそうに歩いていましたよね😂

いやね、ヘラヘラでもヘレヘレでもいいんですよ、太郎が楽しければ。

でももったいないなあ!だってあの子、多分ここにいる誰よりも足が速いはずなのに!という思いが心のどこかにあって、純粋に運動会を楽しめない私がいました。

ちっちゃい人間だな、私😂

ところが。

その場には私たち(夫と私)以上にショックを受けていた人がいたんです。

ヘレヘレ歩いている太郎を見つめながら「練習の時はちゃんと走っていたのにと茫然とつぶやく担任の先生の姿がそこにはありました😂

 

勝敗を理解し「勝ちたい」と思える子は知能が高め

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小学校入学後、太郎が運動神経の良い子であることは先生方も早々に気づいてはいたんですよね。

普段から脱兎のごとく走り去っていく太郎を何度も見ていればそうなりますよね🤣

だから、運動会の徒競走となると途端にやる気がなくなり、走らなくなる太郎のことを、「なんとか走らせてあげたい」という強い意志のもと、先生方はあの手この手で走らせようとがんばってくれていたようです。

でも、そもそも徒競走で走らずに歩くというのは、なにも太郎だけに限った話じゃないんですよね。

太郎や周りの子を見て思うのは、足の速さと知的障害の重さは比例しているなあ、ということです。

厳密に言うと、知的障害があると足が遅いというわけではないんです。そして比例というのもちょっと違うかな。

私が思うに「境界線」があるよなぁ、と思うんです。なんの境界線かというと、「勝敗の意味を理解する境界線」です。

徒競走のような競技の場合、なぜゴールを目指して必死に走るかって、「勝ちたい」「負けたくない」「1位になりたい」という気持ちがあるからこそじゃないですか?

一緒に並んで走る誰よりも、自分が1番にゴールしたくて、一生懸命走りますよね。

ところが知的障害が重い子はその「勝ちたい」という気持ちがない(んだと推察😗)。

そもそも競技の趣旨を理解しているかどうかも不明😂

本人的には1番にゴールしたからなんなの?と思っているだろうし…いや、おそらくもはや「スタートラインに立ったときに、合図が出たらゴールまで走りなさいと先生が言うから、言われたとおりにやっているだけ」という感覚なのだと思います😅

これ、太郎だけじゃなくて知的障害が中度~最重度のお子さんはみんな同じような感じで、先生に背中を押されて歩くか、小走りか…という感じでやっとこさゴールしていますよね。

どこの支援学校も似たような感じかとは思いますが、徒競走は走るスピードの遅い子から始まり、最後はスピードが速い子で終わる、という順番に並んで行われます。

最初はゆっくり歩く子たちから始まって、途中から勝敗の意味がわかる子が登場し始めるとスピードアップし、最終組あたりは定型発達の子となんら変わりない、ガチな勝負が見られるわけです。

そしてうちの太郎はいつまでたっても勝敗の意味が理解できず、へれへれ~っと小走りでゴールし続けてきたんです😅

ところが、太郎が周りの子につられる習性があることをいち早く察知した先生が、だったら速い子と一緒の組にして走らせればいいんじゃないか?と思ったのかどうかは知らんけど(゚з゚)

ある時から、知的軽度の足が速い子と一緒の組で走るようになったんですよね。

そしたら驚いたことに、それまでダラダラと歩いていた太郎が、ちゃんと走るようになったではありませんか( ゚д゚)

えっ、すげえ( ゚д゚)

先生やっぱりプロだ!と。

ただ。

「勝ちたい」という気持ちが皆無な太郎、

絶対に一番前を走ることがないんです😂

自閉症の特性なんだと思うんですが、誰かのそばに寄り添うと安心感があるんでしょうかね。

一緒に走っている子が速いと、その子のすぐそばについて速く走るようにはなるんです。

しかし

その子がスピードダウンしたら太郎も一緒にスピードダウン。

絶体に追い抜くことをしない😂

おそらくですが、前に誰かがいる状態が安心感があるんでしょうね。

どんなに太郎が速くても、絶対に1位になることはないのです。

 

実は100m走のタイムが13秒台の息子

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太郎は運動神経がいいのですが、多動・他害があるため定型発達の子の習い事には参加させられないので、小学校の頃は自治体が支援する障害児の運動サークルみたいなものに参加していたことがあります。

