発達外来での「困りごとはありませんか?」の困りごとって
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先日、自閉症の長男・太郎の発達外来に行ってきました。
現在はこうして年に数回、定期的に発達外来(病院)に通うようになっていますが、実は太郎が小学校の頃は「病院なんて必要ない」と思い、あえて遠ざかっていた時期があったんですよね😅
自閉症児と発達外来の是非についてはまた別の機会に書きたいと思っていますが、今日は発達外来で毎回たずねられる「困りごとはありませんか?」という言葉の真意について考えてみたいと思います。
知的・発達障害児に必ずしも病院は必要じゃない!?
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先日も病院についての記事を書きましたが。
子供に知的障害や発達障害があるからといって、必ずしも精神科・発達外来に通うとは限らないんですよね。
うちの息子(重度知的障害ありの自閉症、現在高校2年生)が幼児だった頃というと、かれこれ10年以上も前になるわけですが、当時は子供に療育を受けさせたい場合は「診断」ありきだったかと思います。
うちの場合も療育を受けさせるためには医師の診断が必要で、そのため自治体の療育センターで派遣されてきた医師によって「自閉症」の診断を受けました。
けれどもそれはあくまでも療育を受けるための手順であり、その医師とはその場限りの縁となりました。
知的障害や発達障害がある子は、学童期に入ると希望すれば特別支援学校もしくは支援学級に通うことができます。
ゆえに、特別な事情がなければ病院に行く必要はありません。
特別な事情というと、例えばてんかん発作がある、行動障害があり投薬をする必要がある、などですかね。
というのも、知的障害や発達障害自体は病院に行けば「治る」類のものではなく、病院でのわずかな診察時間の中では最低限の情報共有と最低限のアドバイスをいただけるのが関の山です。
障害による生きづらさを解消するための具体的な支援を担うのは療育での心理士や学校の先生であり、当時うちの太郎は投薬もなかったこともあり、「病院に行く必要性ってある?」と思い、実際必要性を感じなかったために、次第に病院から足が遠のいていったんですよね。
でもこちら☟にも書きましたが・・・
病院に通うこと、医師に診てもらうことは、ちゃんと意義のあることなんですよね😅
定期的に通って、その時々の「困りごと」をきちんと把握してもらうかかりつけの主治医がいることの必要性を知るのは、障害年金申請の準備をする18~19歳なんですから皮肉なものです😂
タイミングによっては「困りごとが無い」と思うことも
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とはいえ、内科や外科などと違って、診察の当日に「今ここが痛いのですぐに治してほしい!」という具合ではないのが知的障害・発達障害です😅
タイミングによっては子供の状態がとても安定していて、「何か困っていることはありませんか?」と医師から聞かれても、最近学校でも家でもすごく落ち着いていて(私が)困ることなんてほとんどないわー…なんて思うこともあるんですよね。
いや、むしろ年に1~2回程度の診察の場合は、数か月前にあった息子の「やらかし」なんてすっかり忘れちゃってることもあって😂
”今”困ってないから、今は解消できているから、今話すこと何もないわー。
って思ってしまうんですよね。
それで「困りごとはありますか?」と聞かれても「最近はあまりないですね」って言ってしまうこともありました。
でもね。
後から考えると違うんですよね。
「困ってない」というのはあくまでもその時の私が困っていなかっただけであり、本当に太郎に関する「困りごと」が無くなっていたわけではないんです。
実は周りが「困りごと」が起きないように立ち回っていた&慣れただけ
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例えばなんですけどね。
太郎には幼い頃から”順番”に対する異常なまでの執着というか、「こだわりによる問題行動」があったんですよね。
太郎は何をするにも自分が1番でなければ発狂する問題行動があって、それはもう、小さなころから手を焼いていました😂
この問題行動をそのままにしていては周りが疲弊するし、将来様々な場面で苦労することは目に見えています。
そこで私は家族(主に次男)や学校の先生等に協力してもらって、順番に関するこだわり行動を無くすように工夫したんですよね。それこそ必死な思いで。
その甲斐もあって、今では太郎も自分が1番で無くとも発狂することはなくなりました😊
がっ。
太郎の順番に対する問題行動は消滅したのかというと、それは違うんです。
今は周り(家族・先生等)が太郎の「順番に対するこだわり行動」が発動しないように、トリガー(きっかけ、引き金)となる要素を意識的に排除しているからこそ、太郎が発狂せずに済んでいる部分があるんですよね。
つまり、太郎のことを熟知している人間が事前にフォローしているからこそ「困りごと」が起きずに済んでいるわけです。
