「療育」の理想と現実
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公立の療育センターに通うようになったのは、
もし息子が健常だったらプレ幼稚園(年少さんの下のクラス)に通っていたかもしれない、4月のことでした。
息子が入った2歳児クラスは週に1回、朝9時くらいにスタートし、お昼に給食を食べ、お帰りの支度をして13時くらいに終了、といった内容です。
1クラスに子供が7~8人程度、自閉症児だけでなく、ダウン症のお子さんもいました。
担任が1名、副担任が1名でしたが、副担任は部屋にはいないことも多く、
実質、担任の先生がほぼ全員をみていました。
ただ、親同伴の療育だったので、基本的に自分の子供の面倒は母親がみるというのが暗黙の了解となっていました。
朝の会の後は手遊びや歌、簡単な図工のようなもの、園庭での外遊び、といった内容で、
どの子供も母親にぴったりくっついて離れず、先生の指示に従えるのはコミュニケーション能力が高めのごく一部の子供だけ。ほとんどの子がぼんやりしているか泣いているか、うろうろと歩き回っているか。
私が想像していた療育の内容からはかけ離れていました。
始まったばかりの頃はそれも仕方がないと思っていました。
が、数か月たち、半年たち、
それでも子供たちの様子はほとんど変わることがありませんでした。
我が子はいつの日も、教室と園庭を走り回っているだけなのです。
思ってたんと、違う。
療育とは名ばかりで、作業療法や言語療法のようなものがあるわけでもない。
手遊びや工作など、参加できなくても何を言われるわけでもない。
自分が想像していた「療育」とは、こうしたものだったのだろうか…?
時間だけが無情にも過ぎ去り、さすがに私は焦りを感じ始めました。
一方で、この療育スタイルの何が悪いのか、その頃には気づき始めていました。
親子同伴。
結局のところ、母親が一緒だと療育というよりは、母と一緒に遊びに出かけている感覚なわけです。
私にとって療育センターは、「周りに引け目を感じることなく出かけられるインドアの外出先」となり果てていました。
せめて親子分離の療育が受けられれば…と思うものの、
通っていた療育センターが「親子分離」の療育を始めるのは年長になってから、それも週に1回だけ。
それじゃ遅すぎる。
このままここにいても息子は何も変わらない。
そう思った私は、新たな療育先を探す事を決意したのでした。
長くなったのでまたまた続きます。