そのサークルのコーチの教え方がすごく上手で、太郎は小学校の頃に8段の跳び箱も飛べるようになっていました。

そこで体幹をしっかり鍛えた後に、中学の頃は障害児向けの陸上のワークショップのようなものに参加したこともありました。

そこではやはり足の速い人が伴走し、100メートル走の計測を行ったりもしたのですが、太郎はなんと100メートル13秒台の記録を叩き出したんです😲

学校の運動会では、本来持っている身体能力の8割以下くらいのペースでしか走らないため、私自身は太郎が13秒台で走っている場面など一度も見たことがありません😅

(ワークショップは夫が付き添い)

日常的に訓練をしていなくてこのタイムなら、ちゃんと部活等に入って訓練すれば、もっとタイムも伸びるだろうに…と思いますが、うちの太郎は部活は無理だし、そもそも「勝ちたい」という気持ちがなければやっぱり厳しいよなぁと感じます。

弟の次郎に対する順番のこだわりを利用すれば、タイムを伸ばすことができるかな?とは思うんですけどね😅

”順番”に対する異常なまでの執着

たぶん、次男と一緒に走らせたら、「次男の背中を見たくない」「自分が絶対に1番」と思い、狂ったように走るだろうことが予想されるので😅

ものすごいタイムを叩き出すのかな~なんて。

そもそも「足の速い子と一緒に走らせれば走るはず」と先生がやってくださったように、自閉症の特性を利用すれば、できない事もできるようになるのかな?と。

可能性を感じますね😉

 

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運動会の徒競走を見て思う「知的障害の境界線」” に対して6件のコメントがあります。

  1. stairs より:

    我が子は軽度知的障害ですが、最近思うに「向上心」という境界もあるようです。うちの長女も足が遅くて運動不得手でしたが、「こういう自分を何とかしよう」という努力はしてました。軽度知的の次女にはそれがない。
    勉強も「同じ間違えはしないように」、「昨日できなかったことが、今日はできるように」、「この問題はクリアしたい」という気持ちが全くない。頑張ることの意味を理解してないです。向上心ある子たちと差が開くのは当然か。だからIQの差も開くのか
    この「向上心」さえ発動してくれたら、もしかしたら知的障害が克服できるのではと思うくらいです。ああ、歯痒い。

    1. 稲倉サナ より:

      向上心の境界!なるほど、ありそうですね( ゚д゚)
      軽度の子でもありますね。性格的なものかと思っていましたが、もしかしたらそれも特性なのかもしれませんね。
      そして卵が先かひよこが先か理論。奥深いです!!
      確かに、向上心が発動したら知的に伸びそうな気がしますね!
      学会に発表するレベルの発見じゃないですか( ・∀・)
      でも向上心を発動させるのが難しいんですよね(゚з゚)
      うぅ、歯がゆいですねえ(;’∀’)

  2. こー より:

    こんにちは
    太郎くん足早いですね。
    なかなかどうして本領発揮見せて貰えないですね。
    誰よりもブッチギリ速く走る姿みたいですね。
    徒競走で寄り添って走る何とも可愛いと、思ってしまった(*^^*)
    受験て大変なんですね、自分の頃とは全く変わってしまってまるきし分からん(^o^;)
    全ての受験生健康に気を付けて頑張って欲しいですね、親御さんもお疲れになると思いますが頑張って下さい。\(^-^)/

    1. 稲倉サナ より:

      そうなんです!ぶっちぎりで走る姿を見てみたいです。夢なんです( ・∀・)
      たくさん褒められて、本人も気分いいと思うんですけどね。
      でも寄り添って走る姿も確かに可愛い( ・∀・)
      受験は本当にチンプンカンプンです(゚з゚)
      もう難しすぎて頭痛いですが健康第一でがんばります(‘A`)

  3. みちゅき より:

    サナさん、こんにちは!

    太郎くん、100m13秒ってスゴいですね!
    上手い指導方法があればもっと伸びそう!

    前の人を追い抜けない、めっちゃわかります。
    ウチの自閉症の長男も運動全般苦手なものの、身体が軽いので、これまでの徒競走でも順位を上げられるチャンスはありました。が、追いつきそうなところでスピードをゆるめて伴走者みたいになってました(笑)

    やっぱり競争心がないんですかね?そもそも徒競走が競争だっていう感覚がないんですかね?私もずっと不思議に思ってます

    1. 稲倉サナ より:

      そうなんです、ちゃんと教えればもっと伸びそうなんですけどねー(‘A`)
      徒競走では本当に伴走者なんですよね(笑)
      競争心がないんだと思います。
      でも速い子の後ろについて走るのは好きなので、工夫次第でなんとかなるかとも思うんですが、追い抜くということはかなりハードルが高いようですね。
      自分の前を誰も走っていないという状態が不安なのかもしれません。

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