発達障害児の”一番病”はいつ治る?

出典:イラストAC

発達障害児で順番にこだわる子が多いのは知っていましたが、「一番病」などという文言があることはこのたび記事を書くにあたってGoogleで調べた際に初めて知りました😂

発達障害界隈で「一番病」というのは、何に対しても1番であることにこだわり、1番になれないと癇癪を起こす様を指すらしいです。

なるほど( ゚д゚)

知的障害を伴う自閉症の長男・太郎はまさに一番病だったのかと😂

 

ナンバーワンじゃなければ死ぬの?って思う。

出典:イラストAC

ちなみに一番病の語源はこんな☟らしいです。

『一番病』(いちばんびょう)は、水木しげるによる日本の短編漫画作品、並びに作中に登場する病名。初出は『ビッグコミック』(小学館)1969年10月25日号。元々は、同誌にシリーズ連載されていた『水木氏のメルヘン』の一編だが、独立した読み切り作品である。

江戸のカンオケ職人である徳兵衛は、嫉妬心と競争心が強いため同業者の動向が気になって仕方が無い。彼らに負けまいと無理な増産に励み過労で倒れてしまうが、それでもカンオケ作りを止めない。心配する妻に対して弟子の幸吉は言う。「先生は「一番病」という病気で、先生にとっては苦しみではなく最大の楽しみなんだ」と。

一番病 – Wikipediaより抜粋

 

なんと水木しげる先生が生み出したお言葉だったとはね( ゚д゚)

1番にこだわる事が楽しみ・喜びなのであれば本人も幸せなんでしょう。

でも、発達障害界隈の一番病はちょっと様子が違うと感じます。

太郎は1番になっても嬉しそうな素振りをすることは皆無で、むしろ常に1番でなければならないプレッシャーのようなものを抱いていました。

太郎は幼い頃から順番に対して異常なまでにこだわりがあり、何をするにも自分が1番でなければ気が済まない習性があったんですよね。

”順番”に対する異常なまでの執着

1番じゃないと死ぬの?って思うほどのこだわりっぷりで😂

それに合わせる家族は、それはもう大変でしたよ。

以下のような、無意識にやる行動のすべてにおいて太郎は「1番」を求めていたため、特に次男は自分が1番にならないように気を付けて生活しなければなりませんでした。

・朝起きてくる順番

・朝いちばんにトイレに入る順番

・食事の配膳(料理を個々に配る順番)

・歯磨きと洗顔の順番

・着替えの順番

・家を出る順番(朝、登校するために外に出る順番)

・家に帰ってくる順番(学校などから帰宅する順番)

・お風呂に入る順番

・寝る順番

・車に乗り込む&降りる順番

・外で歩くときの順番(太郎の前を歩いてはいけない)

・外出先でお店等に入る順番

・外出先で椅子に座る順番

 

自分が1番にならなかった場合、太郎は「間違えた」と叫び、やり直しをしようと試みます。

けれども順番って相手あってのことですから、付き合わされる次男はたまったもんじゃありません。

(一度終えた歯磨きをやり直しさせられるわけですから😂)

付き合わされる次男もストレス、そして何故か太郎本人もストレス。

いい事なんて一つもありません。

そしてこの一番病は本人の望むままにつきあっていると、どんどんエスカレートしていきます。

家族なら嫌々ながらもつきあうことができますが、外でこれをやるようになったら大変です。

(実際、学校でも一番病が出てしまうシーンが多々ありました😭)

なんとなく面倒で太郎の一番病に付き合っていた頃もありましたが、「このままでは将来集団の中で生きていけない」と思い、一念発起。

こだわり崩しの一環として、「一番病」の対症療法をやることにしたんです。

 

ナンバーワンにならなくてもいい。

出典:pixabay

それまではキレ散らかされるくらいだったら太郎の茶番に付き合う方がマシだったので、太郎が1番になるように細心の注意を払いながら生活していましたが、そういうのはやめることにしました。

とはいえ、いきなり、あからさまにやめてしまうと太郎が発狂します😂

なので本人が意識しないように1番崩しをすることにしたんです。

例えばですが、今までは歯磨きも顔を洗うのも太郎が1番、次男が2番と徹底していましたが、太郎が歯磨きをしている間に次男に顔を洗わせることにしたんです。

もちろんそうなると太郎が過剰反応します。

ですから、最初に声をかけるんです。

「歯磨きは太郎が1番。そのあいだに次郎が顔を洗おう」

「太郎が顔を洗うときに、次郎が歯磨き。2番に歯磨きね」

という感じで、まずは何をするのも太郎ありき、太郎が1番にやってるよという部分を強調しつつ、太郎と次郎であえて別の作業を同時進行させました。

別の作業を同時進行させることで、順番について軽く混乱させる作戦で、子供だましだな😂とは思いましたが、これが案外うまくいったんですよね。

太郎はなんだかな、という顔をしてはいましたが、「歯磨きは太郎が1番だよ」と、1番の部分をしつこいほど強調しながら声掛けをしたところ、最終的には納得してやってくれました。

この作戦で、徐々に次男の方が先にやれることを増やしていった結果、何が何でも自分が1番というスタンスが崩れてきたんです👍

あ、数か月単位の話ではないですよ?