また、今でもたまに順番に対するこだわりを発動し、1番にやりたがる場面もあるんですが、それがちょっとした事である場合はスルーしてしまう(1番にやらせてあげる)こともあります。
もう周りが太郎のこだわり行動にすっかり慣れてしまって、「ここまでなら大丈夫」という匙加減で臨機応変に対応しているんですよね。
だから「困りごと」まで発展しないし、「困りごと」だと思わなくなってる。
でもそれはあくまでも太郎のことを熟知している人間が常にそばにいて成り立つ話です。
つまり太郎が学校を卒業し、就労した先の支援者たちからはきっと「困りごと」として捉えられるに違いありません。
また、家族から離れて、太郎がグループホームや施設に入った際にもきっと「困りごと」として捉えられるはずです。
今もなお順番に対するこだわりは消えていないし、周りのサポートが無ければまた以前と同じように強いこだわりとなる可能性も高いのです。
だからこそ、医師から「困りごとはありませんか?」と聞かれた際にはこんな風に答える必要があります。
「順番に対するこだわりは今は周りのサポートによって堪えられているものの、時折1番にこだわる場面もある」
「学校を卒業するなどして、太郎の特性を理解していない人の前でこの問題が再燃する可能性は高い」のだと。
「困りごと」とは”母親にとっての困りごと”じゃない
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「困りごとはありますか?」とたずねられると、ついつい「自分(=母親)が困っていること」と捉えがちなんですが、自分が困っていないからって、太郎自身や学校の先生、その他支援者の方々が困っていないわけじゃないんですよね😅
太郎は大変手のかかる子なので、幼稚園、小学校、中学校…と、受け入れ先が変わるたびに「困りごとの多い大変手のかかる子供だ」と認識されます😅😅
それでも1年もすると先生方も慣れてきて、太郎に対する対処方法も心得てきます。
そうすると、当初は「困りごと」が起こるたびに電話がかかってきたり連絡帳に書かれてあったりしたことも、だんだんと「この程度のことなら」、と連絡してこなくなるんですよね。
そうなると私の方では「問題行動が減った」「困りごとが無くなった」と思い込むわけですが、保護者会や面談の際、私の想像以上に太郎が学校でやらかしていた事実が発覚😂😂😂
先生にしてみても「困りごと」のハードルが下がってきているんでしょうが😅
今思えば、上級校(小学校→中学)(中学→高校)に上がったときに、毎回太郎の問題行動が爆発的に増えてしまう…と悩んでいたのですが、もちろん環境の変化からくる問題行動もあるとは思うものの、もしかして太郎自身はそれほど変わったわけでもなく、
・新しい先生方が太郎の対処法を知らない・対処法を間違えている
・太郎の問題行動に慣れていないので過剰反応している
ということなのかもしれないな、と😅
これ、学校にいるうちはいいんです。
学校は公立で、なかば義務教育のようなものであり、知的障害のある子が望めば学校(特別支援学校)は受け入れざるを得ないわけですから。
どんなに大変でも、なんとか対応してやっていただいているわけです。
でも、学校を卒業した後は、こうはいきません。
就労先も、グループホームや施設も、公的機関じゃないんです。
「行動障害のある子は受け入れられません」とお断りできるんですよね。
実際、他害のある子はお断りという福祉作業所もあります。
就労を目の前にして初めて、卒業後に行き場がなくなるかもしれない恐怖感が押し寄せてくるのです。
これを「困りごと」と言わずして何を困りごとと言うんでしょう😂
なんとなく学校でうまく対処してくれているから…とお任せしていた部分もあったことを後悔する瞬間です😂😂
医師には、20歳から受給できる「障害年金」の申請の際に診断書を書いていただくことになります。
だからこそ、普段の診察の際には「困りごとの種」と思われる出来事は日々の連絡帳などからしっかり拾い集め、漏らさず伝えておく必要があります。
「今私が困っていない」という観点ではなく、「将来にわたって太郎が困るであろうこと」まで想像をめぐらせて、医師に相談しておくことも必要かな、と。
そして将来、障害年金をスムーズに受給できるようにするためには、子供の特性について日頃からしっかり観察し、「困りごと」の洗い出しをしておくことも大切かと思いました。
「困りごとが多い」と感じていた幼少期は発達障害の書籍を読み漁っていた時期もありましたが、最近は「困りごとは学校の先生がなんとかしてくれているし」とおんぶにだっこだったかもしれません😅
そろそろ障害年金関連の資料も作らなければ…と思っていたので、発達障害関連の書籍でも読んで備えておこうかなと思いました。
できれば高校生になってから慌てて準備するのではなく、幼少期から日記のように書き留めておくといいんでしょうね💦
例えばサポートブックを作っておけば、上級校に上がるときや卒業後に就労する際、私も楽だし支援者も助かるはずなんでしょうけども。
というわけで、今更ながらサポートブックのようなものも作った方がいいのかな、と思い始めています😅
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