太郎のこだわりが崩れたな、と感じるまでに2~3年はかかりました。

もう地道に、太郎が怒っていようがなんだろうが、1番にはこだわらせない、好きにはさせない、時には我慢も必要!と、心を鬼にしてやらせましたね。

おかげさまで今は先に次男が起きてリビングに座っていても太郎は発狂しなくなりました😊

この手のこだわりが残っていると将来、施設やグループホームでの集団生活で問題を起こし、受け入れてもらえなくなる可能性もありますからね。

 

とはいえ、今でも道を歩くとき、エレベーターやエスカレーターに乗る際など、自分が1番でないと気が済まないようで、必ず自分が一番になるように必死です🤣

1番になれなくても癇癪を起こすことはないので、許容範囲かなと思いつつ見守っていますが😅

いったいいつになったら一番病は治るんでしょうね(゚з゚)

 

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発達障害児の”一番病”はいつ治る?” に対して12件のコメントがあります。

  1. ママリンコ より:

    一番崩しするまで、本当に神経ピリピリ状態で大変でしたね。
    一番を残しながら、崩していくなんて、さすがサナさんです。
    そのお陰で太郎君も楽になっただろうね。

    1. 稲倉サナ より:

      未だに1番にはこだわりますが、キレることがなくなって楽になりました。
      太郎本人も楽になっていると思います( ^ω^ )

  2. にゃんこ より:

    一番、うちは兄が凄くて笑笑
    何でも一番、といえば我が家では兄。
    次男にも、そういえば、歩く順番や車の乗り降りなど拘っているような気配もありましたが、気にならなかったなぁ
    先日も老父が「お兄ちゃんは昔から一番が好きでなぁ」とこぼしていました。
    そうそう、一番とは違う話ですが、きょうだい児、なんと長男がセミナーを受けたと言っていました。
    思うところが多々あるようで、大学で見つけたとか。
    さなさんの昔の記事に長男の苦悩を書き込みしようと思っています。

    1. 稲倉サナ より:

      なんとお兄様ですか( ̄▽ ̄)
      うちの兄も子供の頃はジャイアン系だったので、なんだかにゃんこさんとはいろいろ共通点がありますね(^^;;
      長男くん、セミナーを受けたんですね。
      きょうだい児の話は参考になります。
      コメントをお待ちしてます( ^ω^ )

      1. にゃんこ より:

        うちの兄は、何でも一番が好きで、小さな田舎町ではそれが実践出来ていたのです。
        小学校、中学校では生徒会長もやっていました。
        小学校での地域対抗のソフトボール大会ではセカンドで四番。ですが、決勝戦で兄だけヒットが出ず。他は全員安打で見事優勝。四番打てずにショックを受け、中学ではサッカー部へ。
        中距離が得意で町では数年記録が残る程度には早かった。
        ですが、高校入学の際に希望するサッカー全国でも有名な高校の監督には認めてもらえず、まさかの選外。
        泣く泣く別の高校を受けて進学。
        そこで、またもやまさかの俺より早い奴がクラスにいる、と走るのもやめてしまいました笑笑
        井の中の蛙な兄。
        大人になってからは、職場でチーム苗字でグループを作り、走ったり、泳いだり忙しい笑笑
        多動は治りません笑笑
        でも、チーム名は自身の苗字にする辺り、兄らしい
        父の今の不安は、退職後、首長を目指さないかということ笑笑
        兄ならやり兼ねない、家族全員不安に慄いております。

        1. 稲倉サナ より:

          お兄様もなかなかキャラがたっていますね( ̄▽ ̄)
          うちの兄も1番へのこだわりはそれほど強くはありませんが”俺ガー俺ガー”タイプです。
          退職後に首長を目指しそうなところも同じです(笑)
          ただ、太郎のおかげで兄もちょっとは性格が丸くなったような気もします。
          弱者にも目が行くようになったというか。
          うちの家族は全員、太郎のおかげでこれまで見えていなかったものが見えるようになったところはありますね。

          1. にゃんこ より:

            それはうちの兄も同じかも。
            次男が産まれて、そして、自身の小学生の子供に色んな傾向が顕著になってきて。
            兄は『出来ない=努力していない』と信じていたはず。
            少し優しくなりました。
            言葉は相変わらずストレートで話すと何度もギョッとしますが。
            いつまでも子供じみていましたが、兄もやっと大人になったなぁ、なんて思っているところです笑笑

            1. 稲倉サナ より:

              やっぱりそうなんですね。
              障害のある子(人)が身近にいることは悪いことばかりではないですよね。
              そういう意味ではインクルーシブ教育も大事だなと思います。

  3. こー より:

    こんばんは
    拘りは誰もが持っているよね。
    一番病を穏やかに崩したサナさん凄い。
    太郎くんもきっと生活しやすくなっただろうね、良かったね(^o^)

    1. 稲倉サナ より:

      こだわりは障害のない人にでもありますよね。
      こだわりがあるからこそ、才能を発揮して大成している方もいるかと思います。
      よい方向に向けば、こだわり=問題とは限らないのかもしれません。
      太郎は1番であることに囚われすぎていて辛そうに見えたので、一番病を克服できてよかったと思っています(^^)

  4. 朱実 より:

    水木先生もかなり変わった方だそうですから、もしかしたら子どもの頃、そうしたこだわりに悩まされていたのかもしれませんね。

    過労で倒れても仕事への過度な情熱、というか、もはや依存レベルの労働がやめられない、という当事者の方のブログを読んだこともありますし、昔の職人さんには意外と多かったのかも。

    ただ、それが行きすぎて、一番になれないと癇癪を起こして周囲に危害を加える、ドーピングなどの不正や犯罪に走ってでも無理矢理一番の座に着こうとする、みたいな方向へ行かないためにも、適切な程度になるまでこだわりを軽減する努力は大事ですよね。

    1. 稲倉サナ より:

      確かに。強いこだわりがあったからこそ偉大な事を成し遂げられたのかもしれませんね。
      こだわりも周りに迷惑をかけない範囲であればいいかなと思うんですけどね…。
      「障害だから」と開きなおって軽減する努力をしないでいると、将来困るのは子供本人ですから。

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